平成11年11月2日岡山市学校給食運営審議会第二部会の会議概要
<1> 日時・場所

  日 時:平成11年11月2日(火) 14:02〜15:43
  場 所:ほっとプラザ大供2階第2研修室
<2> 会議の概要

1 開 会
 鳥越部会長から、会議の公開について諮ったあと、「この部会は、学校給食業務の効率的運営の具体的な方策を審議することになっている。効率的な運営の在り方の方法論について、皆さんの意見を伺いたいと思う。」とあいさつがあり、議事に移った。

2 議 事
委 員:
学校給食は教育の一環であることは間違いない。子どもの食事は親が面倒を見ることが、原則だと思う。子どもたちが学校で食べるのは、3食のうちの1食だが、誰が作るかでなしに、何が作られているかということが重要だ。コストの問題は、大きく分けて、原材料の問題、調理費の問題、施設の問題である。施設については、市の建築課の方で、努力いただいていると思う。の材料のコストは、親の負担で、これを他都市と比べると、10円か20円の差であったので、このままで良い。
調達方法について、コスト面からいうと、統一メニューはいいとは思わないが、そうかといって、学校独自のメニューは必要ない。
調理の問題からいうと、給食調理員さんの熱意の問題ではなくて、制度的な疲労が来ている。基本的に、働いた時間に応じた賃金体系に作り直していくべきだ。どういう形になるかは、労働慣行等の問題もあり、一概には言えない。もう1点、誰が権限と責任を持っているかを明確にすれば、民間であろうが、市の職員であろうが、パートであろうが問題なくて、誰か作ろうと、子どもたちに安心して、いい給食ができる。
部会長: 学校給食に合った新しい賃金体系、労働時間あるいは仕事量で決まる賃金体系を、新しく考える必要があるという指摘と、安全とか栄養の問題のチェック、その責任の所在の明確化が必要という指摘だ。

委 員:
給食が始まった時点と現在時点では、少子化時代を迎えるなど、いろんなことで、制度的に合わなくなっている。もっと早く気がついて手を打てば、ここまで大きな乖離にはならなかったと思うが、ずるずると同じやり方をしてきたことが、今日の時代の変化の中で見たときに、大きな落差になってしまったのではないか。
基本的に、行政のコストと民間のコストは、同種同様の仕事であれば、民間とニアリー・イコールが普通だ。民間より高くても、安過ぎてもいけない。税金で運営されるものだから、市民感覚よりも非常に高い賃金労働条件で行われるのはまずい。逆に、モラルが下がるような賃金労働条件でもまずい。ところが、昨今、これが非常に乖離してきている。競争が厳しくなった飲食業と比べると、さらに乖離が激しくなっているのが、実態ではないか。
当局として方策を考えなければならないが、はっきり言えるのは、民間とかなりの格差がついたのは事実で、民間との格差の大きなものが、人件費コストであることも、ほぼ事実だ。しかし、やっている方たちは、一所懸命やっており、雇われた側に責任があるのではない。体制自体に、悪い中でズルズルやってきたことに、大きな問題がある。望むべき形態、どのような給食制度にすべきかという将来の方向性は、語れると思う。
その中で一つ言えることは、学校の教育日数と教育時間というものと、給食の時間とが合わないことである。したがって、学校側に合わせるのではなく、給食の回数に合わせた経営を考えるべきである。そうしていけば、民間との乖離は、極めて少なくなるはずであると思う。また、少子化の中で、いままで1校でやっているが、今、労働の散らばりが、非常に大きくなってきているから、数校まとめてやっていかなければならないようなこともあるし、その経営形態もどうするかということもある。民間の経営者として申し上げるが、常用雇用の労務体制に合わない作業形態になっていることは、事実である。したがって、学校給食は、衛生問題や栄養管理について、現状のレベルを落とさないことを前提に民間のコストに近いような経営形態を模索することがベターであると思う。その形態として、いくつかの方策はあるが、いまの状況の中で、その相対コストをどう下げるかというと生産性をあげる方法の模索も、一つである。それから、第三セクターで、そういうものに適した経営形態を模索することも一つである。それから、民間に外部委託することも、一つの方策であると思うが、第三セクターで、経営の効率化の入る仕組みづくりをして、安心して、かつ、コスト的にもリーズナブルという形を模索するのが、妥当であると思う。

部会長:
問題の背景は、制度疲労というか、時代後れ、それをそのままにしていた行政側にも、必ずしも問題がないわけではないということで、行政としては、大きな付けをどう解決するかは、しっかり行政側の責任として考えなければならないということが、前提としてある話だ。
民であろうが公であろうが、同じ業種であれば、そんなに差がないというのが、前提でなければならないという考えで、それを原則と考えるならば、あまりにも実態は乖離しすぎている、格差があり過ぎているという問題に、もっと真摯に直視しないといけないということだ。その方策としては、給食が184ぐらいの回数だったが、そういう回数に合う形態が、雇用形態、経営形態の両方の形態が考案されなければならない。そうすると、常用雇用が、果してなじむのかということから、問題を提起していかなければならない。そうすると、いまの形態で、民間委託、第三セクター等々の工夫があってもよいという指摘だ。それから、時代後れになる、あるときには時代に合っているが、いろんなことが起こると、時代後れになる。そのときのチェック機能、そこでストップがかかる仕組みを、その中に内包していかないと、いまのように、ずるずるといく。そのチェック、見直すときの基準が明確になっていないと、時代後れとなる。そういう指摘だ。

委 員:
基本的には、給食のみならず、いまの行政の中でいちばんの問題は、経済的な効率を計る尺度がないということだ。それがないために、ここまで行ってしまっているということだ。だから、そういうメルクマール(指標)をしっかりしないと、今後も、こういうことが起こり得る。この問題だけでなく、いろんな分野で起こるし、起こっていると思う。特に、建築の問題でも、我々が考えられないような建築コストが出てきている。民間の倍から3倍というところまで行ってしまったのは、一体、どのへんに問題があったのか、深く考えなければいけない。

部会長:
そこらが、制度的にも問題があるということで、非常に考えさせられる指摘である。
委 員: 給食は、大きな役割を果たしてきており、今後も果たしていくと思う。ただ、前回、説明をしてくれた元校長の話にもあったように、給食調理場で、一人でも休むと、業務が非常に滞ってしまうため、いろいろな措置が講じてある。それに対して、市民は、ええ、そんなことが、というようなことを感じたと思う。一方、教員は、一人休んでも、校長、教頭、教務主任なりが授業に行き、何とかやっている。
ほかの市立の施設、病院とかに比べて、何か学校現場では、三季休業中は、スプーンを磨くということで、決して悪いことではないが、そういうことをやっているということだが、ほかは、そういうことはできないのではないか。やはり、賃金体系ですね。これは地方公務員法第57条に、単純労務に雇用される職員ということで、それぞれ努力して、いまの賃金を獲得されたと思うが、賃金体系について、何か見直しをしないと、一般市民は、納得をしないと感じた。それから、教育全体に使う費用、予算が限られている中で、給食に関する人件費が、非常に率が多い。一方、障害を持った子どもが車椅子で来ても、世話をする者はなく、担任などが、車椅子を、階段を持ち上げたりする。そういうことに対して、一人、時間的な職員をお願いしても、予算的なものはつかない。一方、給食の方では、手厚いことがなされているということで、学校現場では、もう少しほかの分野にもという考えがあることは事実だ。できるだけ人件費というか、このコストを減らして、学校が困っている方にも、手当てをしてほしいと思う。
部会長: いま、指摘いただいたのは、あまりにも優遇され過ぎていて、バランスに欠けるという話で、あまりにもの部分を見直して、賃金体系も、その中で検討する必要があるという指摘だと思うが、特に、休まれた場合の、指摘いただいたのは、代員制度のことを念頭に考えればよいのか。

委 員: そうだ。実際いなかったら困るので、代員制度がある。

部会長: 教員側にはそれがない。そういった優遇措置を、もう1回検討し直して、本当に必要なのかどうか考えることを、指摘いただいた。

委 員:
私たちと現業労働組合で、資料、パンフレットを作って持ってきた。配った資料、パンフレットは、組合的にも、市民の会の方とも議論しながら、ずいぶん時間をかけて、いろいろ検討してきたものだ。もう一つ、資料で配っている「豊かな学校給食をめざす要求書」、市の職員労働組合と現業労働組合で、これもずいぶん時間をかけて議論をして、現状を率直に見て、いまの時代、何をしていくべきか、学校給食に関する提言、提案というものになっている。
コストの問題というか、行政がする仕事は、かけたお金が、どれだけ市民の役に立っているかということだ。例えば、学校給食で、市民から見て、これは何ならということだと、100円でも高い、そんなものはいらないということになる。ところが、それが本当に子どもたちや地域のためになっていれば、710円でも高くないと思っている。そういう点で、本当のコストは、働いている者の努力で、どういうサービスができるかだと考える。そこで、要求書だが、学校給食の現状を少し分析している。
岡山市の制度は、ずいぶん優れている。自校でやっていることや、すべて小・中学校ともやっている。それから、栄養士もきちっと配置されている。調理員も、文部省基準できちっと配置されている。そういう点で、優れた制度があるのが、現状だ。ただ、それを、十分に生かした給食制度ができているかと言えば、そうはなっていない。そこを見直して、求められる学校給食をつくっていくことが、こういう給食をするということを市民に提言していくことが大切だと思う。
給食の中身なしで、コストだけというのは、少し議論がむずかしい気もするので、少し言いたいが、堺市でO-157の事件があった後に、文部省の通知の中で出たのは、統一献立や食材の一括購入はいけないのではないか。栄養士が各校にいるところは、できるだけ自校献立、自校調達がいいのではないかと出ている。そういう点から、都市も農村部もある岡山の地理的条件を生かして、それぞれの地域に合った献立や、地域の食材をできるだけ活用することがいるのではないか。それから、食器も制限をなくして、給食の中身に合ったものを使うよう、いままでの規制をなくしていくことが、必要だと思う。いま、子どもも大人も、アレルギーが大変あるので、何とかしないといけないし、教室で食べるのでなしに、ランチルームや食堂という形にする。温かいものは温かい、冷たいものは冷たいという給食を作り、提供するということがいると思う。そういう点で、私たちから17項目提案している。先ほど申し上げた不十分さを克服した給食を作ることが、いちばん大切だと思う。当然、優れた制度を生かすべく、直営、自校、正規職員を前提として申し上げる。それから、特に、三季休暇など、何をしているのかという議論もあるが、学童保育や部活の方に給食を提供することも考えている。それから、休暇中に仕事として、地域での調理教室や料理教室、栄養教育を栄養士や調理員が専門性を生かしてやることができれば、優れた制度になっていくと思う。子どもたちと地域、そして、一人暮らしのお年寄りへ給食を配るということも考えていけば、いまの制度の中で、優れた給食が作れる。そのことが、本当のコストではないかと考えているで、ぜひ、議論していただきたい。それから、代員制度等の意見もあるが、文部省の基準でやっているということもあるが、調理にはそれだけの人数がいるということで、一人休めばできないのが、現状だと思う。現場で働いている人たちの名誉のために言うと、給食を作っている期間には、そんなに休んでいない。三季休暇で、できるだけ休みを取るという形で、努力していると言っておきたい。そういうことも含め、現状を生かして、子どもや地域のための学校給食を作っていく、制度を豊かにしていく方向で考える方が、地方自治体としてやる仕事としては、いいのではないかということだ。

部会長: 現状がベストだ。それをは維持することが大切だという話だ。

委 員: 豊かにしていくことだ。

部会長:
よりよくすることが前提の話だった。ただ、最後に、地域との関わりを持つことによって、学校と地域とのつながりを考えるというのが、新しい指摘である。福祉活動の一環として、一人暮らしの高齢者の給食を行う。これは従来、やってない。将来的に、改革の中で、より豊かな地域との連携の中で、そういう新しい方向を考えるということで、新しい提案として受け取る。学校だけにとどまらないで、地域の給食を求めている人たちにも、この機能を果たしていきたいという、新しい提案として、検討に値すると思う。今後、詰めなくてはいけない問題でもある。

委 員:
いままでの話は、学校給食は必ず必要なものだ、確かにそうだと思う。ただ、学校給食が、いまあることを前提に話をするということでなくていいと思う。今一番、学校現場に行って感じることは、学校が、一種の託児所状態になりつつある。要するに、大人は、子どもを学校にやれば安心している。実際、自分が関わって、一緒に子どもを教育しているのかと疑問を感じる現象が、多々起こっている。そういうこととかみ合わせて考えると、いっそのこと、PTAが給食を作ったらどうかと、実は、内部でも、そういう話をよくしている。それは、栄養士の仕事をするわけではない。そんなものはできない。ただ、調理そのものに関しては、ある意味で、学校に関わることは必要なことである。要は、託児所状態ということから、自分たちの学校である、自分たちが直接関わって、子どもたちといっしょに、接点をもって学校に関わるためには、いいチャンスだと考えている。我々PTAの方で、給食の委員会を作り、そこでも話が出ているが、そういう発想を、ぜひ、この機会に考えたい。仕組み的になにもしてなくて、ここまで来ているということは確かにあると思うし、誰のせいだというのはないが、これからは、地域の学校というように持っていかないと、多分、公的な学校は、存在しなくなると思う。そこで、いまの時点で、話せることは、給食も、開かれた学校の一つの部分、一つのむしろ切り口になる。
調理に関しては、保護者が、直接的に関わってやれる仕組みを取り込む、コストに関しては議論されているから、その中でコスト計算は、多分、人件費がいくらなら払えるとか、世間相場というものは、当然出てくるから、そういう中で具体的な話を進めていくのが、一番いいのではないか。それこそ教育の一環であれば、公にすべてお任せでなくて、自分たちが直接関わって努力し、子どもたちに直接関わる姿勢を持つべきだというのが、多分、我々の立場であると思っている。

部会長:
非常に、原点に返った話で、検討に値する。子を育てるのは、親の責任ではないか。親の責任の中に教育がありとなれば、特に、食事は、まさに、親の責任の範疇にある大事な仕事である。親が関わる仕組みが、公か民かという話でなくて、親の話だと強調されていると思う。我々が、どうも、前提として考ているのが、公が提供するのか。公という場合は、公務員という仕組みの中で提供する一つの形態が生まれてきている。それだけではなくて、民でもできるという話が、一方にある。また別の角度で、親ということも出てくるという指摘で、非常に、本質をついた話だと思う。

委 員:
親が選ぶものなら、それでいいわけだ。だから、岡山市全体が、一つで動かなければいけないという前提は、いらないと思う。基本的には、各学校単位の事情で、自分たち保護者はこうしたいでいいのではないか。

部会長:
非常に新鮮な発想だと思う。感心して聞かせていただいた。根本に立ち返ると、食事の問題は、朝、昼、夜を問わず、親の領域の問題で、そこを外しているのではないか。公がやるからいい、民がやるからいいという話とは違う問題だ。親が関われる仕組みを考えろという指摘で、新しい発想だ。その仕組みはどうかというと、非常にむずかしいが、そこの問題だと思う。だから、民営化したらいい、公が作ったら一番いいとか、そんなものではない。一番いいのは親という視点を、民だ公だという話の前に、親の話が出てくるのは、本質だという気がする。

委 員: あまりにも、民かどちらかという話になり過ぎていると判断した。

部会長:
公の人も、公が一番いいと考え過ぎているという問題は、あると思う。そのために、親の問題として、延長線でどう仕組みがあるかを考えるというのは、説得力がある。

委 員: そうですか。

部会長:
頭の中に、そういう発想がなかったから、非常に新鮮に聞かせてもらった。事務局から、議論を深めるために提出されている資料があるので、説明してくれ。

事務局:
本日、所用で欠席されている2人の委員から、質問や意見をいただいているので、朗読する。副部会長からの効率的運営についての意見、提案だが、夏休み、冬休み、春休みの休業期間があって、年間給食実施回数は180日程度である。また、その中でも、年休等の休みがあるのであれば、他の部署に勤務する職員と給料が同じというのは、あまりにもバランスを欠くと言わざるを得ない。一方で、一般の職員の定年は60歳なのに、給食調理員は63歳である。給料は、勤務時間や仕事内容と一致しないとおかしい。
この第二部会では、効率的運営の在り方を検討することになっており、これまでの資料で、1食当たりのコストの内訳を見ると、基本的に、給食の質を低下させないという前提で考えれば、どうしても、人件費を抑制する方法について検討せざるを得ない。考えてみれば、子どもたちにとって、目の前に提供される毎日の給食が、これまでどおり、衛生的な面が確保され、新鮮な食材で作られ、味のいいものであれば、誰が調理作業をしたのかは、関係ない。市長も言われたように、既成概念や法律、条例等の枠にとらわれていたら、人件費の問題を解決することは、むずかしい。前回の部会でも、誰かが発言されたように、システム自体を根本的に変えないと、将来的な改善にはつながらない。
そこで、提案であるが、パート職員への切り替え、可能な業務部分は民間への委託、給与を労働内容に見合った金額に減額、第三セクターの活用など、思い切った対策が必要だ。これらの方法の中で、実施可能なものは、来年度からでも、早急に実施すべきと思う。以上です。
部会長: 聞き漏れがあるといけないので、結局、人件費を削減することが重要だということで、その方法としては、まず第一に、パート化の指摘、民間委託、仕事の量に合った賃金体系、それから、第三セクター、そういったことか。

事務局:
もう一人の委員からは、いま、社会全般にわたり、制度、システムの見直しが必要になってきており、学校給食の在り方についても、何らかの改善策を見つけていかなければならないが、人員並びに人件費を、もう少し実態を把握した上で、改善策を考えたいので、下記の点について、資料なり回答を、事務当局にお願いしたい。
民間企業にとって退職金は大きな問題だが、岡山市の学校給食経費の中の、人件費には、退職金は含まれているか。差し支えない範囲で、大体どれくらいか。含まれていないとすると、退職金を含めたら、1食当たりの経費はどれくらいになるか。
人件費抑制の観点から、パートの増加などの方法も検討すべきだが、先日の合同会議で話が出た、調理員の年休等をカバーをする代員の実態を知りたい。岡山市の代員の数と、どのくらい、代員が、調理員のカバーをしているか。賃金は、どういう仕組みになっているか。以上です。

部会長:
システムの見直しが必要である。そのためには実態が知りたいので、退職金とか代員制の実態が知りたい。それによってシステムを考えようということだ。いろんな意見が出たが、今日、いただいたのをまとめ、さらに方法論として考えられる部分があれば、付け加えて、次の機会に、テーマを絞った話をするのが、一番いいと思う。
今まで出て来なかった問題を、委員として、意見を言わせてもらう。コストの中に占める、食材費は、保護者から集められる。したがって、食材費を抑えることは、給食経費全体を抑えると同時に、父兄の負担を軽減することになる。それは、父兄にとってもいいことで、ぜひ、図らなければいけない話だ。食材費を安くすることは、行政側が払う給食費も削減できるし、父兄負担も削減できることなので、もっと食材費を安く買う仕組みが必要だと思う。710円の中、240円が食材費だから、食材費が、仮に、1割、2割カットされたら、父兄も1割、2割いらなくなるわけだ。そこへの切り込みが足らない気がする。そこのコストはどうなっているかが、本当は知りたい。したがって、食材費が、セリの価格と、実際、給食会が購入する価格とギャップがどれだけあるのか。おそらく、入札で納入業者がいると思うが、入札で入る価格が、セリ価格よりかなり高いはずだ。そこに目を向けていく必要がある。
もう一つは、給食会が、手数料を3%取っている。その3%が適切なのかどうか。そうすると、例えば15億円の中の3%といえば4,500万円だから、4,500万円という手数料は、結局、給食費、食材費で父兄から取っているので、その部分を考えていく必要がある。
岡山市は3%だが、倉敷は1%だ。3倍取っている。1%でもできるかできないか、そこに無駄があるかないか。倉敷市ができて、岡山ができないのは、理解できないという部分もある。したがって、この定率法は、高く買えば買うほど、たくさんもらえる仕組だ。だから、給食会が、安く買おうと努力をするインセンティブがない。今の仕組みでは、安く買おうという動機が生まれないので、安く買えば買うほど、手数料が入るという仕組みを中に入れる。もう少し発想をここへ持ってきて、問題点がどこにあるか。こんなに高くなった原因がどこにあるか。人件費だけの問題でなく、仕組みなのだ。そこを指摘しておきたい。
それから、行政の中で、給食というサービスを福祉も病院も学校も、いろんなところがやっている。それの機能を統合させる。倉敷は、共同方式の方がずっと安くできている。岡山市は、共同方式も自校も、ほとんど変わらない。むしろ、共同方式の方が高い。そこが問題だ。共同にして高くなるというのは、どこか仕組みがおかしいのだ。倉敷は、自校の場合は、1食644円だ。岡山市は、平均で710円。それから、共同では520〜530円だ。経済的な発想で考えると、共同して大量にやれば、合理化され、生産性が上がるのが普通だ。生産性が上がらない仕組みは、どこかに問題があるので、共同方式で高くなるのは、徹底的に、どこに問題があるか掘り下げてもらいたい。必ず、無駄がある。
今は、倉敷だけの話だが、他県を比較したら、もっと共同の方が安くできる県があると思う。だから、あまりにも現状がベストとか、これがいいというのでなくて、そういうことも他府県と劣らないという中で、物を考えるのであれば、考え方として傾聴に値するが、そうでない、岡山市独自の、いろんな問題があるという気がする。
私は、たまたま倉敷のこれと同じ委員をしているからわかるが、もっといい都市があると思う。そこらと比較して、よいことは見習う姿勢がないと、制度は存続しない。
議論の中で出てきたパート化、民営委託、第三セクター、人件費の抑制は、各委員が言われている。それから機能の統合化、機能を統合して、地域との結びつきを強くするということも言われている。ただ、安く買うことと、それから、共同方式はやっても効果がないのは、どこかに問題があることを指摘しておきたい。それから、PTAが給食実施の指摘は、非常に根本的な問題で、十分に考えを及ぼさなければいけない、新しい視点として考えてみたい。それから、新しい仕事量による賃金体系のシステムも指摘いただいたので、そういう人件費の問題は、どうすべきか。
それから特に、定年の63が60に、63があまりにも優遇措置だという指摘だが、一般の公務員と、いろんなことを標準化される中で、ここだけが63は、あまりにも突出しているという指摘も、考えなければいけない問題だ思う。いろいろ指摘いただいたが、どういうことが必要か、現実的にどうすべきか、長期的にどうすべきか、いろいろ精査すべき問題があるから、また次回でも、改めていろんな方法をまとめて、議論をテーマごとに行えばよいと思う。漏れた点があれば、指摘いただきたい。

委 員:
食材費のことだが、地域の学校だから、当然、地域で食材というのは作っている。職員の仕事の均一化という問題から、例えば、キュウリ1本でも、まっすぐで、この長さという買い方をする。おいしいか、おいしくないかは別にして、作業の均一化で、そうしているようだが、我々から考えれば、別に曲がっていても構わないわけで、そのあたりを考えれば、多分、コストが半分になることは多々あるのではないか。それは、全体をそろえてやるということも一種の弊害と考えて、独自校で、自分たちができること、やりたいことが実施できるような仕組みを作ることによって、ある意味で、地域の活性化につながる。自分たちがやっていることが、学校で生かされるというように、食材に関しても同じことが言える。

部会長:
いろんな制度の歪み、矛盾が、画一的で公平で同じものとなると、それはそれで維持されても、もう一方の問題が起こってしまう。あまりにも、そこに偏り過ぎている問題があるという指摘だ。

委 員:
食材のコストの関係から言うと、同規格、長さ15p、まっすぐなキュウリで、実を言うと数が問題なのだ。小学校で15万食、5万食か。

委 員: 小学校で、約6万弱。

委 員:
小学校で6万弱、中学校で2万の食事を、岡山市が同じメニューでやっているので、市場でそろえるために、これだけのお金がいる。要するに、6万食のキュウリを、大体同じような規格でそろえろと言われたときに、それは確かに、売る方は高い。そこらの問題はある。先ほど言ったように、コストが3つある中の、食材のコストは、そのへんの問題が出てくる。それと、安く買って、調理員が切りにくいが、曲がったキュウリを切って、コストを半分にしたときに、それが親の方に返るシステムをつくらなければ、部会長が言われたような、学校間の競争だ、うちの学校は給食費が安いという学校があれば、励みにもなろうし、いい感じにいくのではないか。質を落とすのではなく、そういうことが出てくる気がする。

部会長: 事務局の方で、全国と比較した調理人、栄養士の配置を説明してください。どこが違うか。

事務局:
他都市の学校給食の実施状況、これは、岡山市が調査した中核市及び類似都市の状況で、学校栄養職員配置数、給食調理員配置数とあるが、岡山市と倉敷市が、栄養士が各校1名の配置という状況である。他は、国基準が多い。調理員の配置は、国基準のところと、独自基準を持っているところが、数が少し多い状況であるが、岡山市は国基準である。
部会長: 各校、例えば岡山市のところに、栄養職員配置数で市費が73人、トータルで73人いるということは、73校あるということか。

事務局: 小学校で、調理場があるのが80校、中学校25校です。

部会長: そこに73人が、市費としているのか。

事務局: 73名が市費、37名が県費だ。

部会長: トータル何人になるか、110人、105校で110人か。

事務局: それから、共同調理場が4名。

部会長:
いずれにしても、各校に1名ずつ、市費を投じて栄養士を雇っているという理解でいいか。他の類似都市では、ほとんど市費の栄養士は配置されていない。これをどう読むかは、それぞれ観点が違うわけで、ここまで必要なのかという議論もある。他都市は、これでできているということと、これがないとできないという考えと、いろいろあるから、もう少し議論を、皆さんで個別にしようということだ。そういう実態も踏まえ、いいと言いながらも、あまりにも極端な場合が出てくるから、そういう点は、素直に考えてみることも大切なので、ぜひ議論したい。

委 員:
我々の要求書の件で、地域の弁当配食が新しいと、部会長が言われたが、全体的に、現状から見ると、新しいという感覚でいる。そういう感じで出しているので、現状でやっているものは、別に改善しようという提言はしない。それが一つと、食材の購入が、大きな経費を考える上でも、大変大きな問題だと思う。実際に岡山市内でも、給食会に入ってないのが11校か12校かある。それらは、独自にやって、実際にやっていけているわけだから、検討していく必要がある。そういうことと同時に、学校の独自性というか、岡山市内全部、画一でないとだめということではないと思うので、食材購入も独自にして、地域の特徴、学校の特徴、学校の判断もいるのではないかという気がしている。

部会長:
もう一つ付け加えたいが、710円かかっていて、父兄が240〜250円払っていることは事実だ。したがって、市民は、そのことを十分に知らないか、知らされていないことが非常に問題で、コスト意識を持ってもらうためには、まず、関係者も、しっかりコスト意識を持ち、情報を共有化することが必要である。これが、高くていいということは、思っていないでしょう。

委 員: そんなことは思っていない。

部会長: 千円になると、もっといいとか。そんなことはないんでしょう。

委 員: そんなことはない。投資効果で、どうあるかということだと思う。

部会長:
高ければ高いほどいいという論議をしているわけではないので、皆さんも、そこは共通と思う。同じ物なら、できるだけ安い方がいいというのはわかりきった話で、そこの論点が違えば、これは話にならない。できるだけ安くするという努力は大切なので、その点をきちんと踏まえておかなければいけない。そうすると、実態がどうだということをみんな共通に持っておかなければいけないということだ。
質問だが、給食費を毎月徴収しているか、3か月、4か月まとめて徴収しているか、現場はどうなっているかを教えてほしい。

事務局: 給食費は、毎月集めているところが、ほとんどだと思う。

部会長: そのときに、問題は、給食費として父兄から徴収されるのか、どういう費目で徴収されるのか。

事務局: 給食費だ。

部会長:
給食費として徴収されるというのは、十分な説明ではないというのが、言いたいところだ。食材費として徴収してもらいたい。給食費として出しているために、何人かに会って、どういう理解かと聞いたら、給食費は、全部出していると言っている。県や国にお世話になっていないというのが、多くの人の意見だ。真実を正しく説明しないから、こういう誤解を生ずる一因となっている。したがって、710円、食費はかかっているが、そのうち240円を食材費として納めてくれと、それがいいか悪いかは別の問題だが、きちっとした説明をして、父兄からもらうのは、給食費の一部だとわかるように、徴収してほしい。そうすることによって、市民の理解、父兄の理解を得ることができるので、給食費を納めているといったら、誤解を生む表現だ。税金を納める人から見れば、非常に失礼だ。したがって、正しく説明をするという説明責任、アカウンタビリティが、非常に重要な話だから、あいまいな形で徴収しない。そこから議論が起こってきても仕方がない、本当のことだから。そのことに、あまり臆病になってはいけないと思う。だから、この費目を徴収するのは、学校、校長サイドか、教育委員会サイドかわからないが、そのことは、ぜひ、このコスト意識を、安くする、高くする前の話として、きちっと説明するように、考えてほしい。

委 員: きょうの資料のことで、改めてちょっと見たので、よいか。

部会長:
あまりこの論議と離れた話でなく、コストに結びつく話であればいいが、その範囲内で追加できれば、どうぞ。

委 員:
資料の、ワークサンプリングのがあって、この分析は、多分これからと思うが、ちらちらと見た感じで、いちばん最後のページに。

部会長: 出された資料の質問なら、どうぞ。

委 員:
事務局の方も、これから、少し中身を分析されると思うが、作業の仕分けで、主要作業、関連作業、その他作業となっているが、例えば、関連作業の、調理器具とか食器の準備、片付け、洗浄とか残菜処理というのは、給食をつくる上で、主要作業ではないのかどうか。それから、例えば、その他でいう、歩行は、2歩以上歩くということだが、調理は、その場に立ちっぱなしで何かをするということはないと思う。隣に動くとか、O-157以降、衛生面、消毒がものすごく言われて、肉を切って、次に何かする場合、必ず手を消毒するという点で、この仕分けはどうかという感じがするので、分析のときには、そういう点も、どうなのか、今日、あれこれ言わないが、考えてほしいというのが、この資料を見ての状況だ。あまりこの主要作業、調理してないではないかという感じに、これパッとみたら出るので、そんなことはないというのを感じるから。

部会長:
分類は分類としてね。これで必要という理解ではなくて、歩行は、2歩以上歩く場合は歩行と定義するということだから、こうしないと測れないという問題がある。

委 員:
給食の主要作業、調理作業としては、いちばん上の主要な作業に多く入ってくるのではないかな。分類上の問題、定義上の問題で。

部会長:
あまりシビアに考えなくても、洗浄、消毒は、必要でないというように理解しないで、付随する作業だから、言葉は、大切といえば大切だが、見方として、こっちは主要でこっちは不必要という読み方をしなければ、それでいい。

委 員: そういうふうに見ればいいわけだな。

委 員:
先ほど言われたPTA、保護者を使うということについて、尋ねたい。給食が始まったころの話を聞いたのだが、そのときは、地域の方とか保護者が関わって、給食を作っていたという話をよく聞くので、そのときの仕掛けはどうなっていたのかと聞くと、返事が返らない。地域の方とか保護者が、うちの給食は作っていたと、地域のお年寄りとかから聞くが、そのときの賃金体系、私の、最初言った賃金体系を見直すというのは、そのへんも視野に入れて言った話だが、最初、地域の方が働いたのは、多分、パート的なものだったと思うが、そのへんはどうか。

事務局: 詳しくはわからないが、PTAで雇用していたということは、聞いている。

部会長: PTA会費を納めてもらったものの中からなんぼうか、おそらくお礼だろうな。

委 員: 多分、おかあさん方の有志の方が、作っていた時代もあったという話は、昔、聞いたことがある。町内のおばさん方が作っていた時代もあったのか。

事務局: 30何年ごろか。

委 員: そのころの賃金体系は、多分、いまとは違うと思う。

委 員: 配った資料に、歴史があるが、61年に、PTA雇用から市職員として雇用となっている。だから、PTA雇用だ。

委 員: ここらへんの資料は、古いから、ないだろうな。ここらへんが、今回の議論に、コストの上で、ヒントを与える部分があるのではないか。

委 員: 我々の、PTAの関わり方も含めてね。

委 員:
保護者が関わる、親が面倒を見るという、多分、このことは、そういうことから始まるという気がするので、そのへんの問題があったら、次回に。

部会長:
今は、あまりにも他人に任せ過ぎるという感じだ。何でもかんでも、学校に、親が子どもを全部丸投げ、言葉は悪いが、そこの問題点が出て、親が、おそらく、他人事として受け止めている。そういうこともあって、仕組みとして制度疲労がきている。原点に返って、親の問題として考えることが重要だ。学校にすべてを任せるということが、無関心を呼ぶのだと思う。したがって、もう1回、原点に立ち返って、我々も考えなければいけない。

事務局: PTA雇用は、わかる範囲で調べてみたい。

部会長:
段々、議論が白熱してきたが、議論するメンバーがそろって、議論を深めれば、三人寄れば文殊の知恵で、いいアイデアが出ると思うので、今日は、これぐらいにして、次回に、メンバーを集めてやりたい。

委 員:
事務局に尋ねるが、資料6、栄養士、調理員の年間給与額の現況で、民間企業の額を出していただいている。最初に、市の栄養士、調理員の年俸とかをいただいたが、年齢や勤務年数が、同じでないので、比べることができないので、説明して欲しい。

部会長: 給与について、出ている資料があったので、説明していただきたい。

事務局:
資料6について説明しますと、栄養士は、岡山県内の10人以上の企業に勤務する栄養士を参考に作っている。栄養士の場合は、年齢29.5歳、勤続年数8.2年で、実労働時間数が月168時間、年間給与額は305万2,700円となっている。調理士も女性だが、年齢44.3歳、勤務年数が6.6年、実労働時間数が月171時間で、年間給与額282万1,600円。これが、民間の賃金センサスで調べた金額だ。因みに、これで、岡山市の実支給額でいくと、栄養士は30歳で、年間447万1千円、調理員が45歳で、年間672万円。こういう比較になっている。

部会長: 民間よりも高い実態が出ている。調理員は、2倍強という賃金体系になっている。

委 員: 市の実労働時間が出ているか。

事務局: 栄養士は、月155.6時間、給食調理員も同じ、月155.6時間だ。

部会長:
あと、時間単位でいくらとか出さないと、比較にならないから、また、資料として追加していただきたい。今度、人件費がどうのこうのという話になると、そういった説明も必要になってくるから、テーマごとに議論したいと思うし、中には、民間委託やパート化の話が出ていたから、そういう民間との比較とか、時間単位とか、もし、こうやると、これだけ削減できるとか、そういった資料が整えられるなら、整理をして送付してほしい。

委 員: 交付税の関係は、きょう、資料に入ってない。ぜひ、次回までに、地方交付税を。

事務局:
送らせていただく。学校給食に対して、国から交付税が流れてくる。ただ、交付税額がいくら来ているかは、計算上、出てこない。

委 員: トータルでよい。

事務局:
交付税はトータルでくる。交付税は、その都市の財政力に応じて交付されるもので、その対象需要額の中に、給食関係もプラスされる部分があるので、その部分について、次回に、報告したいと考えている。もう1点、先ほど、本日欠席の委員の方から、質問を2点いただいているが、これについては、改めて、文書で皆様方に送る形を取らせてもらいましょうか。

部会長:
送られる資料の中に、入れてくれ。ほかに何か、次回に向けて、事務局に準備をしてもらうことはないか。いろんな貴重なアイデアや意見をいただき、段々と方向性が、少しだけれど、出てきたような感じがしている。しかし、いろんな問題点を、それぞれ持っているので、次回は、いま出たテーマを中心に議論を深め、より諮問に答える形で、具体的な方策が出ればと思っているので、今後とも、協力いただきたい。