拙速な民間委託等の試行を止め、真の改善へ向けた取り組みを求める申し入れ
(2000/1/18,豊かな学校給食をめざす市民運動実行委員会から市教育委員会への申し入れ)


                                                                     2000年1月18日
                                       
 岡山市教育委員会
  教育長 戸 村 彰 孝  様
                            
                                           豊かな学校給食をめざす市民運動実行委員会
                                           代表委員  品  部  義  博
                                           代表委員  日  名  泰  之
                                           代表委員  椋  代  厚  子
                                           代表委員  山  口  捷  子


                     拙速な民間委託等の試行を止め、真の改善へ向けた取り組みを求める申し入れ

 新春の候、貴殿にはますますご清祥のことと存じます。
 さて、昨年12月24日、「岡山市学校給食運営審議会」が教育委員会に中間報告を行い、これを受けた教育委員会は、即日、民間委託やPTA委託等を新年度から試行すると発表しました。さらに、伝えられるところによると、今後5年間に21億円のコスト削減のために、調理員の退職補充の停止や栄養士の削減をはじめ、民間委託やPTA委託の本格的な実施をも計画しているといいます。
 私たちは、昨年11月12日に学校給食の改善充実を求める申し入れを行った際、「学校給食運営審議会」委員の意見だけに頼るのでなく、広く市民(保護者)や教師、学校給食従事者が参加する討論の場を作り、幅広い研究の成果を行政に生かすなど責任を持てる民主的な方法をとることや、最終答申前の審議会の中間報告段階では、賛否が分かれる問題について政策を具体化しないこと、また、教育委員会が直接責任を負う直営を維持し、学校給食調理の民間業者委託、栄養士や調理員の定数削減等も絶対にしないことを申し入れました。
 中間報告時直後に試行を記者発表し、市民に何の情報も提供せず、合意を得る努力もしないまま、新年度予算案の決定まで実質1ヶ月しかないという短期日でこうした重要な事項を進める事は、あまりに拙速と言わざるを得ません。特に民間委託やPTA委託などは子どもの健康や生命に直接関わることであり、市民的な合意、特に試行校の父母の合意なしに行うことは到底容認できません。
 審議会の中間報告自体、いくつかの点で私たちが申し入れた改善内容が反映されているものの、その基調は5年間で21億円のコスト削減に置かれており、学校給食の教育的な価値については結果としてコスト上一考だにされておらず、大きな問題をはらんでいます。ひとたび食中毒を起こせば致命的な事故に結びつく、心身ともに幼い子どもたちだけを対象に教育的な要素を持った給食を提供する民間の業者などは事実上存在しないにも関わらず、単純にサンドイッチを作る業者や弁当業者などの製造原価と比較して、学校給食のコストをそれにそろえる発想は、子ども達の命や健康を願う通常の市民感覚からはかけ離れています。
 私たちは、子どもたちの生命や健康、そして豊かな育ちを保障する教育を守り充実させる立場から、下記の点について申し入れますので、申し入れの趣旨に沿った学校給食の真の改善へ向けた取り組みをお願い申し上げます。

                                        記

1. 一方的な中間報告の押し付けをせず、市民に中間報告をはじめとした情報を伝えて、公聴会を開くなど、市民の意見を反映させてください。
2. 賛否が分かれる問題について性急な試行は行わず、食器の改善等、真の改善につながる試行を行ってください。
3. より豊かな学校給食の実現をめざす立場に立ち、教育委員会が直接責任を負う直営を維持し、学校給食調理の民間業者委託やPTA委託等は、試行も含めて絶対に行わないでください。栄養士や調理員の定数削減も、現在の学校給食の水準を切り下げ、今後の充実の道を閉ざすことになるので、絶対にしないでください。