萩原 一至

 萩原一至といえばBASTARD!!である。主人公のダーク・シュナイダーは、連載当初は高々400年ほど生きてきた魔法使いだったはずなんだが、急激に大物になってきた。というのも、少年ジャンプ独特のマンガ作法ゆえである。敵をどんどん倒していくためには、敵がどんどん強くならなければいけない。敵がどんどん強くなっていくのに増して、主人公はもっと強くならなくてはいけないのだ。おかげでダーク・シュナイダーの人物像はどんどんと希薄になっていくんだよなあ……。
 さて、もうひとつ萩原一至といえば、未完成原稿である。江口寿史にまさるともおとらない遅筆で、絵なしのネームだけのページを雑誌に載せてしまった。漫画界のエヴァンゲリオンといえよう(^_^;) そのおかげで掲載誌は週刊誌から月刊誌、月刊誌から季刊誌へと転々……。しかも、天は二物を与えずの良い例なのか、字がきたない。そのきたない字だけのページを雑誌に載せちゃったんだから、大変なもんである。
 とかなんとか言っても、単行本は売れに売れている人気作品なんだから、わからないもんである……。なにしろ、ぼくも買っているんだから……。

「BASTERD!!」

集英社 ジャンプコミックス
 19巻 ISBN4-08-872243-4 390円 1998/03/09 (1)

 19巻は、72ページから81ページまでの10ページ、つまり見開き2ページが1コマの5コマだけで値段分は笑わせてもらった。見開き2ページが一コマで続くといえば、車田正美の「リングにかけろ」略して「リンかけ」だ。上記の10ページはもろにリンかけのパロディになっている。キメ技パンチを2ページ見開きで一発。それが五発分。しかも、萩原らしく、殴り書きのページもある(^_^;)
 とにかく話が大きくなって、一体どうなるのやら……

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