臨時市議会で萩原市長は、PTAの合意が得られてないことをあげ、 「教育委員会に状況の改善を求めたい」と発言。(2000.8.11)


8月11日に開かれた臨時市議会で、萩原市長は市政報告の中で学校教育について言及し、次のように述べました。

 次に、学校給食の運営改善に係る教育委員会の取組状況について申し上げます。
 教育委員会では、市議会や審議会からのご意見を踏まえ、子どもたちの教育環境の充実を図るため、教育予算の約2割を占める学校給食について、質を向上しながら適正なコストで継続的なものとなるよう改善を進めております。
 この取組に対しましては、JA岡山から自校炊飯に使用する電気炊飯器30台の寄付がある等、多くの方から期待とご支援をお寄せいただいております。
 こうした中、調理業務等の民間委託を藤田中と馬屋下小で、また、岡山市小中PTA協議会を中心に協議を進めてきたPTA委託につきましては、同協議会の受託準備が整うまでの間、市の給食調理員と保護者が共同調理を行うPTA参画方式により富山中と鹿田小で、それぞれ2学期から試行開始することが先の教育委員会で決定されました。
 当局といたしましては、この決定に当たり、PTAとの間で必ずしも十分な合意形成がなされていない学校もあることを懸念しているところであり、教育委員会に対し、状況の改善を求めたいと存じます。
 また、保護者が親としての愛情を持って幅広く教育に関与する中で、教育の改善を共に進めることは大きな意義があり、PTAの方々に対しましても、給食のみならず学校教育全般に積極的かつ責任ある参画を望むものであります。

[解説]
 この市長発言は、市教委がPTAとの合意形成をサボって、強権的に試行実施に走っていることに対して、市長の立場から疑問を投げかけたばかりか、「状況の改善」を求めたわけですから、教育委員会の姿勢の問題性が、ここでも指摘され、しかも改めるべきだと言われたことになります。 これは、明らかに富山中をはじめとしたPTAの取り組みの中で、試行反対の強い意志が示されていることに対応したものです。市教委の進め方がお粗末なためにこのような混乱をきたしているのは遺憾だということでしょうが、もともと市長がコストが高いと火をつけた問題が、燃え広がってこうなったこと。審議会の中間報告の内容を市長が事前に知らないはずはなく、民間委託やPTA委託の試行についても当然市教委と共にGOサインを出していたに違いないものです。
 試行とはいえ、民間委託やPTA委託そのものに大きな問題点があると多くの保護者は考えています。それが解明されないままに強行する市教委のやり方に反発が強いとはいえ、
試行への反対や反発は当然予測された事態であり、その意味では市長が他人事のような発言をするのは、市教委の行政上の独立という建前にそったものとはいえ、心有る人からは無責任すぎるとの声があがっています。
 逆に市長に批判の矢がもっと集中するようになれば、このままではまずいということにもなるでしょうし、事態の収拾へ向けたイニシアティブを期待することも、あるいはできるかもしれません。
 いずれにしても、このような混乱のままでの試行強行は許せないという声を、より大きくし、それを市教委や市長に届けることが大切です。