アメリカの裁判番組

アメリカに住んでいた頃、日本では見た事の無い類の番組があり、面白くてよく観ていました。"THE PEOPLE'S COURT" という裁判の番組です。訴訟社会のアメリカならではの番組かもしれません。
裁判といっても大きな事件の裁判ではなくて、日本でいう少額訴訟の裁判 "small claims court " の番組です。「以前付き合っていたガールフレンドにいろいろプレゼントをしたが、別れてしまったので、一度あげたプレゼントを返して欲しいと頼んだが断られた」とか、「隣のペットが庭に侵入してきて大切にしていた植物をだめにしてしまった」とか、日常の小さなトラブルについて原告と被告が争います。笑ってしまうようなくだらない内容のものが多いのですが、テレビショーとしてはそれを狙っているのでしょうか。実際に起こったトラブルに関して原告人と被告人も本物の当事者が法廷(実はセットです。)で争う様子は本物の裁判をやっているのかと思わせてしまいますが、これは本物の裁判ではなく仲裁番組のようなものです。事件の内容にもよりますが、裁判に負けた側は実際は賠償金を支払う必要はなく、番組側が負担するそうです。どうしてこのような判決に至ったかの解説もあったりしてなかなか興味深いです。
番組の出演者を探すために、制作側は一般に公開されている少額訴訟事件の記録をひたすら読んで、面白そうな内容の訴訟を見つけたら、その当事者にコンタクトを取り、番組で争いを終わらせる気はないかと出演依頼をするそうです。しかし、200ドルの出演料で自分の身の上に起きているごたごたを人前にさらしてもいいという人はなかなかいないようで、番組のネタ探しには随分苦労しているそうです。毎回司会者がやけに明るくはきはきと「訴訟でお悩みならこの法廷までどうぞ」と言って番組を閉めるのですが、訴訟や裁判といったものが身近なものではない日本人にはなんとも不思議な番組です。将来日本にこんな番組ができなければいいですが・・・。