雇用における「年齢」差別に関する基本文献

ときどき私のところに問い合わせのメールが来るので、労働法関係の手に入りやすい文献を中心に挙げています。
一般の方に紹介するため、通常の引用方法よりも分かりやすい形式にしています。各文献は、
http://webcat.nii.ac.jp/
にて検索すると、どの大学に所蔵しているかが分かります。 (例)「労働法律旬報」を入力
http://ci.nii.ac.jp/も、論文の入手に有益ですし、一定期間経過後に全文をネットで公開している雑誌もあります。 (例)日本労働研究雑誌

邦語書籍
中窪裕也『アメリカ労働法[第2版]』(弘文堂、2010)3,885円 [謹呈御礼]
森戸英幸『いつでもクビ切り社会 「エイジフリー」の罠』(文藝春秋、2009) 750円 [謹呈御礼]
櫻庭涼子『年齢差別禁止の法理』(信山社、2008) 6,477円 [謹呈御礼]
柳澤武『雇用における年齢差別の法理』(成文堂、2006) 4,725円
清家篤編『エイジフリー社会』(社会経済生産性本部、2006) 2,100円
玄幡まみ『年齢差別――仕事の場でなにが起きているのか―― 』(岩波書店、2005) 504円
玄幡真美『仕事における年齢差別―アメリカの経験から学ぶ』(御茶の水書房、2005) 2,625円
大津和夫『介護地獄アメリカ 自己責任追及の果てに』(日本評論社、2005)1,680円
アードマン・B・パルモア著、鈴木研一訳『エイジズム 高齢者差別の実相と克服の展望』(明石書店、2002)5,000円
清家篤編著『生涯現役時代の雇用政策』(日本評論社、2001) 2,800円 [謹呈御礼]
宮本倫好『挑戦するアメリカ高齢者パワー』(亜紀書房、2000) 2,200円
マック・A・プレイヤー著、井口博訳『アメリカ雇用差別禁止法』(木鐸社、1997) 4,000円
河野正輝・菊池高志編『高齢者の法』(有斐閣、1997) 3,200円
玉田弘毅ほか『高齢化社会の法律・経済・社会の研究』(信山社、1996) 6,000円
木村五郎『労働契約解消法の諸相』(成文堂、1996) 4,326円
沼正也『エイジレスの法理』(サンワコーポレーション、1996) 9,000円
ハワード・P・チュダコフ『年齢意識の社会学』(法政大学出版局、1994) 3,570円
越川礼子『グレイパンサー』(潮出版社、1986) 1,236円  絶版本
(邦語論文論考
山川和義「高齢社会の高齢者雇用政策のあり方」ジュリスト1389号31頁(2009)
柳澤武「年齢差別」(森戸英幸・水町勇一郎編『差別禁止法の新展開』所蔵)132頁(日本評論社、2008)
櫻庭涼子「アメリカにおける年齢差別禁止の法理」[2008-1]アメリカ法(44頁)(2008)
山川和義「ドイツにおける年齢差別禁止の動向―― 一般平等取扱法の制定を契機に」労働法律旬報1657号43頁(2007)
櫻庭涼子「雇用における年齢差別の禁止――イギリス、ドイツを中心に――」神戸法学雑誌56巻4号1頁(2007)[謹呈御礼]
柳澤武「新しい雇用対策法制――人口減少社会における年齢差別の禁止」季刊労働法218号110頁(2007)
山川和義「ドイツにおける定年制の法理(一)(二)(三)――定年と年金の連動――」名古屋大学法政論集216号155頁、218号139頁、219号147頁(2007)[謹呈御礼]
濱口桂一郎「年齢差別」法律時報79巻3号53頁(2007)
三井正信「高年齢者雇用安定法9条をめぐる解釈論的諸問題(一)(二)(三)」広島法学30巻3号1頁、30巻4号1頁(2007)、31巻4号97頁(2008)
櫻庭涼子「高年齢者の雇用確保措置――2004年法改正後の課題」労働法律旬報1641号46頁(2007)
原昌登「高齢者雇用―継続雇用制度にみる政策理念」季刊労働法213号27頁(2006)
清正寛「高齢者雇用の法的課題――高年齢者等雇用安定法2004年改正をめぐって――」『労働保護法の再生(水野勝先生古稀記念論集)』285頁(信山社、2005)
山田省三「雇用における高齢者処遇と年齢差別の法的構造」『労働保護法の再生(水野勝先生古稀記念論集)』305頁(信山社、2005)
柳澤武「雇用における年齢差別の法理――アメリカ法を中心に」日本労働法学会誌106号157頁(2005)
矢野昌浩「高齢社会と労働法――定年制の法的解釈論と法政策論」琉大法学73号209頁(2005)
菊池高志「高年齢者雇用――政策の到達点」法律時報77巻5号38頁(2005)
櫻庭涼子「年齢差別禁止の差別法理としての特質(1)(2)(3)(4)(5・完)――比較法的考察から得られるもの――」法学協会雑誌121巻12号1頁(2004)、122巻3号1頁、122巻5号76頁、122巻6号67頁、122巻9号1頁(2005)[謹呈御礼]
柳澤武「新しい高年齢雇用安定法制」ジュリスト1282号112頁(2005)
櫻庭涼子「雇用における年齢差別 アメリカおよびEUの状況」ジュリスト1282号119頁(2005)
柳澤武「人事採用における資格過剰(overqualified)と年齢差別の成否――アイルランドとアメリカの調停・裁判例を素材に――」名城法学54巻1・2合併号1頁(2004)
櫻庭涼子「高齢者の雇用対策――若年者との利害調整の観点から」日本労働研究雑誌534号17頁(2004)[謹呈御礼]
岩田克彦・牧野利香「欧州における高齢者雇用対策と日本」(労働政策研究・研修機構、2004) 労働政策研究・研修機構のHPにて公開中
岡田高嘉「『雇用上の年齢差別禁止法』と逆年齢差別」大阪府立大学経済研究49巻4号55頁(2004)
岡田高嘉「アメリカの『雇用上の年齢差別禁止法』の解釈をめぐる判例の動向と問題点」大阪府立大学白鷺論叢35号1頁(2004)
櫻庭(中村)涼子「諸外国における年齢差別への取組み」日本労働研究雑誌521号31頁(2003)[謹呈御礼]
柳澤武「賃金コストを理由とする解雇・採用拒否と年齢差別 ――アメリカADEAにおける判例法理を手がかりに――」季刊労働法201号172頁(2002)
有田謙司「雇用のミスマッチと労働法」季刊労働法199号8頁(2002)[謹呈御礼]
山下昇「募集・採用における年齢制限緩和と中高年齢者の再就職促進」労働法律旬報1525号21頁(2002)[謹呈御礼]
大原利夫「募集・採用時における年齢制限緩和の努力義務」日本労働法学会誌99号154頁(2002)
花見忠「『年齢差別』禁止の再検討」月刊社会保険労務士2001年5月号(2001)
柳澤武「雇用における年齢差別禁止法理の変容 ―アメリカ年齢差別禁止法の下におけるインパクト法理―」九大法学81号546頁(2001)
濱口桂一郎「EUの『年齢・障碍等差別禁止指令』の成立と、そのインパクト」世界の労働51巻2号36頁(2001)
森戸英幸「雇用における年齢差別禁止法 ――米国法から何を学ぶか」日本労働研究雑誌487号57頁(2001)
寺田博「イギリスにおける中高年問題と年齢差別禁止」高知短期大学 社会科学論集80号1頁(2001)
中村涼子「雇用における年齢差別の禁止 ―米国の法規制の基本趣旨―」本郷法政紀要第9号83頁(2000)[謹呈御礼]
藤本茂「年齢差別禁止立法化の前提 ―経済企画庁『雇用における年齢差別禁止に関する研究会中間報告』を読んで」労働法律旬報1493号4頁(2000)
家田愛子「EUにおける新たな雇用差別禁止指令および人種差別禁止指令の提案」労働法律旬報1492号25頁(2000)
藤井樹也「定年制と憲法」現代立憲主義と司法権(佐藤幸治先生還暦記念)319頁(1998)
井村真己「高齢者の退職に伴う放棄契約の締結と雇用差別禁止法――アメリカにおけるADEAの改正を契機として――」季刊労働法182号127頁(1997)
奥山明良「高齢者の雇用保障と定年制問題−アメリカの年齢差別禁止法との比較で−」成城法学50号33頁(1995)
森戸英幸「高齢者の引退過程に関する立法政策」ジュリスト1066号103頁(1995)
末啓一郎「米国年齢差別禁止法に基づく差別訴訟事件の実際(要件事実及びその主張立証方法の研究)」季刊労働法175・176合併号189頁(1995)
竹中勲「年齢による区分の合憲性」法学教室180号53頁(1995)
藤本茂「定額損害賠償の検討――アメリカ年齢差別禁止法を中心に――」法学志林88巻4号49頁(1991)
ランス・リープマン、森戸英幸訳「高齢化するアメリカ社会と法政策」日本労働研究雑誌371号13頁(1990)
松林和夫「高齢者の雇用保障」労働法律旬報1245号4頁(1990)
岡本英雄「高齢者の海外雇用事情について」季刊労働法156号28頁(1990)
大橋將「高齢化社会における労働関係――循環構造型人事組織論序説」早稲田法学64巻4号154頁(1989)[謹呈御礼]
石橋敏郎「アメリカにおける年齢差別禁止法」日本労働法学会誌70号128頁(1987)
花見忠「アメリカの年齢差別禁止法の施行状況と問題点」日本労働協会雑誌273号54頁(1981)←1978年改正時までの条文翻訳付です。
桑原靖夫「アメリカにおける中高年問題の展開―平等の追求と新しい労働体系の萌芽」日本労働協会雑誌250号37頁(1980)
阿部弘「雇用における年齢差別の規制について―アメリカの一九六七年年齢差別禁止法の改正―」レファレンス339号3頁(1979)
釜田泰介「年齢による区分の憲法的問題点」同志社アメリカ研究14号58頁(1978)
入江信子「アメリカの年齢差別雇用禁止法ADEAと我が国における中高年齢労働者の雇用に関する研究」明治大学短期大学紀要21号13頁(1977)
阿部弘「アメリカにおける一九六七年年齢差別禁止法の制定と効果」レファレンス279号35頁(1974)

(邦語:紹介研究ノート研究会報告書外国判例研究など)
柳澤武「判例紹介:Meacham v. Knolls Atomic Power Lab., 128 S. Ct. 2395 (2008)」[2009-1]アメリカ法(176頁)(2009)
櫻庭涼子「判例紹介:Kentucky Retirement Systems v. Equal Employment Opportunity Commission, 128 S. Ct. 2361(2008)」[2009-1]アメリカ法(170頁)(2009)
柳澤武「高年法の雇用確保措置をめぐる新たな法的課題」日本労働研究雑誌589号65頁(2009)
永野秀雄「年齢差別禁止法に基づく申立に対する報復的行為を受けた場合、連邦公務員も請求を行なうことができるか」労働法律旬報1686号19頁(2008)
柳澤武「判例紹介:Smith v. City of Jackson, 544 U.S. 228 (2005)」[2006-2]アメリカ法(393頁)(2007)
関根由紀「雇用政策における年齢 ――雇用援助契約(Contrats aides)を中心としたフランスの若年者・高齢者雇用政策――」神戸法学雑誌56巻4号251頁(2007)
浅田訓永「公務員採用試験における受験資格の年齢制限と憲法一四条」同志社法学59巻1号131頁(2007)[謹呈御礼]
浅田訓永「年齢差別問題と憲法 ―アメリカの年齢差別禁止法と『反エイジズム』思想を手がかりに―」同志社法学58巻5号219頁(2006)[謹呈御礼]
鈴木隆「雇用における年齢差別規則の制定」労働法律旬報1636号46頁(2006)
山下昇「高年齢者の雇用確保措置をめぐる法的諸問題」日本労働研究雑誌550号43頁(2006)
沼田雅之「雇用における逆年齢差別」労働判例890号96頁(2005)
櫻庭涼子「判例紹介:General Dynamics Land Systems, Inc. v. Cline, 540 U.S. 581, 124 S. Ct. 1236 (2004)」[2004-2]アメリカ法(364頁)(2004)
牧野利香「アイルランドの雇用における年齢差別禁止法制」(JIL、2003) 労働政策研究・研修機構のHPにて公開中
厚生労働省「今後の高齢者雇用対策に関する研究会 報告書」(2003.7.31) 厚生労働省のHPよりHTMLファイル
山田省三「高齢者雇用のありかたについて」労働法律旬報1552号4頁(2003)
厚生労働省「年齢にかかわりなく働ける社会に関する有識者会議 報告書」(2003.1.14) 厚生労働省のHPよりHTMLファイル
相澤美智子「判例紹介:Reeves v. Sanderson Plumbing Products, Inc., 530 U.S. 133 (2000)」[2002-2]アメリカ法(109頁)
柳澤武「年齢差別訴訟における正当化基準をめぐる争い ――California州Marks事件と公正雇用住宅法改正――」九大法学84号237頁(2002)
寺田博「イギリス年齢差別禁止の動向 ―行為準則から立法へ―」高知短期大学社会科学論集83号271頁(2002)
藤本茂「間接証拠による意図的・差別的取扱いの証明」労働法律旬報1535号36頁(2002)
厚生労働省「年齢にかかわりなく働ける社会に関する有識者会議 <中間とりまとめ>」労働法令通信55巻19号10頁(2002)  厚生労働省のHPよりHTMLファイル
柳澤武「判例紹介:Mullin v. Raytheon Co., 164 F.3d 696 (1st Cir. 1999)」[2001-2]アメリカ法(487頁)(2001)
藤本茂「州最高裁が示した『副社長』解雇における若年者差別の判断基準」労働判例794号96頁(2001)
島田陽一「雇用差別をめぐる裁判例の動向と問題点」法律時報73巻9号55頁(2001)
アメリカの「雇用における年齢差別禁止法」研究会『アメリカ年齢差別禁止法下での退職管理に関する実態調査報告』(年金総合研究センター、2000) [謹呈御礼]←書店では販売していないので同センターより取り寄せてください
経済企画庁「雇用における年齢差別禁止に関する研究会 中間報告」労働法律旬報1493号57頁(2000)  内閣府のHPよりPDFファイル
井村真己「判例紹介:Oubre v. Entergy Operations, Inc., 118 S.Ct 838 (1998)」[1999-1]アメリカ法(126頁)
アメリカの「雇用における年齢差別禁止法」研究会『アメリカの「雇用における年齢差別禁止法」に関する研究』(年金総合研究センター、1996) ←書店では販売していないので同センターより取り寄せてください
藤本茂「年齢差別推定基準の緩和化」労働法律旬報1395号33頁(1996)
(英語書籍)の一部
Barbara T. Lindemann, David D. Kadue, Age Discrimination in Employment Law (BNA Books 2003)←もともと2002年6月に刊行予定だったのが、丸一年以上遅れて出版されました(2003.11受領)。1578頁という分量から膨大な新情報に期待したのですが、なんと半分ぐらいの頁が付録(条文や判決の原文)で埋め尽くされていました。1冊で完結するので、便利といえば便利ですが・・・持ち歩くのはつらいです。
Howard C. Eglit, Age Discrimination (West 2d ed. 1994 & Supp.)←ズバリ潔い名前!加除式バインダー3巻セット、本棚に並べると横幅23cm[実測値]という、色々な意味で凄まじい単著です。なんとAmazon.comで一般書として購入可能なのですが、金額が$300を軽く超えますので覚悟が必要です。国内で所蔵している図書館はわずかですし、たぶん個人で所有しているのは日本で数人でしょうね。
Ruzicho and Jacobs, Litigating Age Discrimination Cases (WEST 1999 & Supp.)←こちらもWEST社のバインダー・タイプで、実務関係の手続きにも詳しい本です。訴訟フォームの例などもあって、なんだがアメリカで年齢差別訴訟を起こせそうな気になります。
Daniel P. O'Meara, Protecting the Growing Number of Older Workers : The Age Discrimination in Employment Act, Labor Relations and Public Policy Series No. 33 (IRU 1989 & Supp. 1998)←383頁で$45程度という手ごろな価格と大きさです。やや古くなってしまいましたが、概要の理解にはコレで十分。私が買ったときにはKristofer K.Strasserによる1998年の補遺がついてきました。
Kerry Segrave, Age Discrimination by Employers (McFarland Company, Inc., 2001)←法律専門書ばかりなので、これまでと視点が違うものを一冊。マスメディアなどにみられる年齢差別の歴史について紹介しています。こういった書籍も含めてエイジズム関連の研究には色々な手法があるようです。

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