ウェーバー

「オベロン」序曲
 ウェーバーは、「魔弾の射手」をはじめとしてドイツロマン派歌劇で名声を博していました。その彼に、ロンドンのコヴェント・ガーデン歌劇場からイギリスのための新しい歌劇も作ってほしいと依頼があり、作られたのが歌劇「オベロン」です。
 原作はヴィーラントの叙事詩で、オベロンは妖精の国の王様です。イギリスの文豪シェイクスピアの「真夏の夜の夢」にも登場しているので、イギリスのための歌劇にはぴったりなのでした。
 序曲は、劇中で重要な意味をもつ魔法の角笛で始まり、アリアの旋律や情景の音楽を使って作られています。
(493)


「魔弾の射手」序曲
 18世紀のドイツでよく上演されていた歌劇は、イタリア語で歌われるイタリア歌劇が主でした。
しかし、台詞の部分が普通の会話になっていて(本当の歌劇では台詞の部分にも楽譜があって、“レシタティーボ”と呼ばれています。本当の歌の部分は“アリア”)ドイツ語で歌われる「ジングシュピール(歌芝居)」という形もありました。このジングシュピールとイタリア歌劇の手法を融合させて作られたのが、18世紀末にモーツァルトが作曲した「魔笛」でした。
 19世紀に入り、ロマン派の時代になって、ロマン派ドイツ・オペラといえる作品として作られたのが、ウェーバー(1786〜1826)の代表作と言えるこの歌劇「魔弾の射手」でした。その後、ロマン派ドイツ・オペラはワーグナーによって絶頂を窮めることになります。
 護林官の娘アガーテと結婚したいマックスは、護林官の跡を継ぐために、射撃競技に優勝しなければなりません。射撃には自信があったのですが、なぜか今回はうまくいきません。絶望するマックスに、狩人カスパールは悪魔と契約をかわして魔弾を作ってやると話を持ちかけます。カスパールは自分の命をすでに悪魔に売り渡していたので、新しい犠牲と引き換えに自分が助かろうとしたのです。必中だが、最後の1発だけは悪魔の思いどおりのものにあたる魔弾が、真夜中の狼谷で作られました。翌日の射撃競技で優勝したマックスは、領主の御前試射で、最後の魔弾を鳩に向かって射つよう命じられますが、鳩の姿の自分が射たれる夢を見ていたアガーテは射たないでと叫びます。鳩がその声で飛び立ったので、マックスはとっさに狙いを動かしたため、魔弾はカスパールにあたることになりました。領主に全てを告白したマックスは追放を命じられますが、隠者のとりなしで執行猶予となり、めでたくハッピーエンドとなります。
 序曲は、マックスの絶望のアリアの旋律とアガーテの歓喜のアリアの旋律の2つを主題として作られていますが、何よりも有名なのは序奏部のホルンの四重奏による旋律でしょう。劇中でも4本のホルンは有名な「狩人の合唱」で活躍します。
(474)


トップへ   曲目解説目次のページへ  

MAN man@leaf.email.ne.jp