リアル

優しいものは何もないと嘆く声
どこから聞こえてくるのかわからないけれど
それはとても痛切な叫びで

地面に耳を当てて感じとってみる
下にいる人たちの痛みなんて貴方はわかりっこないでしょう
そう言われたって聴こえてくる声を無視できるほど
わたしは人間を捨てちゃいないんだ

埋まっている悲しみ・憎しみ・苦しみ
少しも私はわかってあげられない
だけど声は届くのだもの
哀しいと。悔しいと。苦しいと痛切な叫びが届くのだもの

優しい声はとても怖いけど
悲痛な声はとても綺麗で
惹きこまれていって、帰れなくなって 私は道を失うわ

声にならない叫びを聞いて
やがて巻き込まれて私も叫ぶ仲間になってしまった
幾ら呼び止めても無視される存在
なりたくてなった人なんて居やしないのに、振り向かれず
そちらへは行かないと頑なに存在ごとなかったように振舞われ

今の世界が間違っているのは明らかだけれど
だれもそれを食い止めようとはしない
私のようになるから

目を瞑って耳を塞いで暮らしていれば自分は無事なのだと
安穏を保障に無視を続けていればいい
下の人間の声になど耳を貸すものじゃない
そうやって綺麗な世界で生きていっていればいい

土に埋もれた生活を望まないならば 現状を維持せよ
それが哀しいかな、今の現実なのだから


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