NO.42 / 1998年7月
- 今年1月の新聞でイタリア産キノコ「乾燥ポルチーニ」から基準値以上
の放射能(1sあたり731ベクレル)が検出されたと知った時は、チェル
ノブイリ原発事故からそろそろ12年、それもイタリアという驚きと、それ
にしてもこのように珍しい食材はどこか高級イタリア料理店で使われるくら
いのものかしら?と疑問をもった。
ところが個人の消費者でも簡単に手に入る、しかも最近のイタリア料理ブー
ムに乗ってこのポルチーニが人気だと知ってさっそく購入、小金井市の放射
能測定器で測定してみた。
結果はセシウム137が約40ベクレルという予想以上のものであった。こ
んなに身近なところで買えるものからこれほどしっかり放射能が検出されると
は・・・。他にもう1検体、中国産乾燥ポルチーニを測定してみたが、これ
からは検出されなかった。イタリア料理のためのポルチーニといっても中国
産もあるのか、ということもまた別の驚きであった。
先ほど私は事故から12年と書いたが、今回のこの測定結果は必ずしもチェ
ルノブイリの影響だけではないかもしれない。なぜなら、たとえば日本の干し
しいたけを測定するとだいたいある程度の放射能が検出されるのは、1945
年以来1900回以上も行われている核実験の影響であるといわれているから
だ。
セシウム137は原爆や原子炉によって生成され、半減期は30年である。
「原子力資料室通信」にも、ドイツで測定活動を続けているグループのデー
タが紹介されており、各種キノコ類(栗アミタケ、アンズタケ、チチタケ等)
から高濃度の放射能が検出されていることがわかる。
滋養豊かで香り高いキノコが放射能を取り込みやすい性質をもつことは非常に
残念なことである。いや、残念などという言葉では言いきれないものがある。