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□北欧(5)

 旅にハプニングはつきもので,時間や気持ちに余裕があればそれも楽しめます。今回のハプニングは,現地フライトの遅延で乗り継ぎ便が変更になった件,ベルゲンのホテルで夜中に火災報知器が作動した件です。

 現地フライトの手配が費用とのかねあいで大変だったのは先述しました。おかげで,HelsinkiからBergenの移動が最短2便乗り継ぎでOKのはずが,Helsinki→Stockholm→Oslo→Bergenと3便乗り継ぎになってしまいました。Stockholmに到着したとき,乗り継ぎ間隔を1時間ほど用意していました。同じターミナル内のゲート違いだけなので十分のはずでしたが,Oslo行きの機材がゲートに到着したのはちょうど我々の搭乗便の出発時刻でした。機内清掃も入れれば遅延で,その後のOsloからBergenへの乗り継ぎもちょうど不可能になりました。遅延しての到着予定時刻が乗り継ぎ便の出発時刻だったからです。ここはもう旅慣れてきた強みで,搭乗券をもってカウンターに行き,次の便への再予約を要求して完了しました。Osloに着いてから事情説明していたら面倒だったでしょうし,チェックイン済みのトランクの扱いにも問題が起きていたことでしょう。

 定刻通りだったHelsinki→Stockholmでは面白い光景に出くわしました。FinlandとSweden間には時差が1時間あります。そこを1時間のフライトなので同一時刻に出発到着というもので,ビジネス客が大半を占める路線です。MD製の機体で180人定員くらいの座席は全く同じ種類が使われているにもかかわらず,シートヘッドカバーのみBUSINESSと表示された座席が3分の2以上を占めており,後部に申し訳程度にエコノミークラスがあります。もちろん予約変更できたりするビジネスクラスのメリットは理解しているものの,あまりに差別化されていないので思わず笑ってしまいました。

 Bergenは国際空港ではないので,Osloを経由する必要があります。復路のBergen→Oslo間のフライトは快晴の中でしたからとても景色の良いものでした。眼下に広がるフィヨルドと氷河の名残を眺めながらの1時間です。

 Bergenのホテルには3泊しました。最終日の深夜2時頃のこと,ホイッスルとサイレンを組み合わせたような大音量が響き渡りました。火災警報です。テレビは勝手に点いてノルウェー語と英語で「火災警報:現在,捜索中」とのメッセージ表示が出ています。数分すると,メッセージ表示は「火災警報:すみやかに部屋の鍵を持って避難せよ。エレベータは使うな。」と変わりました。手近にあったパスポート・航空券入れをポケットにねじ込んで,ロビーまで降りました。深夜に起こされて不機嫌な客が顔をつきあわせていましたが,従業員が誤報だと告げているので皆は引き返し始めます。廊下の防火扉はことごとく閉まっていますし,部屋に帰っても動悸もなかなか収まりませんでした。テレビのメッセージ表示はしばらくして,迷惑を詫びる文面に換わり,そして電源が切れました。

 朝食時に見かけた日本人団体ツアーの年輩の方々の姿を見かけなかったのはどうしてだったのでしょうか。あの音量と赤白の警告に気付かないわけは無いのでしょうけれども。不思議に思いました。


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