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□就職活動□

 6月下旬,多くの企業で内定が出ている時期です。ある混んでいる電車の車内で,これから広告代理店の就職面接に出かけると思われる女子学生を見かけました。典型的なリクルートスーツに身を包み,ノートに書き込んだ自己PRや志望動機,想定問答を熱心に暗記しようとしています。

 女子学生はなおさらでしょうが,最近の不景気風びゅんびゅんの状況では採用人数自体が少なく,就職活動も大変なことはよく分かります。技術系などでは,採用人数を絞り込んだ上に学校推薦でしか採らない方針のところもあると聞いています。しかし,誰もが就職に困っているかと言えばそうではなく,就職活動が企業とのお見合いであることを理解し,ツボを押さえたアプローチをすれば複数の内定を手に入れることも難しいことではないのです。

 混雑した車内で,件の女子学生のノートは私の鼻先にあったために内容が読めてしまいました。自己PRの最初の一行は,「気配りがよくできます」でした。その後に続いていたのは,飲食店でのアルバイトの経験がうんぬんでした。こりゃ駄目だと思いましたが,別に面接指導をしてやる謂われはありませんし,お節介ですから何も言いませんでした。自分の知っている学生なら当然,注意します。

 「気配りがよくできます」は周囲から言われる言葉であって,自分から発する言葉ではありませんね。しかも社会人であれば気配りできることは当然のことですから,それをわざわざ自己PRするからには,数々のエピソードで証明して見せなければなりません。もし「気配りがよくできます」をPRポイントにしたいのであれば,いくつかの話題を通じて面接担当者に自然とそれが伝わるような表現を使うべきです。

 飲食店のアルバイト経験を就職活動で持ち出すことは,あまり意味を持たないし,逆効果でさえあることはよく知られています。アルバイトは責任をとれない地位にありますから,正社員とは行動や決定権に大きな違いがあります。経験を積んだアルバイトに他のアルバイトのまとめ役をさせるような店や企業もありますが,最終的に責任をとるのは正社員の仕事です。そういったことを理解しないで,アルバイトでの経験うんぬんが,正社員として就職してから役立つようにPRするというのは筋違いなのです。まあ,体育会への所属経験は,規律や組織について理解しているという意味で評価されるみたいですが。

 件の女子学生の第一志望は,その広告代理店では無かったからおざなりな自己PRになったのかもしれません。いくつかのエピソードを絡めながら自分をPRするときに,どういった能力が求められているかに応じてポイントを作るべきだと思います。顧客と直接関わる営業職であれば「友達100人の誕生日を覚えています」といったエピソードで,顧客に関する情報を覚えるのに長けているだろうから営業職に向いていると思わせることができるわけです。
 まあ,偉そうに言っている私本人は民間企業・公務員への就職活動を一切やったことが無いので,無責任なものです。但し,民間企業とのおつきあいはありますので,企業側のニーズを知らずに就職活動なんて考えられないことはよく知っています。話半分くらいに読んでもらえれば結構です。

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