映画への影響


 かつて教育番組に偽装したナンセンスコメディーに「ウゴウゴルーガ」と言う
番組があった。その前世に当たるのは子供バラエティーの「おはよう子供ショー」
や「ママと遊ぼうピンポンパン」に対抗した「カリキュラマシーン」であろうか?
個別のコーナーはヒットするが番組全体としては芯が通らない「開けポンキッキ/
ポンキッキーズ」とは異なり「5の塊と5の塊で10の束」と「か行え段の”け”」
とか大脳海馬領域に染み着いて離れない「教え」の数々は、かのナンセンスコメディー
「ゲバゲバ90分」を生み出した日テレスタッフの力量を受け継いでいるからなのであ
ろう。その「ゲバゲバ」のオリジナルとも言うべき番組が、かのBBCが放送した「空
飛ぶモンティーパイソン」である。オックスフォードやケンブリッジ出身のメンバー
達が繰り出すブラックユーモアは貧富も階級も教養も民族もずたずたに引き裂く過激
ぶり。今や大監督の一人となったテリー・ギリアムはそんな「切れた英国エリート」
集団にあって唯一のアメリカ人でありグロテスクなコラージュアニメコーナーの担当
者であった。彼の出世作「タイムバンデット」は「未来世紀ブラジル」「バロン」と
続く「人生と夢」を主題とした3部作の第1作目に相当する。この作品で主人公ケビ
ン少年の部屋には中世の騎士のポスターが貼られ、プラモデルの戦車、カウボーイの
人形等と供にレゴで出来たお城が置いてあった。
(ご丁寧にも棚には型番50のレゴ基本セットの箱まで立てかけられている。)
時空を越えた彼の冒険は実は子供部屋の中で完結していたのであり、クライマックス
の舞台であるテクノロジー好きの悪魔の居城こそレゴで出来ていたのだ。そして創造
主の登場。彼はまるでバラバラになったブロックを組み立てなおすかのように破壊と
混乱をもと通りにしてしまう。この創造主のずさんな仕事ぶりと専横ぶりと、技術革
新と新たなる創造のための破壊を必要とする悪魔の在り様がはまさにレゴで自分だけ
の世界を築いている私達の態度そのものである。私達は限られた部品の中で新しい作
品を作ろうとすれば古い作品を分解せざるを得ない。しかしレゴを再びもと通りの形
を組み直すことも可能なのだ。ただそれは目の前にある形は同じでも私達の心には成
長や経験が刻まれている点で以前とは違った物なのだ。レゴの造り手達はこうしてケ
ビン少年の不思議な体験に共感する。
 縮小されて庭でサバイバルする一行の一夜の宿りは落ちていたブロックの中であっ
た。庭になくしたされてもなお主人を助けるとは、この忠義者め!


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