物悲しくなりはしない?
心細くはない?
単調なリズムを繰り返して一人寂しく沈んではない?
貴方にちゃんと答えてあげるから
さぁ、手を差し出して。私のほうへ
聴こえるのはアリア
クラシックはあまり知らないけれど
意味もなにも知らないけれど
ただ耳に流れ込む音符の羅列で
ゆっくりと頬を涙が伝った
どうしてかしらね、なにも知らないのに
哀しい曲かなんていうことも知らないのに
どうして止まらないのだろう。と思う
不思議な気持ちに包まれて
音の好きなままに任せて
その波が私を攫っていくのを誰も咎めはしない
私の好きな時間
ここにしかないのだと知ったとき
物悲しくなったりしない
心細くなったりもしない
浸って、漂って、それだけで良かったから
自由になれた気がしたから
そう思ったら、また涙が一筋流れた
哀しいんじゃないよ?
寂しいんじゃないよ?
辛いんじゃないよ?
幸せすぎて、どうしようもなくて
そんな涙を、私は初めて流したんだ