おかやま学校給食フェアの記録 (2000.1.23 岡山ふれあいセンター)


 最初に実行委員会の山口さんが開会あいさつを行いました。山口さんはあいさつの中で学校給食運営審議会答中間報告以後の教育委員会の対応や、良くする会、市民運動実行委員会として行ってきた申し入れなどの取り組みを紹介しながら、学校給食を充実させていくためにこの学校給食フェアの中で大いに論議して欲しいと語りました。
 次に、中間報告の内容を中心に花田市職労副委員長が報告を行いました。
 花田さんは、まず、市長が審議会の報告を受けて行政として対応を決めていくことを審議会冒頭のあいさつの中でも触れていたことを紹介。審議会の報告の性格を描き出し、私たちの今後の運動や働きかけの必要性を強調しました。
 報告の内容については様ざまな意見があり、委員の意見の中にも違いがある、PTA参画の内容についても献立の作成に親が参加することは大きな意味があると思うが、調理を請けてやるという意味なら賛成できないが、そう考えている人もいたと語りました。
 民間委託やPTAへの調理委託は賛成できないし、意見が一致していない部分なので、実施は許せないと今の気持ちを語りました。また、民間委託になった場合の委託経費もだんだん値上がりして直営と変わらなくなった他都市の例を報告し、その問題点を指摘。栄養士も指導ができず、子どもたちにとって大変な学校給食になってしまうと語りました。また、政策としての民間委託が民間企業に取ってビッグビジネスチャンスとされていることも指摘しました。
 PTA委託の問題点については、民間委託をさせないためにPTAでやるという善意の意見が多くあることにも触れながら、食中毒が契機でPTA雇用から直営に切り替え栄養士も配置してきた経過や、それ以後事故もなく学校給食が運営されてきたことも報告しました。また、民間委託やPTA委託を試行するなら、夏休みに教職員や親を集めて一週間続けて試行してみるなどの方法を取るべきで、子どもを実験台にすることは許せないとしました。
 学校給食の人件費についても、調理員一人あたり508万円の人件費が国から地方交付税として市に来ていることから、市の純粋な負担は高い高いといわれるほどではないことも報告しました。そもそも学校給食での借金はなく、市の財政危機の内容である市債残高の多さは他の建設事業が原因であり、学校給食が財政危機の原因ではないことを指摘しました。
 試行の12年度実施が狙われているもとで、来年度の予算編成時期が、もう数日しかないことから、方針を変えさせるチャンスは今だとを報告。また、製造原価で民間と学校給食を比較していいのかという問題点も指摘し、議論を呼びかけました。

◇ 報告を受けて参加者からの意見が次々に出されました。その要点は次のとおりです。

・小学校2年生の子どもの母親。おかやまコープの食の委員会に所属。
 輸血に不適格な子どもや生活習慣病の子どもの増加から食生活の改善に政府が本気で取り組むべきだという新聞記事を読んで、改めて子どもの体の状況が心配だということを知った。民間委託で食中毒を出した愛知県の例では、その学校では前日調理していた。しかし、保健所は前日調理を禁止する法律はないとコメントしていた。
民間委託されれば、今の学校給食の水準や安全のための基準が守られていくという保障がなく、PTAがいつも監視していく必要がある。義務教育の中で強制される食事を民間委託する際、選択の自由が消費者の私たちにないのはおかしい。食中毒などの事故を起こした場合は民間業者の責任とする契約を結んでいる場合もあり、行政の責任があいまい。事故の場合の保障はどうなるのか。それらが保護者に十分説明もなしに委託されていいのか疑問。委託業者の事故の補償を行政が、つまり私たちが税金で支払うことに問題はないのか。そうした問題が多いことを安易に考えずに、親は学校に子どもの命を預けているので、責任を持ってほしい。
・小学校調理員
 子ども達のためにという思いで作っている。それは自分の子どもに対するのと同じ思いだ。
・PTA保健体育部長
 民間委託の話が出て、自分から部長になった。今の中間報告にはPTA会員の意見は反映できていない。今調理員の補充を地域の方で親も手助けしている。その人は誰でも登録して手伝える。しかし、資格は持っていない。学校給食の人件費を高いというが、調理員の資格を持つ人が調理してくれるその安心料を私たちは払っていきたい。
・小学校PTA母親委員
 民間委託がどういうものかわからないままに活動してきた。その中でこんなことがあるのかという話を聞いた。インターネットを利用している方に民間委託の資料をもらったが、良くない状態が多いことに不安を感じ、少しでも状況を変えていくために活動したい。民間委託の状況を学習しようという声が出たが、よそはそうでも岡山では違うかもしれないといわれると。今は子どもも美味しいと喜んでいる。中学校の子どもはセンターになったらとたんにおいくしないと言う。いい学校給食を残したい。思いを伝えたいので親の学校給食への思いや声をまとめた「心のメッセージ」という冊子を作り、審議会に届けた。学習発表会で用紙を準備して、87人のうち50人の声が集まった。
 審議会を傍聴したら、もと校長さんの意見だけはおかしかったが、他は安心できる内容と感じてそう帰って報告したが、中間報告の記事を新聞で見て驚いた。後ろに何があったのかと思う。

・中学校PTA会長
 民間委託やPTA委託には賛成ではない。最後まで反対したい。子どもの食には親が責任を持つのが当然だが、現実には箸もまともに持てない子が結構いるなど親が教えていない現実がある。
 私の子どもが通った小学校ではセレクト給食やバイキング給食など子どものための給食で温かみのある食教育ができていた。それをPTA委託ですれば余裕がないので、改善の提言や食教育などは先の先になるのではないか。
中学校PTA連合会がたびたび会長会を開いて論議しているが、その中でも意見はまちまちであり、統一もしないままの実施は怖い。議論せず実施することには不満だ。PTA役員を受けるだけでも大変なのに委託で調理などとんでもないこと。たとえ最初の一年は親も熱意を持ってやれても、それが5年10年と維持できるか疑問で、PTA委託には反対だ。教育委員会にも説明会などを開いて親の意見を聞くよう申し入れたころ、予算もついていないし、まだ報告が出て間もないので答弁できないとの返答だった。学校給食はそのコストが高ければいい事もなく、安ければいいというものでもない。今の学校給食の内容を維持しさらに充実させていくことが大切だ。

・栄養士
 いろいろな制約の中で頑張ってはきたが、制約があってやりたい給食ができないことを紹介。制約のせいにしてきたことも事実だが、こういう給食をしたいと17項目の改善を考えた。これらは、民間やPTAではできない。大規模校だが、できることはやり始めている。今の状況は私たちだけではどうにもならないので、おとうさん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんの力を借りて、子どものためにいい学校給食に変えていきたい。
・栄養士
 料理時間を遅らせて子どもたちに温かいものを食べてもらうように努力してきたが、皆さんにそうした努力を伝える努力や勇気をもてていなかったと反省した。皆さんの声を聞くと私たち以上に学校給食を考えてくださっていることに、私たちも勇気をもって頑張りたいと感じた。
・小学校PTA会長
 民間委託の自治体があると聞いている。こういう情報を市民に知ってもらえるようメディアを通じて出して欲しい。末端の会員にまではそうした情報が伝わっていないので努力をして頑張って欲しい。
・中学校PTA会員
 小学校はPTAとして話し合う場が持たれていなかった。学校給食の問題だけでなく、保育園や幼稚園の職員の削減も出てきそうな状況だが、学校給食の話題は昨年の春から動いているのに、小学校のPTAが12月に初めて聞いたというのでは親としても無責任。PTAでも上から降りてくるのを待つのでなく、下から意見を積み上げていくことが大切だ。中学校・小学校5校程度の委託が話されているが、人員削減や経費削減の話ばかりで改善の試行の話が前に出ていない。ぜひ各学校で話し合って、声をあげて欲しい。