フォーレ

組曲「ペレアスとメリザンド」
 フォーレの管弦楽のための曲は非常に少なく、その大半がバレエ音楽や劇の付随音楽からの抜粋による組曲です。その中で、(「レクイエム」と「パヴァーヌ」を声楽曲として別扱いにすれば)よく演奏される曲は、本日演奏する「ペレアスとメリザンド」くらいになってしまいます。
 「ペレアスとメリザンド」はメテルラーンク作の戯曲で、1898年のロンドンでの英訳での上演のために、付随音楽として作曲されました。じつは、その5年前の1893年、フランスでの上演をみたドビュッシーは、これこそ自分の最初の歌劇の題材としてふさわしいと考え、作曲をはじめていましたが、初演は1902年のことでした。つまり、ある時期にドビュッシーとフォーレは同じ題材で作曲をしていたことになります。
 王子ゴローは、森の中で出会った神秘的な女性メリザンドと結婚して、父母と義弟ペレアスの待つ城へかえります。いつしかペレアスとメリザンドは愛し合うようになり、とうとう2人の密会の場でゴローは弟を殺してしまいます。愛する人に死なれ、夫の愛も失ったメリザンドも、あとを追うようにして死んでいきます。
 フォーレは劇のために、幕のあく前に演奏される前奏曲(間奏曲)として4曲と、メリザンドが劇中で歌う歌を1曲作曲し、後に歌を除いて組曲としました。
 このうち、3曲目のシチリアーノはチェロの独奏曲として以前に作曲したものをオーケストラに編曲したものです。フルートの演奏するこのメロディーは、10年程前にテレビのCMで全国に毎日のように流れていました。当時のことを憶えていらっしゃる人でしたら、ああ、あのメロディーかと思い出していただけるでしょう。
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