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□函館訪問

 父親の単身赴任先である函館は一度訪れておきたいと考えていました。数年に及んだ赴任期間もそろそろ終わろうかとしていますので,じいちゃん孝行に子供らも連れて行きました。北海道へは札幌を中心に数回訪れており,スキーが目的でした。函館は初めての訪問でした。

 この時期の航空券は元旦のディスカウントを除けば片道28,800円の普通運賃しかありません。子供らが3歳未満で席無し幼児無料が適用できるとはいえ,大人2人往復115,200円は高過ぎです。裏技的にビジネスパックというツアーを利用しました。ANAツアーでは札幌,大阪,福岡といった主要都市しか設定が無かったのですが,新橋駅前の独立系旅行代理店では函館行きのビジネスパックを取り扱っていました。宿泊を1泊つければ復路便を延長できるもので,1泊往復便付きで大人21,900円,つまり43,800円で済みました。もちろん便変更がきかなかったり制約はありますが,そもそも休暇を合わせる都合上変更がきかないので安いに越したことはありません。片道料金よりも安くなるのは面白い話です。

 正月の帰省ラッシュを回避した時期でしたが,羽田からの早朝第一便に乗るために空港周辺民間駐車場に到着したところ,送迎用マイクロバスから客があふれるほどの混雑でした。おかげで余裕を持って駐車場までたどり着いたはずが,15分前の手荷物預入に間に合わず機内持ち込み,加えてファイナルコールでの搭乗になってしまいました。子供らは旅行が決まってからというもの,飛行機に乗れるのを楽しみにしていました。かつて沖縄旅行で初飛行機を体験して,乗り物の中でも特に飛行機が大好きになっていました。飛行機雲をいち早く見つけるのも得意にしています。

 函館空港にはほぼ定刻に着陸しました。父親がタクシーで迎えにきており,赴任先の宿舎に向かいました。3LDKの家族向けの部屋に1人で住んでいるため,一室などは納戸状態で,もう一室は開かずの間になっています。ストーブは夜中も焚き続けます。気温が零下なので,気を抜くと室温も10度以下になってしまいます。

 昼食に向かったのは海岸沿いの回転寿司「函太郎」です。人気店ということで行列すらできるお昼のピークを外して行きました。最初に注文したのは,生ずわいがにです。とても甘い身がするっと胃に収まります。それでも500円という安さに驚きです。惜しいことに体調不良で食欲を無くしていた真菜以外は新鮮でお値打ちなネタに舌鼓を打ちました。紗菜は好物のイクラの軍艦巻きが3巻出てきたのを,ぺろりと平らげていました。

 夕方から函館山に登って夜景を眺めました。子供らはロープウェーに乗れたことが楽しかったようで,展望台に着くなり復路のロープウェーに乗りたがっていました。やはり旅行での子どもの楽しみは目的地に達することよりも,乗り物なんだなと思いました。1泊分の予約をしていたのは,JR函館駅前の函館ハーバービューホテルでした。ANAホテルズの一つですから,ツインルームもそれなりに広さも確保されていて上々でした。

 事件が起きたのは夜8時頃のことです。テンション高く部屋中をかけずり回っていた子供らのうち,真菜が椅子の下から出て来るなり,左眉毛の上から出血しています。おむつ換えに使う不織布のお尻拭きで圧迫しながら止血し,ホテルフロントに紹介してもらった函館市立夜間急病センターにタクシーで急ぎました。その様子を見ていた紗菜の方がパニックになって「まな,死んじゃったの?」と繰り返していました。当の真菜はびっくりしていたためか,あまり泣いて騒ぐ様子もありませんでした。夜間急病センターは20〜24時に,内科・外科・小児科が診てもらえる年中無休の施設で,結局真菜は3針縫うことになりました。その後約一週間経過してから抜糸して完治しました。

 2日目以降は父親の宿舎に移動して,そこを拠点に青函連絡船記念館になっている摩周丸,函館市営谷地頭(やちがしら)温泉に行ったり,五稜郭タワーに昇ったり,父親とともにひいきの料理屋に行ったりと過ごしました。子供らとは,近所の児童公園で雪遊びもしたのですが,もう一つピンと来ていなかったようです。誰かが作った雪だるまは面白そうにしていました。温泉に限らず公衆浴場に連れて行ったことが無かったせいか,真菜は大泣きしていたのが男湯の方まで聞こえていました。またしても,移動に市電を使ったのが子供らにとって楽しかったようです。

 4日間函館に滞在しましたが,最終日は朝から吹雪いていて羽田からの到着便は1時間近く遅く到着していました。羽田に向かう便が遅れるのかとも思ったのですが,そんなこともなく無事に戻ってくることができました。次は夏場にフェリーでクルマを持ち込むか?とも思っているのですが,さて拠点が残っているかどうか。


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