ラロ

スペイン交響曲
 ラロはフランスの作曲家ですが、おじいさんの代まではスペイン人でした。彼の作曲は初めなかなか認められず、ヴィオラ奏者として長い間活動していました。ヴァイオリン協奏曲第1番と、このスペイン交響曲が発表されて評判になったのは、すでにラロが50歳を過ぎてからのことです。
 この曲は実質的にはヴァイオリン協奏曲なのですが、5つの楽章を持ち、独奏ヴァイオリンの扱い方も通常の協奏曲とはすこし違っています。ラロは実質的ヴァイオリン協奏曲というのを4曲作曲していますが、「ヴァイオリン協奏曲」と名付けられているのは第1番だけで、そのほかは「スペイン交響曲」「ノルウェー幻想曲」「ロシア協奏曲」と、いずれも地名がついています。
 第1番と同様に、この曲はスペインの大ヴァイオリン奏者でラロの友人でもあったサラサーテ(有名な「チゴイネルワイゼン」の作曲者でもあります)にささげられ、初演されました。初演の時も第3楽章が省略されたので、本日も省略して演奏します。
 第1楽章は、最初に管弦楽で演奏される動機が基礎になっています。初めが2連符、次が3連符で2回同じ音型が繰り返されます。他のメロディーも、2連符と3連符が組み合わされています。
 第2楽章は、例の速い3拍子の曲です。中間部では、独奏ヴァイオリンの遅いテンポの部分と、管弦楽の速いテンポの部分が交代で現われておもしろい効果をあげています。
 第3楽章はインテルメッツォ(間奏曲)と名付けられています。初演の時から省略されていますが、これは「演奏効果が少ないから」だそうです。なかなか微妙な表現ですねえ。(早い話が……おっとっと、やめときましょう)
 第4楽章はゆっくりとした美しいメロディーの楽章です。途中、チゴイネルワイゼンのメロディーと同じリズムを持った美しい旋律がでてきます。
 第5楽章はロンドで、独奏ヴァイオリンが華々しい演奏を披露します。中間部ではテンポを落とし、2連符と3連符の混じった情熱的なメロディーが出てきます。
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