ゾイコロ pull back ZOIDS

 

 帝国軍ゾイドが発売されそのラインナップが充実し始めた84年末から85年にかけては、ゾイドは全盛期に向けての上昇気流に乗り始めたころであった。80年に発売された、ライバルメーカー・タカラのチョロQのヒットに刺激され、各おもちゃメーカーは、プルバックカーを各種販売していたのである。

 ゾイドもこの波に乗ることになったのであろう。ゾイド本体をパロディー化した、「ゾイコロ」なるグッズを発売することになる。初登場は84年10月と思われる。定価はいずれも一つ400円。チョロQが350円(現在も350円なのは驚き?)と比べると50円増しであるが、元から安くなかったゾイドシリーズであり、今から考えると十分納得いく値段であると思われるギミックを内蔵していた。

 単なるプルバックカーと思われるゾイコロであるが、くさっても鯛、プルバックでもゾイド、そこは本家ゾイドと同じように、走ると同時にやはりワンアクションあるのである。

 例えばゲーター。ゾイコロ・ゲーターには、口の開閉ギミックを内蔵している。プルバックさせるタイヤの一つに、クランクの役目を果たすような軸をずらした円が切ってあり、これに別部品を添えることで往復運動に転換し、更に口の開閉に転換しているのである。さすがにプルバックで走るというかなりの高速移動のため、口の開閉スピードは速く、カタカタカタカタと、寒さにふるえているようにせわしく音を立てることになる。いずれにしろ、この大きさの中にギミックを内蔵していることに驚きである。

 

 モルガでは、メイン駆動する車輪の軸そのものが中心からずれているため、体全体を上下にくねらせながら、カッタカッタカッタカッタと動いてくれる。また、本家同様、装甲マスクの開閉も可能になっているなど、単なるプルバックカーでないゾイドらしさを演出している。

 

 当初は、アクアドン、グランチュラ、エレファンタス、モルガ、ゲーター、ゲルダーの6種類から始まったゾイコロも後に、スパイカー、グライドラー、ゴルゴドス、ザットン、シンカー(未確認)などが加わり、10数種類をこえたというが、未確認である。そして、86年はじめにはそのシリーズを終えることになる。大きさの限界から、これ以上数が増えてもギミックがダブってくるために、シリーズの存在意義が問われてきたことが、終了となった理由ではないかと思われる。しかしそれ以上に、ゾイドは86年も半ばにはいると、本家だけでも50種類を越えることとなり、ゾイドシリーズ全体で見た場合、本流に力を傾注することがシリーズの充実と維持のためになることは明らかであり、トミーの出す関連グッズはゾイドをパロディ化したモノから、簡素でありながらも新しいユーザーをつかむための入門用ゾイド的なモノに変更されていったのではないかと思われる。

 

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パッケージ同梱カタログより転載