前川 つかさ

 前川つかさは、10年くらい前に講談社のコミックモーニングで連載していたショートストーリー(毎号4ページくらいの連載)「大東京ビンボー生活マニュアル」で存在を知った。ごく普通の絵柄とは一線を画した絵で、受け付けない人も多いかも。でも、見慣れたぼくなどは、描かれている女性が美人にみえるまでに達しているので、要は慣れである(^_^)
 この「大東京ビンボー生活マニュアル」は、東京の何もない4畳半でビンボー生活を楽しんでいる主人公と、なぜかそんな男にはもったいない美人のガールフレンドや、隣人・近所のお店の人々などを、ほんわかと描いた作品である。仕事をしていれば一応は金はあるが、そのかわり時間に関しては非常にビンボーになる。この主人公は(作品中では主人公の名前が出てこないのでこう呼ぶしかないのだ(^_^;))金はないが時間はたくさんある。なんとなくあこがれの生活に見えてしまう。

 さて、その後、前川つかさはケニー鍋島という原作者とともに「票田のトラクター」という作品をビッグコミックオリジナルに連載を始める。主人公・筒井五輪は「民自党」の国会議員の秘書として働いているのだが、日本の政治家の裏の事情はこうなっているのか(@_@)と面白く読める作品である。この作品も、日本の政治の裏の事情に通じているらしい原作者ケニー鍋島の作品といっていいだろう。その後、この作品は週刊ポストに連載誌を移しているのも納得できるところだ。
 ケニー鍋島の事情通ぶりを如実にあらわす事件が最近起こっている。大蔵官僚と金融機関との癒着事件である。すでにもう4年も前に、このケニー鍋島・前川つかさのコンビで、短期間で廃刊になってしまった「日刊アスカ」という駅売り夕刊紙に「霞ヶ関のフリーメーソン」という作品が連載された。この作品は大蔵省にキャリア入省した主人公を中心として、官僚の実態を描いた作品である。掲載紙が廃刊になってしまって、作品自体が未完(単行本2巻まで)なのだが、政治家の「票田のトラクター」、官僚の「霞ヶ関のフリーメーソン」は、街金の「ナニワ金融道」を面白く読めた人には絶対にお勧めである。

「新・票田のトラクター」

小学館 ビッグコミックス   9巻 ISBN4-09-183139-7 486円 1998/03/01 (1)
 政治家の秘書の裏の仕事を話題の中心に始まったこの作品だが、最近は政治家自身の活動が中心になっている。それというのも、連載開始当初は自民党安定多数だった日本の政治状況が激変して、政党自体がもう最近は名前を覚えるのも苦労するほど流動的になっている現状に即しているからである。
 9巻では保守党から独立した新党乱立状況の中、自民党と社会党との連立政権成立直前のあたりが描かれている。

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