/lab/izumit//Essay


□ノムラ日本株戦略ファンド□

日経平均ノムラ
2000/0319834.729848
2000/0419517.679474
2000/0517039.978501
2000/0616969.288826
2000/0716959.937914
2000/0816329.898226
2000/0916168.297932
2000/1015311.707445
2000/1114760.877288
2000/1214409.746874
2001/0113720.956942

テレビCMで「やっぱり野村か」と盛んに宣伝しているうちに,実状はひどいことになっているみたいです.個別銘柄の株式売買取引と株式投信は基本的には違うものですが,証券会社は個人投資家を確保するために専門家であるファンドマネージャがポートフォリオを組んで運用を行う投信の販売に力を入れています.銀行も同様で,投信の窓口販売が可能になったので積極的な資産運用の方法として,実際には窓口担当者のノルマなのでしょうが,勧めています.私も外貨預金口座を持っていて,リスクに寛容な顧客と見られているのか勧められたことがあります.

野村証券 (http://www.nomura.co.jp/)の子会社で投資顧問会社という位置づけになる野村アセットマネジメント (http://www.nomura-am.co.jp/)が設定している投信で,ノムラ日本株戦略ファンド(愛称:Big Project-N)というものがあります.一兆円ファンドと呼ばれる日本最大の資産運用額を誇る投信で,これまで株式なんてハイリスクだと敬遠していた個人顧客を多数集めたファンドです.

日経平均株価は相変わらず森政権のせいか,金融バブルの後始末が未だ完全なものではないせいか,2000年3月時点で1万9千円台だったものが2001年1月には1万3千円台まで落ち込んでいます.日本の「優良銘柄」を中心にファンドマネージャが選択したはずのノムラ日本株戦略ファンドは日経平均の騰落率とほぼ同じ-30%強となっています.基準価額と呼ばれるファンド設定時に1万円とされた価格は,現在6千円台まで落ち込んでいます.これは100万円投資したら60数万円に資産が目減りしたのと同様です.投信の場合には,資産額に対して手数料を払いますから,儲かるのは野村証券だけということになります.

日経平均と変わらない運用成績なら投信の意味はあるのでしょうか?日経平均を上回る運用成績をあげてこそ,投信の意味があるわけです.日本最大の証券会社として野村証券を信用した株式未経験の個人顧客がノムラ日本株戦略ファンドを購入したのです.これに懲りた個人顧客は二度と株式投資に戻ってくることはないでしょう.法人どうしの株持ち合いといういびつな構造を持った日本の株式市場が活性化するには個人投資家が増えてくれることが重要な条件だったはずです.その機会が失われてしまったことが残念です.

日本最大の証券会社と野村証券を呼びましたが,既にオンライントレードをいち早く取り入れた松井証券 (http://www.matsui.co.jp/)に信用取引の出来高で負けています.これは取引手数料を一日定額にするといった画期的な低価格戦略がきいたものです.片や1万人を超える従業員を養わなければならない野村証券と全従業員でも200人に満たない松井証券ではコスト構造が全く違うので勝負にならないといったところでしょう.

厚生年金基金の企業運用分の返上であるとか,株式持ち合いの一層の解消傾向であるとか,日本の株式市場を取り巻く環境は悪材料こそあっても好材料が見えない状況にあります.ノムラ日本株戦略ファンドは.将来に渡って禍根を残すと言えるのではないでしょうか.


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