アイネム

フィラデルフィア交響曲
 作曲者のアイネムは、1918年にスイスでオーストリア軍人の子として生まれた人で、後にベルリン、バイロイト、ドレスデン等の歌劇場で活躍し、歌劇やバレエ音楽を中心に作曲しています。
 本日演奏するフィラデルフィア交響曲を聞けばわかると思いますが、彼の作風は、同時代のストラヴィンスキー、ミヨー、プロコフィエフ、ヒンデミット、そしてガーシュイン等に共通するものがあります。とくにこのフィラデルフィア交響曲は、フィラデルフィアの音楽アカデミーの依頼によって作曲された曲なので、第3楽章にはルンバのリズムも使われていて、ジャズっぽい部分もかなりあります。とはいえ、やはり生粋のゲルマン民族だからでしょうか、ルンバのリズムにあまりノリきれずに、ドイツっぽい重厚さがそこかしこに出ています。
曲は3つの楽章から出来ています。
第1楽章の冒頭のリズムが全曲を通してのリズム主題となっていて、第1楽章の第2主題や、第3楽章の第1主題もこのリズムでできています。とくに、第1楽章の後半では、旋律は全くなくて、ただ低音から順次このリズムで音が重なって行くという場面が圧巻です。
第2楽章は、最初、クラリネットとファゴットの4重奏ではじまり、これと全く同じことが最後に弦楽合奏で演奏されます。その間にリズミカルな部分があって、この中間部分が通常の交響曲の第3楽章にあたる部分になっています。
第3楽章は、第1楽章の冒頭と同じリズムの主題で始まりますが、すぐにルンバのリズムにのってシンコペーションを多く使った、「パリのアメリカ人」ならぬ「フィラデルフィアのドイツ人」と言うのがぴったりな、なんとなく変なアメリカっぽい音楽になっていきます。
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