サーベルタイガーを修理する SabreTiger Repair
今回洗浄修理するサーベルタイガーは、友人にゆずってもらいました。世の中、ゾイドファンのことをゾイダーと呼んでいるらしいですが、このサーベルタイガーをゆずってくれた友人は私のことを95年の秋から「ゾイダー」「ゾイド男」と呼んでいます。私のまわりでは、彼が「ゾイダー」という言葉を最初に使った人間です。
このサーベルタイガーをもらったときには、あつくほこりがかぶっていましたが、とりあえずほこりだけは落としておきました。
3Dレーダーと腹部の動力パイプが欠損しています。胸部の三連衝撃砲の砲身部分、バッテリーケースに取り付けてある部品も、欠損していたので、大破して部品取りように保管してあったシールドライガーMk−2の部品を持ってきてあります。
とにかく洗浄のために分解します。まずはユニットごと分解し、更に細かく分解します。
メインフレームの中、パワーユニットにもほこりがつもっています。
が、なんと首を支える部品が折れていることがわかりました。このサーベルタイガーは頚部骨折をしていたのです。
例のごとく、食器洗い用の中性洗剤を入れたお湯につけます。
一つ一つ筆で洗っていきます。
洗い終わった部品です。(全てではありません)
水の濁り。(3つ上の画像と比較して下さい。)
友人はタバコを吸うので、数年間に渡ってついたヤニが原因です。これだけのヤニがほこりとともにサーベルタイガーをおおっていたとは・・・・
パワーユニットは電池を入れても動きませんでしたので、更に分解し修理します。過去の経験から原因の予想がついています。
この部品、スプリングが入っていてギアがスプリングで支えられています。山のような溝がかみ合えば両方のギアが回転します。小さい方のギアはこのさき足を動かすギアにつながっていきます。大きい方のギアを戻っていくとモーターにたどり着きます。もし、何らかの理由で足が動かない場合は、この部品の大きい方のギアがスプリングを押し込んで空回りすることで、緩衝材の役割を果たしているのです。ゾイドが、足が動かないでカチカチ音を立てるのはこの部品が原因です。もし、この部品がないと、どこの歯車が空回りをはじめるかわかりません。その結果、ギアの歯を削ってしまって以後動かなくなってしまう可能性もあります。また、ギアのかみ合わせが狂ってしまう可能性もあります。すると、歩行に必要な動き(右前足と左後ろ足が同時に踏み出す)が得られなくなってしまいます。しかし、この部品は、動力を前後に分配する直前のギアに付いているので、ギアのかみ合わせが狂って、ゾイドがうまく歩かなくなってしまうということを防いでいます。さすがにゾイド!。こんなところにまで細かな配慮がうかがえます。
だから安心といって、そのままモーターを回しっぱなしにしないで下さい。すぐにスイッチを切って、足の動かない原因を探して下さい。
モーターも無事回転するようになりました。モーターの中にはコイルに電気を伝えるためのブラシがあります。何年も回転させていないモーターは、このブラシとブラシから電気を受ける部品の両方に酸化被膜がおおってしまい、電気を流さなくなってしまっています。その場合は一度モーターを直接手で何回か回してやれば、酸化被膜がとれて、問題なくモーターはまわりはじめます。ゾイドを修理しているとこんな事は珍しくありません。ただ、間違っても、分解をせずにパワーユニットの外に出ている回転軸だけを回そうとしないで下さい。ギア比の関係でモーターが回ることはありませんので、パワーユニットを壊してしまうだけです。
首を支える部品もエポキシ系接着剤で固定し、中に補強のためにプラ棒の芯を入れました。
いよいよ組立です。
口の開閉ギミック。サーベルタイガーとシールドライガーは、上顎と下顎の両方が動くギミックになっています。
サーベルタイガークラスではそれほど部品点数も多くないので、難しくはありません。
足の駆動ギミックです。これが、あの足の動きを再現しています。ゼンマイゾイドのような一体成形ではなく、関節ごとに動きます。
ゴムキャップで止める軸は、削って短くします。そのままでは、ゴムキャップをいっぱいまで押し込んでも、部品と部品の間に遊びが出来てしまい、足がぐらつく原因になります。こうすることで、少しは足に踏ん張りがきくようになります。
首から下は組みあがりました。そして・・・
完成です。腹部のパイプは補っていません。帝国軍の特徴の一つである、3Dレーダーが無いのは痛いです。何かの撮影の時は、他のゾイドの部品を一時拝借して撮影に望まねばなりません。
ライバルのシールドライガーと。共和国軍と帝国軍の戦争の無くなった今だからこそできる風景とか・・・・・。因みにこのシールドライガーも完成体を譲り受け、洗浄修理したモノです。白い部品が変色していたので、艶消しホワイトで塗装してあります。
過去にもシールドライガー、グレートサーベルを組み立てたことがあるので、部品がどこにつくかわからないと言うことはありませんでした。
歩くというギミックの関係上、左前足と右後ろ足の対と、右前足と左後ろ足の対ががそれぞれ同時に、前に踏み出すようにギアが固定されています。しかし、実際の動物は、そんな動きはしないので、一度、左前足、右前足、左後ろ足、右後ろ足の順に動くように、ギアを差し替えたことがありました。手に持ったままの動きはより動物に近いものになり、目をみはりましたが、これを置いて歩かせようとすると前には進まず、後ずさりしながら曲がっていってしまいます。