グノー

「ファウスト」バレエ音楽
 グノーはフランスのオペラ作曲家として活躍したひとですが、その代表作が「ファウスト」です。ゲーテの作品を歌劇化したもので、初演のフランスでは不評でしたがドイツでの上演で好評を博しました。最初は、今日演奏するバレエ音楽はありませんでしたが、10年後、パリ・オペラ座での上演の際にフランス歌劇の伝統に従ってバレエの場面を挿入し、そのために書かれたのがこの曲です。(バレエ場面がなかったためにフランスでの歌劇公演が不評に終わったのはこの曲だけではありません。よっぽどフランス人はバレエ好きのようです。)このバレエが登場するのは最終幕の「ワルプルギスの夜」の場面です。これはベルリオーズの幻想交響曲の第5楽章と同じで、5月1日の前夜、ハルツの山に魔女が集まって饗宴を繰り広げるという設定です。
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交響曲
 さて、2曲目の交響曲ですが、もともと歌劇を中心として作曲していたグノーですから、管弦楽のための曲はあまりありません。交響曲は若い頃に2曲作曲したのですが、あまり演奏されないようです。(今回演奏するにあたって、楽譜はフランスから借りています。レコード屋さんに行ってもCDは出ていませんし、なによりこの曲目解説のタネ本にしている音楽之友社の「名曲解説全集」にさえ掲載されていません。)
 フランスオペラ作曲家の交響曲といえば、ビゼーのハ長調交響曲があります。偶然にも同じ年(1855年)に作曲されたこの2曲は、フランス音楽特有の軽快さとオペラ作曲家ならではの旋律の美しさを持っています。いうなれば、2人にとってはちょっと専門外の交響曲の作曲ですから、その作風は独自のものとまではいきません。古典的な形式にのっとって、習作風の仕上りとなっています。
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