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□国民年金に入らない若い世代□

 株式会社FP総研・山崎俊輔氏は,MSNマネーの特集記事「国民年金、払ってる? 入らないと損する5つの理由! 」を執筆されています.山崎氏は,世代間連帯というような理念を若い世代に説くつもりはなく,自分のために何故入らないのか?と警鐘を鳴らしています.

 そこで取り上げられている5つの理由とは,次の通りです.

 まさにその通りだと思います.生命保険会社が次々に破綻して救済合併の名の下に,被保険者へのリターンがカットされている現状があります.銀行についてもペイオフが始まれば1000万円までの預金しか保護されません.1000万円なんて大きいと思っていたら大間違いで,老後資金を自分で貯めようと思えば1000万円なんてちょっとした通過点に過ぎません.終身年金という特徴も忘れてはならず,長生きしたがために晩年を生活保護で暮らすという事態さえ起こりかねません.

 3分の2の負担で年金が受けられるというのは,税金から3分の1が支出されていることを指しています.消費税の福祉目的税化の議論は何度も繰り返し行われていますので,近い将来3分の1から限りなく2分の1に近づける改革が行われる可能性は十分にあります.

 障害年金を受けられないというケースについては,若い世代の多くに意識が欠如している部分だと思います.健常者で老後まで生きると思いこんでいる人々が少なくありませんが,年間1万人交通事故死者の何倍も傷害を受けた人がいますし,少なからず後遺障害から身体障害者となります.さらに,糖尿病から失明にいたる人も少なくありません.障害者になった途端に,労働能力について査定されることなく企業から採用の門戸が閉じられてしまう現状があります.そうなると後頼れるのは経済的自立を助ける障害年金だけです.

 家族を持っているならば,なおさら遺族年金という側面についても理解しておく必要があるでしょう.不慮の事故や病気というのはすぐそばに忍び寄っているのかもしれません.若年性のガンは進行も早く,あっという間に手遅れになります.残された家族が経済的に苦しみ,備えを怠った故人を恨むような事態は避けたいものです.

 私自身としては,個人の無知が招く加入責任や保険料支払い責任の問題について,システム側で解決することが必要だと考えています.つまり,強制加入,強制徴収制度の導入です.具体的には,住民税などと同様に納入義務を負わせて,不払いへの強制執行も可能にすることと,社会保障番号制による私的個人年金への締め付けです.先日の社会保険庁の調査報告にもあるように,不払い者の多くが私的個人年金には加入しているという不合理な行動をとっています.このような行動を野放しにするのではなく,私的個人年金の加入には全期間納入済みの証明のある社会保障番号の提示を要するという手段によって対抗すべきだと考えます.制度として世代間連帯の仕組みを採用する判断は行われても,個人が勝手に判断することは許されていないと考えるべきです.


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