平成11年9月9日岡山市学校給食運営審議会第一部会の会議概要
<1> 日時・場所

  日 時:平成11年9月9日(木) 10:00〜11:39
  場 所:ほっとプラザ大供3階 第3研修室
<2> 会議の概要

1 開 会
 青山部会長が開会あいさつ、会議を公開することとし、副部会長に沖田委員を選出、本日のスケジュールを説明した後、議事に移った。


2 議 事  
(1)学校給食の現状について
 部会長から、第一部会は、健康教育の観点からの学校給食の在り方に関すること 安全管理・衛生管理面からの学校給食の在り方に関することの2点について審議すると説明があり、事務局から、学校給食の現状について説明。
質疑応答、意見の要旨は以下のとおり

部会長:
食材の細菌、農薬、添加物の検査を定期的にしているとのことだが、どこが、どういう形でするのか。どの程度の内容の報告書か。何か異常が出たことはないか。

事務局:
5月、9月、2月の年3回、薬剤師会へお願いして検査している。諸細菌検査は、豆腐の細菌検査等、農薬は、主に野菜、果物について調べている。報告書は後で提出する。特に問題になる異常はない。

部会長:
検査項目は、国の基準があるのか。市独自でやっているとすれば、そういう検査を何回するかを明らかにしないといけない。

事務局: 薬剤師の方に指導をいただきながら、うちの方で検査している。

委 員:
WTO(世界貿易機関)の農薬に関する基準が緩くなり、学校給食でも心配されるが、母親として心配なのは、添加物と農薬だ。検査をしているなら、何かの方法で開示してほしい。

事務局:
公開はしていない。農薬は、ある程度小さい項目が出ており、資料で出す。添加物は、物資審査会で審査している。添加物を入れなくてもできるものは、なしにするとか、厚生省基準より低いものでしてほしいと業者へ対応を依頼している。

委 員:
みかんのワックス処理は、学校では植物系のもので心配ないと聞いたが、子どもが食べるものだから、下処理が少なくて済む新鮮なものを心がけてほしい。

事務局:
ノーワックスみかんを、3,4年前から納入している。ただ、品物に限りがあり、遅い時期になると日持ちがしないので、ノーワックスでないのが入る。

部会長: 検便の検査機関と内容は。

事務局:
検便の業者は入札で決まる。月2回実施し、内容は、赤痢、サルモネラ、腸管出血性大腸菌の3点だ。厚生省の基準は月1回だが、文部省は月2回以上としている。

部会長:
入札もよいが、検査の精度管理が重要だ。検便はきちっとした方がよい。健康診断はどうか。健康診断の回数や検診項目が、多ければよいというものではないが。

事務局: 年3回以上が望ましいとあるが、市の定期健康診断で、年1回だ。

委 員:
学校教育の中で、食に関する指導はこういうことが関係する、できるという一つの目標だから、実際にされるかどうかは別問題だ。食に関する教育のプログラムが、どのように実施されているのか。

事務局:
献立を立てる段階で、教材とするということで立て、各学校の栄養士が教材を生かす形で指導しているが、詳しい内容は、後日報告する。今、学校栄養職員等が、特別非常勤講師で教室で授業する制度ができて、岡山市も中学校で、具体的に食に関する指導の研究に取り組んでいる。

委 員:
学校給食を総合的に、健康や衛生面から考える部会なので、中毒を出さないのは基本だが、食材の安全を求めることが大切だ。輸入食品が増えて、安全性を危惧している。例えば、トウモロコシは、汁物に入れるのはアメリカ産で、本当に安全なのか。焼いて食べるトウモロコシは、北海道産で、低農薬かどうかわからない。輸入食品は、検疫所が少なく、抜き取り検査の盲点で、業者が自らサンプリングをすることが許されたり、同一食品のベーシック的な審査はしなくてよいなど、問題点が多い。食材、食器、環境の問題を総合的にこの部会で話し合っていく必要がある。みかんのワックスの激しいのは、市教委へ連絡して取り替える。キャベツなどが、水に入れるとキラキラ光って、農薬がかかっていると感じる。共同購入でむずかしいが、安全な産地を選ぶなど、検討したい。

委 員:
いま、学校教育が、非常に混乱状態にある。その一つの原因が、交通安全、性教育、環境問題、ボランティア、福祉問題等全部学校へ来る。しかも学力をつけてくれと。今度の学習指導要領も、知的な教育の時間数が段々なくなり、本当に学校の役目が果たせるかと危惧を持つ。理屈から言えば、教科、道徳、特別活動等でやれるというだけで、実際に、給食関係、性教育、交通安全でこれだけ入れると、時間がいくらあっても足りない。学校教育の中身のリストラを早急にやらないと、被害者は子どもで、子どもにいろんな現象が起こっている。もう一つ、給食会未加入校、小学校85校中11校、中学校32校中1校は、どういう意味か。

部会長: 最初の分は総括的な問題で後にして、未加入の理由が何か。

事務局:
合併した足守、高松、吉備の方面の学校は、昔から地元業者とのつながりがあり、給食会に入りづらいと。我々も給食会も、学校へ加入の話をするが、現在これだけの学校が、未加入だ。品物によっては、一部給食会へ入っているところもある。

委 員: 未加入校は、共同購入から枠が外れるわけで、農薬その他の問題はどうか。

事務局:
主食は、県給食会に全部加入しているが、副食の関係が入ってないところがある。未加入校からも検体をもらい、食品検査、細菌検査をしている。

部会長:
学校と家庭と地域社会をどう連携するのかという問題で、学校給食に関しては、状況が変わってきた。食べるものがない、粗食をもって美徳となす時代と、今日の飽食の時代、核家族化の中で、箸の持ち方の躾けも学校給食に負担がかかる。心身ともに健康な子どもの育成の意味で、学校給食にどんな問題があるかは、幅広く検討しないといけない。例えば、摂取カロリーの問題や食品構成別の時代的変転を、誰が、どうチェックしているか。現場の調理員の安全に対する疑問が、献立構成に生かされるシステムがあるのか。給食の現場で働く人の不満が、吸い上げられるのか。検食して、みんな適か。不適があったとき、どう勘定されるのか。健康状態も本人のセルフチェックで、書いても書かなくても同じ。不良と書いたら、何とかしてくれるのかもある。

事務局:
共同購入物資で、初めて使う品物は、物資審査会で採用するかどうかを審査する。業者選定委員会で衛生的なこともチェックして選定された業者から出されたものを、物資審査会で内容等を検討し、決定した品物を使う。未加入校は、物資審査会を通った品物でないものを使っている場合もある。

部会長: 物資審査会、業者選定委員会のメンバーは。

事務局:
物資審査会は、共同購入の校長先生の代表、給食主任、学校栄養職員、給食調理員、教育委員会の職員と給食会で構成。業者選定委員会は、保健所の職員、教育委員会、学校栄養職員、給食会、学識経験者という構成である。

部会長:
現場の声として、調理員もメンバーに入っている。チェック機構として働いていないとすれば、調理員の組織的な問題になる。

委 員:
未加入校は、どのように調達しているのかという意味で、逆に、1か所に購入させるのがいいのか。岡山には、すごい農産物の種類があり、地元のものがどれだけ、季節に応じて使われているのか。岡山市内にも、地域の特産物もある。食に関する指導という観点から、地元の産物をたくさん食べられると指導するのも一つの方法である。給食の現場の方は、非常によくやってくれている。

委 員:
給食会で、物資を提供している。教育委員会から指導をいただき、業者を通して生産者まで反映する方法もとる。また、市議会で、農薬や遺伝子組み換え食品について指摘や質問があり、資料提供をしている。例えば、醤油や豆腐で原料がアメリカ産の大豆なら、遺伝子組み換えが入っている可能性が多分にある。これに代わるものが使用できないことはないが、金銭的に値が張る。豆腐は、1キロ 200円で納入するが、国産、無添加は、1キロ 400円と倍になる。醤油等も値段が上がる。そうすると、いまの給食費が倍になる。年間の給食実施回数が少ない。添加物や農薬について家庭から声が上がれば、生産者も気を付けるし、遺伝子組み換え食品のシャットアウトにもつながる。給食会も、極力低農薬で、子どもの健康を害さないものをと考えているが、一般の声が大きくなり、そういうものを使わなくて済めば、それに越したことはない。

委 員:
最近、生活習慣病というのが言われるが、発育期の子どもの栄養問題を非常に危惧している。栄養士には、食教育、栄養指導の業務 給食管理の業務がある。従来は、給食管理業務が主であったが、次第に栄養指導業務、教育業務にシフトしている。また、衛生管理についても、栄養教育に微生物学などが加わり、食品衛生監視員や食品衛生管理者の資格をもって卒業する者も増えて、十分基礎知識を持っているので、現在は、1人ですべてを見なければいけないという大変な仕事をしているが、今後は、いろんな面で力を持ってくる。栄養所要量は来年度から変わる。妥当かどうかはわからないが、現在、脂肪の摂取量が増え、野菜の摂取量が減っており、所要量の中である程度の規制を決める必要がある。それを食品に下ろしていくのが、地域の栄養士の裁量である。そのあたりをどうすればよいか考えたい。

委 員:
食教育についての研究校の内容。地元産がどのくらい食べられているか。未加入校は、食材一つずつについての加入、未加入を言うのか、すべてに対してか。また、足守、高松は、有機農法で実績を上げており、岡山市の子どもたちに、旬の野菜で無農薬のものが口に入ったらうれしいが、どうなっているのか。

部会長:
地元のよいものを使うための未加入なのか。合併に伴う手続き上の問題で、いくら未加入でも、パンなどは検査をやっていると言われたが。

委 員:
主食は、県給食会が発注し、全県一斉で内容、質が一緒だが、副食は、給食会がなかった時分は、肉はどこ、魚はどこ、野菜はどこと、それぞれ学校が業者と交渉して購入していたため、隣の学校でも食べるものが違い、質的にばらつきがあった。それではいけない、共同購入して同じ材料で給食をという形で学校給食会ができた。ところが、未加入校は、副食のスムーズな購入ができない。一部を給食会登録の業者から購入している学校もある。

部会長:
農薬は、人の健康を害そうと思って開発したのではない。添加物も、おいしいものをできるだけ長く、たくさんの人に食べてもらおうというのでつくられた。安くするために、添加物や農薬をつくったのではないが、それを、コストを安くするために使われて、目的感が外れた。足守でつくったものを、岡山市に配れるかといえば配れる。それならどうするかとなって、品種改良するとなってくる。有機農業ならいいかというと、昔のように、子どもたちが寄生虫で貧血を起こしている状況がよかったのか。健康の立場からいうと、違う。今日の時代に安全や衛生をどう守っていくかで、それでコストがかかるのはしようがないという話だし、コストを節減できるなら、それはそれでいいとなる。

事務局:
地元産のものを、何をどれだけ使っているかは、資料を出す。高松地区の有機低農薬の件は、何年か前に高松地区の学校で使っていたが、必要なときに必要なものの数がそろわないということで、いまはしていない。給食では大量にいるので、賄えれば利用も考えたいが、給食費が上がるかどうかもある。食教育だが、教員免許の制度が変わり、栄養士も特別非常勤講師として教室で授業できることになり、全国的に勉強をしている。岡山市も、学校を指定して研究授業をしている。また栄養士独自で、どういう指導をするかの勉強もしている。

委 員: どこでやっているか。

事務局: 西大寺中学校、芳泉中学校の2校にお願いしている。

部会長: これから鹿田小学校へ行って、給食現場を視察と給食の試食をします。
以 上