栗本  薫

 テレビで人形の「久月」の雛人形の宣伝番組を見た。一番のお勧めは、豪華7段飾りなどのたくさん人形がいるセットではなく、お内裏様とお雛様と、三人官女だけのやつなんだそうな。売りは、その三人官女が、紫式部、小野小町、清少納言であるということなんだな(^_^;) まん中の小野小町は、短冊と筆を持っている。両端の二人はたしか木の枝らしきものを持っていたようだ。
 千年前の文学作品が、現在も読まれ続けていることを改めて考えると日本という国もすごいなあと思う。また、女流作家の歴史も千年あるわけで、これもたいしたことだ。上に上げた3人を初めとして、本名が伝えられていないのは男尊女卑のあらわれだとぼくたちは教わってきたが、これは女性の名前は親や家族は別として、他人では夫だけに教えるもので、名前を公表することなど言霊信仰のもとではそれこそAVビデオに出るようなものだったからなんだそうである。もしかして、今の学校ではちゃんとそういうふうに教わっているんだろうか(^_^;)
 小野小町は歌人だからちょっとおいといて、文章家としての紫式部と清少納言は対照的な文体なのだが、これは短編のエッセイと長編小説というジャンルの違いがそういう文体を要求しているということもある。「春はあけぼの」といった短い文をつなげて長編小説を書こうとしても無理ではないにしろ、書くのも読むのも疲れるに違いない。長い歴史を持つ日本女流作家の末裔である栗本薫が、意図的にしろ無意識にしろ、全100巻の長大な小説を書くときに、源氏物語のような文体を採用したことは、必然なのである。

「グインサーガ」

早川書房 ハヤカワ文庫 JA593  59巻「覇王の道」ISBN4-15-030593-5 500円 1998/01/31 (1)
 グインが登場しないグインサーガなんて、と、最近のグインサーガを読んでいない友人がいる。悪いことは言わない、この巻は買って読みなさい(^_^;) 本人は出て来ないけど「グイン」という文字は出てくるし、この巻はグインサーガ全体の見通しを得る上で大事だと思うぞ。
 

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MAN HBE03015@nifty.ne.jp
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