専門学校に来る生徒たち

 2月から10月の秋試験に向けた受験対策講座を担当することになった.もう既に3回ほど授業を行ったが,受講する生徒たちについて思ったことを書く.

 専門学校といっても,いわゆる専門学校生を相手にするのではなく,お仕事帰りのOLさんや大学生といった人々が講座単位で受講するところなので,さまざまな経歴の人が集まる.チェーン化しているため,立地条件によって生徒の層は異なる.学生が多ければ知識ものはそこそこに業務のイメージを持ってもらうよう努力するし,OLさんが多ければ業務経験はそこそこあるので,アプリケーションソフトウェアの幅を広げてもらうようにしている.

 今回担当した学校は都心に近く,OLさんが多い.おじさんはいないのか?という疑問もあるだろうが,やはり資格取得は女性のほうが意欲が高いように見受けられる.実は,OLさんに限らず,今回の講座は男性が1人であと十数人は女性というかなり極端な構成になっている.

 私が担当するのは基本的に夕方からの講座が多いが,たまに代打で昼間の講座に出かけることがある.すると,会社から派遣されたと思しきリストラ間近の中年おじさんを見かけることがある.自分の父親くらいの人が一生懸命になっているのを見ると,かわいそうにも思えてくる.

 変わった受講生といえば,最前列に陣取ってノートを広げ,老眼鏡のずれを常に直しているおじいさんがいた.授業についてこれているか不安になって,そのノートを覗き見たことがあるが,なんと驚くべきことか完璧に授業のポイントを押さえた内容で,間違いなく合格したに違いない.実は,講師は受講生の合格率などを知らされていない.

 さて,生徒はどんな動機でシスアド講座を受講するかといえば,情報処理技術者資格で手っ取り早く取得できそうなイメージと,プログラミングがいらないということであるらしい.初回にいつもアンケートを取るのだが,プログラミングを覚えたいという希望者が過半数を超えるのはいつものことだ.エンドユーザのリーダーというシスアドの役割をまったく理解せずに受講するため,まずその役割を具体的にイメージさせることから授業は始まる.まあ,そんなにプログラミングしたいのなら,マクロ言語以前の表計算の式やSQLごときで音を上げないで欲しいものだ.

 学校の事務局側が適切な説明をしないために,「パソコン初めて3ヶ月なんです.それも1週間に1回さわるだけ.」みたいな場違いな人が受講してしまうことも往々にしてある.もちろん場違いだと指摘せずに本人の努力に任せるが,アンケートに「難しい用語は使わないようにしてください」と書かれるのは参ってしまう.私がどんな難解な用語を使った?エンドユーザ,ハードウェア,ソフトウェアくらいでひっかかってもらってはとても授業が進まない.

 それでもなんとか回りくどい説明をしながら用語解説に終始していたら,案の定授業進度が遅れ始めた.問題演習を自宅学習にまわして調整はするが,どうしても演習不足になりそうだ.

 中にはWindows3.1から使っていますという人もいて,そういう基礎のある人は良いのだが,生徒のレベル差は著しくてどこに授業のレベルを合わせるかが難しい.


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