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欧州出張1
パスポート絡みで2003年9月の欧州出張は時間を食うことが多かったように思います。原因は自分にあって,実は2001年にStockholmで置き引きにあったため在スウェーデン日本大使館でパスポートを再発行していたのです。在外公館発行のパスポートというのは入出国審査官の関心をひくらしく,質問されまくりでした。
London経由Stockholm入出国,London入出国,Frankfurt入出国というのがありました。本来,Frankfurt経由でStockholmに行けば,シェンゲン条約国ということで入出国の過程を減らせたのですが,フライトの空きの問題があってできませんでした。イギリスは独自に入出国審査を行っています。
まずStockholm Arlanda空港では,「スウェーデン在住ですか?何でスウェーデンでパスポートを発行しているの?」との質問がありました。そういえば,昨年の海外出張は7月と8月だったので9月11日のNYテロ以前だったので,厳しくなかったのかもしれません。出国の際も,同じような質問をされました。最初に英語ではなくスウェーデン語で質問が来たのには面食らいました。EUの住民であればIDカードがあるので,確認しようとしたのかもしれません。考え過ぎかもしれませんが,また日本人であることを確認するかのように「こんにちは」と挨拶を投げかけてきたりしました。そのとき,隣のブースではブルカをかぶった一人の黒人女性が審査官ともめていました。
何げに聞いていたら
審査官「ブルカを脱いで顔を見せて欲しい,写真と相違があるように思う。」
女性「あなたには私たちの人種の顔を判別できないだけでしょ,本人です。」
審査官「いいや,あなたをどう見ても65歳には見えない。」
・・・横目で見た女性は,20歳代にしか見えませんでした。
もっと怖かったのは,何故かもめていた女性が同じLondon行きのフライトの出発間際に乗り込んできたことです。時は9月10日です。さすがにLondonの厳しい入国審査を通り抜けられるとは思いませんが,どこかへの乗り継ぎだったのでしょう。出国審査官は,出ていってくれるならOKとでも考えたのでしょうか。
Londonの入国審査は相変わらずの長蛇の列。EU市民と大英連邦市民は別受付で,その他が混んでいます。以前,1時間待った経験がありましたが,今回は40分程度で済みました。「何でスウェーデンでパスポートを発行しているの?」はお決まりですね。
一部の例外を除けば,在外公館の多くではバーコード無しのパスポートを発行しています。機械読みとり可能であるかどうかというのはここに依存します。未だ土を踏んでいないアメリカなどは,2003年10月から短期滞在ビザ免除のパスポートについても,機械読みとりではないものはビザ取得を義務づけると言い出していました。テロ警戒の一環ではありますが,実際には対応していないパスポートも多く,2004年10月に実施延期されました。日本でも発行数の0.4%,約14万冊に相当するそうです。アメリカはさらに生体情報の記録も求めているそうで,デジカメ写真をICチップか何かで記録するような方式を考えているようです。ちなみにその仕様のパスポートは,現在マレーシアしか発行していません。アメリカの傲慢というか,どうしようもないですね。
ドイツの入国は,格安航空会社を使ったのでFrankfurt Hahn空港でした。ここはFrankfurtと呼ぶには詐欺のような距離にあって,100kmほど離れています。ここでは質問はありませんでしたが,バーコードを読みとれなかったことで,ブラックライトを当てて確認したりしていました。Frankfurt Main空港から出国の際は特に問題なく,とっとと片づきました。
再び再発行手数料を支払えば,機械読みとり可能なパスポートを発行してもらえるようです。10年有効旅券なので未だ数年は使えますから選択に迷うところです。日本のパスポートにもICチップを埋め込むことを検討中のようですし,タイミングがずれてICチップ無しになるのも嫌だなと様子見をしています。