北欧家具やスウェーデンハウス，スカンジナビアンデザインと呼ばれるものは，センスの良さや暖かみをイメージとして持っているように思います。機能美の追求にかけては，北欧がリードできる分野と言えるのではないでしょうか。最終日に泊まったRadisson SAS Arlanda Hotelなどはその具現化なのかもしれません。機能的であることが最善であり，そこにデザインが組み合わされることによって北欧らしさが出てくる，そんな感じがします。

　フィンランドのガラス工芸iittalaの花瓶とデカンタ・グラスセットを購入しました。花瓶は，切り株もしくは水たまりのようにうねうねした外形を持ちながら柱のようでもあります。ノーベル賞授賞式が行われるヒョートリエット広場前のコンサートホール内にあるガラス工芸ショップ，NKデパートよりは庶民的なオーレンスデパートなどの価格調査を行い，デジカメで撮った写真で妻の了解も得ながら，最終的には女優グレタ・ガルボが店員をしていたこともあるという創業120年のPub（プブ）デパートで購入しました。およそ3千円くらいの価格差があったでしょうか。デカンタ・グラスセットはヘルシンキの空港内のショップで見つけたものを衝動買いです。花瓶のほどのひねりはありませんが，薄いブルーでなかなか良い雰囲気です。但し，これらは既に贈り先が決まっているので手元には残りません。

追記：衝動買いにしては目利きだったと妻に褒められました。花瓶はiittalaのAalto Collection，デカンタ・グラスはKartioというブランドで，それぞれ60年前，20年前から古びないデザインを評価されて，ニューヨーク近代美術館の収蔵品になっているとのことでした。日本での価格も調べましたが数千円ずつくらいは安かったようです。

　ストックホルムのホテルは最初Stockholm Plaza Hotelに2泊しました。デザインホテルと自称するだけに，外観は前世紀風で室内は機能美追求タイプのうまく調和したところでした。前世紀風というのは，北欧のホテルでよくありがちなことですが，古き良き時代の建造物を残しつつも現代的な技術の導入も怠らない意味で使います。例えば，古色蒼然とした大きなドアに自動ドアを仕込んだり，室内はいきなり現代風だったりという感じです。

　続いて2泊したのはMalardrotningenという旧市街ガムラスタンの埠頭につながれた豪華ヨットを転用したホテルです。船室がそのまま客室になっていて，窓の外はメーラレン湖の水面が目の前です。大規模な参加者がホテルを奪い合う医学系の学会がストックホルムで開催されていたために，ここ以外に選択肢が見つからなかったのが理由です。中央駅すぐの定宿にしていたホテルなどは，どの代理店を使って調べても空きがありませんでしたので，学会参加者に占拠されてしまったものと思われます。

　シリヤラインは，ライバルのバイキングラインと並んでストックホルム-ヘルシンキ間を結ぶフェリーの一つです。シリヤラインの方が船のスタイルもきれいだという評判です。EU内でありながら，TAX Freeショッピングが残されているので，買い物目的の客も少なくないようです。韓国人のおばちゃん達のお買い物パワーにも圧倒されました。シーフード盛りを夕食で注文し，大中小エビ，ロブスター，生がき，ムール貝，ザリガニを堪能しました。船内に吹き抜けがあったり，カジノクラブ，ビッグバンドのステージなどもあるぜいたくな一夜を過ごせます。一番贅沢だと感じたのは午前4時くらいに船窓から眺める満天の星だったでしょうか。

　ストックホルムに続いては，フィンランドの首都ヘルシンキです。フィンランドは中立国ですが，歴史的にはスウェーデンに攻め込まれたり，ロシアの自治国になったりと翻弄されてきた国と言えるでしょう。ヘルシンキのホテルはRameda Hotel Presidentiというホテルで，部屋の広さはなかなか良かったです。朝食時の混雑が気になったくらいで特に不満は感じませんでした。

　ベルゲンで3泊したのは，Clarion Hotel Admiralです。港を挟んで世界遺産のブリッゲン（ハンザ同盟時代の三角屋根が並ぶ町並み）が見渡せるところに位置しています。ベルゲンでは五指に入るランクのホテルです。ラックレートでは2万を超えるようですが，JAFと提携しているAAAの割引レートがあったのでそれで予約しました。わざわざJAFの事務所でもらったAAA割引カードをフロントで提示したにもかかわらず，何それ見たこと無い，かなり安いレートで予約できているから大丈夫よ，と言われる始末。なんだかなぁ。ベルゲンを見渡すウルリケン山展望台，フィヨルド観光の拠点としても活用しました。

　そして最後は，ストックホルムの市内に出ることはせずに空港近くのRadisson SAS Arlanda Hotelに1泊しました。ホテルのフロントで飛行機のチェックインができるのが売りだったはずですが，警備強化のおりにつき休止していたのは残念です。とはいえ，ビジネスに最適化されたホテルに間違いありません。