少女漫画の読者が大人になっていき、当然、少女漫画家も大人になっていって、レディスコミックができてきたわけだけれど、もしかして、レディスコミックは内容的には最初から大人向けだったけれど、表現方法が大人になったのはつい最近なんではないか、少なくとも、顔の書き方においては、ここ数年だよなあ、と考えている。
少女漫画といえば、「目がでかい」「目に星」なんて言われて来たが、確かに少女漫画の登場人物の目はでかかった。鼻の穴はないし、唇もない。時々鼻も口もない場合さえある。穴としての口はかかれていても、その穴(^_^;)のまわりの唇は、ほとんど書き込まれていない。せいぜい、口の下に1本、下唇を表す線が引かれている程度だ。
でも、女性が最初にお化粧するとき、まずは口紅である。と書くと、おじんと言われるかもしれないけど、やはり口紅は基本ですよね、今でも(^_^;)
数年前、レディスコミックを読んでいて、何人かの若い漫画家の作品で、口がグルグルグルグルとペンで書かれているのを見た。なんだこりゃあ、ヘタだなあ、と思っていたんだけれど、その手法がだんだん洗練されてきて、ああ、これは口紅を塗っている唇なんだなと気づいた。
どうでもいいことと言われればそれまでだけれど、登場人物がお化粧していること、そしてそれを今まであまり顧みられなかった唇に、口紅を塗っているという表現手法を編み出したこと、これって大したことだと思う。
お化粧している主人公が一番綺麗/かわいいと今感じるのは、鴨居まさねの作品だ。
鴨居まさねの書く人物は口がでかい。そのでかい口が、それこそ1本線で書かれた穴だけの場合もあるし、ペンでグルグルだったり、ベタだったりトーンだったり、唇の襞まで克明に書かれていたりする場合もあって、さらにいろんな形で書かれている。目は口ほどにものを言うけれど、本来の口は、当然目以上にものを言うんだなあ、と思いながら、大笑いしながら、ぼくは鴨居まさねの作品を読んでいる。
■鴨居まさねの作品
・咲けよクリカ 1995. 1.24
・お願いだから 1996. 2.24
・緑茶子ちゃんのこと 1996. 8.26
・秘書・恵純18歳 1997. 5.24
・SWEETデリバリー
1巻 1997.10.22
2巻 1998. 6.24
3巻 1999. 2.24
・雲の上のキスケさん
1巻 1998.12.22 以上すべて集英社ヤングユーコミックス