この本はアメリカの精神科医である著者の初小説で、
(石垣りん著) 婦人之友社 '92年刊行されたものですが、大好きな「石垣りん」さんが選んだ 53人の方の詩に呼応したかたちで「りん」さんの心模様が それぞれに短い文で添えられています。 自分がつぶれそうなとき、落ち込んだとき、どのページを開いても心の栓が溶け、 あったまり、そしてちょっぴり痛い棘を刺してくれます。 声 会田綱雄 忍び音というのは オクターブは低くても声になる けれどね 本音というのは オクターブを上げても下げても なかなか声にならないものだな ☆あなたならこの詩にどんな心の窓を開けますか?☆
共同通信社の特派員として長くハノイ支局等に勤務し、
--異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記-- |
戦後の「分藝春秋」誌に掲載された中から、 女性史研究者でノンフィクション作家の山崎さんが選んだ四〇編。 四〇数とおりの全く違う生き方。 当たり前といえばそれまでですが、むねがわくわく、ドキドキ。 文庫でこんなにたくさんの人生をかいま見、味わえるなんて... やっぱり読書は最高... 平林たい子、愛新覺羅浩、淡谷のり子、杉村春子、デヴィ・スカルノ..... 小野洋子、田中絹代、黒柳徹子、岸恵子、岡本綾子、 俵万智、吉本ばなな、都はるみ..... そうそうたる名前を見てもなかなか深みがあっておもしろそうでしょ?? 自伝と違って文が短いだけに逆に行間が読めて 何となく相手が身近に迫ってくることもあります。 そんな中、 「四十年を看病に生きて」を寄稿(1967.12.)された 吉野登美子(歌人・吉野秀雄の妻、二人とも再婚)さんの人生に ある種の透明感・すがすがしさを感じた...... 「あなたって、看病するためにこの世に生まれてきたみたいね」といわれ、 ―考えてみればそうかもしれません。 八木重吉、桃子、陽二、吉野、吉野陽一と、 昭和の四十年間の大半は看病で過ごしてきました。 私は子供の頃、父が日本画をやっていたので、日本画家か声楽家になりたいと 思っていました。 十八で嫁いで以来、その夢は完全にどこか へ消えてしまいました。 でもそのことを、少しも不幸と思っていません。看病に没頭することで、 人の命に心に魂にまっすぐ目をむけ、余計なことに気を散らさずにすんだことは、 かえって私にとって幸福なことだったかもしれないと思います。 それだけ純粋に生きられた、と思うのです。 …とても凛としたものを投げかけられた気がしています…
皆川博子著 ハヤカワ・ミステリワールド 早川書房 第二次世界大戦下のドイツ・ナチスによって設立された<レーベンスボルン>は、 未婚のまま身ごもった女たちの産院と孤児院を兼ねていた。 そこは、アーリア人こそ世界一の優れた人種と云う思想を せっかちに強固に押し進める政策の一つであった。 金髪に青い目、高い鼻、ほっそりした顔、バラ色をおびた白い肌... 外観でまず選別し、その要素があればポーランド等からも拾い集め、 ドイツ総統の子として育て上げようとした... これがこの物語の始まりですが、 ミステリ・幻想小説・時代小説を融合させた独特のねっとり感があって、 でも一気に読める本でした。特に登場する少年たちは みんな生き生きと存在が飛び跳ね、 児童文学から出発した著者らしい片鱗が感じられます。 カウンター・テナーの魅力にとり憑かれてるという著者の愛と思い入れも感じられます。 私はこの本を読みながら 浅田次郎著の「蒼穹の昴」(宦官を選んだ・あるいは選ばされた少年の一生)の ことが胸をよぎり、 脈々とつづく人の生の重み、力強さを信じたくなりました。 ===================================== お薦めのリンク先 ↓↓↓ ちょっと個性的でユニークな本屋?さん。 私、「フランス女」長坂道子著・「トリュフォー」山田宏一著・ 「生活はアート」パトリス・ジュリアン著・「父の娘たち」矢川澄子著の4冊を買いました。 すべて山本和美さんの書評を見て読んでみようと思いました。 |