プーランク

「牝鹿」組曲
 プーランクは今世紀前半に活躍したフランスの作曲家で、オネゲルやミヨーらとともにフランス6人組と呼ばれた作曲家グループの一人であり、この「牝鹿」はディアギレフ・ロシア・バレエ団の依頼で作曲した彼の最初のバレエ曲である。
 原題“Le Biches”のbicheは、鹿・かもしか・やぎなどの牝を意味する語だが、俗語では女の子を意味する。バレエは特にあらすじがなく、3人の若い青年と女の子たちが上流社会の客間でのパーティーで楽しく踊るというもの。当時の上流階級の人々への風刺的意図をもったもので、ロマンティック・バレエの傑作「シルフィード」の20世紀版パロディーとして振り付けられたという。
 上流社会の風刺というと、例えば「マイ・フェア・レディ」の、とりわけアスコット競馬場の場面が連想されるが、あちらは気難しいイギリスの上流階級のこと、冷淡で無感動な面が皮肉られているが、こちらは「マイ・フェア・レディ」より10年後、しかも場所は花のパリであるから、明るく華やかであり、モダンである。第3曲「ラグ・マズルカ」では、当時アメリカで流行のラグタイムも現れる。
 バレエ「牝鹿」の初演は1924年。今日演奏するのは、作曲者が1940年に演奏会用組曲として全曲から5曲を抜粋し、改訂したものである。
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