小船幸次郎

第1序曲
 小船幸次郎は、チェレプニン、ローゼンシュトックに作曲と指揮を師事し、昭和12年、第6回音楽コンクールで作曲部門第1位を獲得しました。本日演奏する「第1序曲」が、その時の作品です。
 曲については、作曲者自身の解説がありますので、それを掲載して私は楽をすることにします。
 「第一序曲を書いた頃の私の作曲方法は、日本的音楽の建設で、メロディーは勿論のこと、和音からリズムまで西洋のものは取り入れまいとした。作曲の方法は勿論ヨーロッパ流で、管弦楽法はストラヴィンスキー、観念的にはフランス印象派の影響を受けている。この曲で取り入れたのは雅楽のメロディー、和音、リズム、それに俗楽のリズム、メロディー、和音を挿入している。形式としてはアンダンテの後にアレグロでフーガを入れ、再びアンダンテに帰って終わる様になっている。使っている楽器数は極めて多く、三管編成の各楽器群はメロディーとして、和音として、リズムとして、いつも独立した形で組合されている。打楽器は最低5人の奏者が必要で、5人がいつも異ったリズムを打ちながら合奏し、弦、木管、金管のパートと対等の立場で独立的に働いている。特殊な楽器としてはイングリッシュホルンとバスクラリネットが重要なメロディーを受持っている。いつも初め単純なメロディーで始まって次第にメロディーの数を増してゆくが、どのメロディーも初めのメロディーの変形でできている。ピアノを1台使ったが、メロディー楽器としてではなく、和声的打楽器として用いている。かなり重要である。曲中拍子が二拍子、三拍子、四拍子と常に変化して定まらない。曲の全体の感じとして、お正月に演奏されるにはふさわしい様に思うがどうであろう。」
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