“まずコスト削減ありき”でなく 子ども達の食と育ち、
学校給食充実について今こそ市民的な議論を広げよう

              学校給食運営審議会の中間報告にあたってのアピール

市民のみなさん
 昨年末の12月24日に学校給食運営審議会は岡山市教育委員会に対して、『現在の給食の質の向上を目指して、経費削減の実効を着実にあげられることを期待して「学校給食の在り方について」の中間報告』を行ないました。
 審議会では、学校給食の中身と運営は密接に関係があるにも関わらず、給食の中身(健康教育、安全管理、衛生管理など)と効率的運営の2つの部会に分けて審議されてきました。また来年度の予算に反映させるために、審議会は8月に設置し12月には中間報告をするという短期間であり、委員は試食と関係者の意見を簡単に聞いただけで、主人公である子ども達の声も聞いておらず、学校給食の現状把握を十分したうえでの報告にはなっていないといわざるを得ません。学校給食は21世紀の子ども達の食と育ちに関わる重要な問題であり、今後の答申に向け市民・保護者の意見を充分聞いて議論を進めてほしいと思います。
市民のみなさん
 岡山市の優れた制度(中学校での給食の実施、栄養士の全校配置、単独自校方式)が十分生かされていない中で、中間報告では、食器の改善、地場産食材の活用、自校献立、自校炊飯、食材・献立の制約の見直し、ランチルーム(食堂)、共同購入方式の見直し、学童保育への給食の提供、地域の高齢者への配食サービスなど内容の改善や向上を求めており評価できる点も多くあります。
 一方、運営の面では岡山市学校給食会を通じての共同購入方式の見直しに触れている事は評価できますが、民間委託、第3セクター、PTAの参画など学校給食の制度に関わるものと定年年齢・職員の配置基準の見直しなどに関わるものが中心になっています。そのためコスト削減が優先され子ども達の学校給食の内容が低下する危険性も含んでいます。
市民のみなさん
 民間企業は本来利潤を追求するものです。他都市の例では最初は安く委託していますが、年々委託料が値上がりしている状況があります。また給食を作る社員が衛生面での作業の大変さから次々と替わり、ついには委託を放棄する会社まで出ています。調理業務を委託することは、職業安定法の関係で市の職員が直接民間企業の社員を指導できず、質の低下や混乱を招く状況も生まれています。
 また第3セクターは12月28日に自治省が発表した調査結果では47%が赤字になっており、自治体が巨額の損失補填するケースが続出し、今後さらに、自治体の持ち出しが増え重い負担になると言われています。
 PTAは、各学校に給食運営委員会を作り献立や食材へ親や子ども・地域の声を反映させるために積極的に参加すべきですが、調理業務に携わる事は責任体制などに多くの問題を含んでいます。親の善意が結果として、教育としての学校給食の破壊に繋がらないようにしないといけないと思います。
 定年年齢やパート職員の見直しなど幾つか検討を要する内容も含まれていますが、子ども達のための安全な給食を作っていく上で、安心して働ける条件こそ豊かな給食を作る上で必要です。岡山市では昭和34年(1959年)9月に清輝小学校で給食が原因で赤痢が発生しました。この苦い経験のもとそれまでPTA雇用であった調理員を市の職員にし、栄養士を全校に配置してきました。そして現在9割を超える調理員が調理師の資格を取り、経験を積んで子ども達のための安全な給食をめざして、不十分なところを積極的に改善し充実に向けて取り組んでいます。
市民のみなさん
 本来比較できない弁当屋さんなどと学校給食を同一視してコストの削減目標が設定されており、学校給食の教育としての役割や子ども達の姿が見えてきません。
 報告を受けた教育委員会は、「先にコスト削減ありき」ではなくて21世紀の子ども達が、人生を健康にすごすために「教育としての学校給食」を守り向上させる立場でどう取り組むのか、今後の対応が問われています。
 「21億円の削減」を前提に「試行」の名でコスト削減を急ぐ事があるとすれば大きな問題です。来年度の予算に反映させるとなると実質1か月間しか検討期間がなく、あまりにも性急すぎます。いま教育委員会に求められているのは、様々な課題を提起している中間報告をもとに市民・保護者と協議を深め、その結果を審議会などにも報告し、より良い方向を目指していく事ではないでしょうか。
市民のみなさん
 岡山市の一般会計に占める教育費は1990年度は15.7%でしたが99年度には10.3%まで低下しており、さらに教育の切り捨てが行われるのは大きな問題です。
 私たちは17項目(裏面参照)の改善提案を出し、その実現のために努力していきます。みなさんのご意見をお寄せ下さい。子ども達の食と育ちのために、子ども達の健やかな成長を願って議論を深めていきましょう。

 2000年1月10日
                 豊かな学校給食をめざす市民運動実行委員会