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□地雷ZERO□

地雷ZEROキャンペーン

坂本龍一プロデュース「ZERO LANDMINE」(WARNER MUSIC JAPAN発売)を,2001年5月1日に吉祥寺・山野楽器CDショップで購入しました.TBS50周年特別企画「地雷ZERO 21世紀最初の祈り」のキャンペーンソングです.

駅ビルLONLON内の新星堂は既に売り切れていて,ちょっと間口が狭くて狙い目と思った山野楽器に残っていました.さすがに前日にキャンペーンの放送があっただけに売れ行きはすごいものです.発売開始から放送日までの5日間に30万枚が売れたそうで,ミリオンセラーを目指すということだったが軽く達成しそうな勢いがあります.

単純に世界中の音楽のエッセンスを集めた楽曲としての「ZERO LANDMINE」にも興味があったし,参加アーティストの顔ぶれにも驚きました.番組の中で出演していたアーティストの中には,父親の従兄弟という親戚筋にあたる細野晴臣氏もYMO絡みでいました.確か1ヶ月くらい前の予告番組の中で,「坂本くんが珍しく熱心に取り組んでいるし,モザンビークまで行って来たというからね.」と軽口をたたきながら協力を約束していた姿がありました.日本人アーティストがプロデュースするチャリティソングとしては,とてもスケールの大きな作品に仕上がっていると感じました.

番組の中で取り上げられていた地雷問題を抱える国々の中で,モザンビークは余りに遠すぎて実感の持てる国ではありません.しかし,カンボジアはこの3月に訪問してきたばかりということで,とても強いリアリティを持って感じることができました.もちろん,プノンペンとシェムリアップのみの訪問であり,常に集団行動であったことで,地雷原の近くまで行ったわけでは決してありません.それでも,カンボジアを東南アジアの最貧国の位置に止めている大きな理由の一つに,地雷問題による経済発展の阻害があることは理解できました.

キャンペーンの展開として,地雷ゼロという明確なチャリティのあり方が示されていたことは重要です.それはダライラマ法王の言葉がライナーノーツに書かれていたように,武力による問題解決という愚かな手段を放棄する象徴として地雷廃絶を訴えることの意味があるためです.しかし一方で,地雷ゼロを実現したから即豊かな社会が実現できるわけではありません.地雷ゼロはスタートラインであり,それから社会全体に豊かさを実現するための国際協力の枠組みが必要になってくるのです.

カンボジアを例にとって考えてみると,カンボジア政府は財政力と人的資源の不足によって自主的に事業展開する能力を持っていません.そこで,国際援助機関による多国間援助の枠組み,日本などとの直接的な二国間援助の枠組み,そして個別具体的なサービスを提供する国際NGOの進出というものによって,実際に社会サービスが提供されています.しかし,幹線道路が機能していないために流通面での費用がかかりすぎるという面があり,こういったインフラ整備にも地雷問題は困難を生じさせています.

カンボジアで地雷ゼロを目指すということは極めて困難ではありますが,さらにそこから社会に豊かさを実現するためのインフラ整備への支援,そして投資の拡大といったことを国際社会が行っていなければならないと思います.特にアジアにおける日本のイニシアティブの重要性は論を待ちません.

地雷ゼロ,そしてそこから始まるその国の発展というものを深く考えたいと思います.


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