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危ない自治体
大切なのは、収入に占める借金返済の重みを示す『実質公債費比率』という指標です。首都圏で18%を超えていたら要注意です。
『実質収支比率』(1年の収入に占める黒字幅もしくは赤字幅の割合に近い)がマイナスか何年も0スレスレになっている自治体も危険です。
最後に、自治体の貯金である『財政調整基金』が大幅に目減りしているケースも危険です。災害などにより急にまとまったカネが必要になった時に一気に危機に直面することになります」
これらの指標は自治体ホームページの財政担当のところで公表されるほか、総務省のホームページでも公表される。

東京圏から近く、もっとも人気のあるリゾートのひとつである伊豆を例にとってみよう。
 たとえば、伊東駅から徒歩10分ほどのところにある大型3LDK(占有面積80・)のリゾートマンションが140万円(税込)で売りに出ている。ふつうのサラリーマンでも、ボーナス1回分で購入できる金額だ。1975年築と古いのが難点だか、16畳の広いリビングに温泉大浴場やスポーツルームも完備している。
不動産市場で売買されているごく一般的な中古マンションだから、もちろん、傷ものやいわくつきの面倒な物件ではない。不動産業者に連絡して契約書に判を捺し、購入代金を支払えばその日からあなたのものになる。別荘は住宅金融公庫が使えないが、銀行の住宅ローンなら大丈夫だろう。年利2.5%、5年返済の変動金利で140万円のローンを借りれば、返済額は月額2万5,000円弱だ。
実家に住んでいたり、賃借の場合は、住民票を移せば、自宅の購入資金として公庫ローンを申し込むこともできる。この場合は、年利2.55%、10年返済の固定金利で、返済額は月額1万3,000円程度である(実際には購入代金の全額は借りられない)。これなら、貯金を取り崩さなくても、小遣いを少し削れば何とかなる。
しかし、こんなことで驚いていてはいけない。140万円の購入代金は、まだまだ安くなる。

その前に、なぜ大型3LDKのマンションの値段が140万円なのかを考えてみる必要がある。何かの宣伝文句でなないが、市場経済では、常に「理由【ルビ:わけ】あって安い」に決まっているからだ。
リゾートマンションと一般のマンションとの違いは、おおむね次の2点である。
1) 通常は自宅が別にあるので、利用期間が短い。
2) 温泉やプール、テニスコートなどのレジャー用の付加価値が付いている。
 その結果、年に数週間しか利用しないリゾートマンションは、どうしても管理コストが高くなる。誰かにメインテナンスを頼まなければ、すぐに老朽化してしまうからだ。
このケースでも、ポイントはマンションの管理費にある。
 紹介した伊東の大型3LDKのマンションは、管理費が月額6万5,000円あまりかかる。年間では78万円だから、2年でマンションそのものの購入代金を上回ってしまう。
 たしかに、140万円を払えばマンションの所有権はあなたのものになる。だが、それと同時に、管理費の支払いが始まる。名目上は中古物件の売買だが、実態は、最初の140万円は一種の保証金で、月額6万5,000円で3LDKの部屋を賃借しているとの同じなのだ。
 しかも、ここにはひとつの罠が隠されている。いったんマンションを購入してしまえば、物件を第三者に売却しない限り、管理費の支払から逃れることはできない。利用することがなくなっても、マンションが存在する限り、持主は未来永劫、管理費や固定資産税、共益費などを払い続けなくてはならないのだ。
 これで、マンションの所有者が格安の値段で物件を手放したがっている理由がわかるだろう。要するに、ババ抜きゲームなのだ。
彼はババを掴んでしまい、それを誰かに引かせない限り、月額6万5,000円の管理費のくびきから逃れる術はないのである。

 こうした事情がわかれば、そもそもこのマンションに値段がついていること自体がおかしいということが理解できるはずだ。売主からすれば、金を払ってもいいから持っていってもらいたような代物なのである。
 値段がついているのは、無料では不動産業者が仲介手数料を受け取れないからである。通常、不動産の売買にあたっては、業者は売主と買主から法律の上限である3%+6万円の仲介手数料を受け取る。売却金額が140万円なら、業者の取り分は10万2,000円。要するに、業者側の最低の手間賃を10万円として、そこから売値を逆算したのである。これでも、購入希望者をいちいち現地に案内していれば完全な赤字だ。
一方、売主側は、本音では、もっと安くてもいいから物件を引き取ってもらいたいと思っている。そこで、不動産業者には規定の仲介手数料を約束し、そのうえで売主と値下げの交渉をさせれば、ただで手に入る可能性は十分にあるというわけだ。

 ほかのリゾートマンションでも、事情は同じである。
 たとえば、スキーが好きなら、湯沢あたりはどうだろうか。1Kや1LDKでよければ、100万円程度の物件がいくらでも転がっている。こちらはほとんどが80年代後半の建築で、まだ十数年しか経っていない。そのうえ、管理費も2万円弱と、温泉付のマンションよりずっと安い。
ところが、ここにもちょっとした問題がある。同じマンションで、20軒近くが同時に売りに出ているのだ。要するに、バブル最盛期のリゾートブームに乗って買ったはいいが持て余し、誰も使っていないゴーストマンションなのである。
持主が個人か法人かは知らないが、どちらにしても、何とか手放そうと必死になっていることに変わりはない。不動産業者を通して交渉すれば、あっという間にタダになるだろう(ただし、実際にやってみたわけではない。この通りにやって失敗しても文句は言わないでほしい)。

 ところで、ここで誰もが疑問に感じるはずだ。たとえタダだとしても、他人が嫌がるマンションをわざわざ引き取って、何か意味があるのだろうか?
 これは難しい問題だが、残念ながら、ほとんどのケースでは意味はない。ババ抜きのジョーカーは、いくら眺めてもハートのエースにはならないからだ。
所有権が多数に分散するマンションでは、管理組合がきちんと機能していなければ、リフォームや建替えは不可能である。リゾートマンションでは、永住者が少ないために管理組合が有名無実となり、管理業者に丸投げして放っておくケースがほとんどだ。
管理業者は、物件の価格が下がっても、管理費さえ払ってもらえれば何の関係もない。ただでさえ手間のかかるリゾートマンションは管理費を嵩上げする口実にはこと欠かず、デフレの世の中でも減額されることはめったにない。
リゾートマンションでは、物件所有者と管理業者の利害は対立する。
管理費が高止まりしたままだと、物件の価値は急速に下落する。誰も、毎月6万5,000円も払って築30年のマンションに住みたいとは思わないからだ。資産価値の消滅で所有者は大損するが、一方、管理業者はちゃんと儲けている。
このことから、格安のリゾートマンションを購入して資産価値を増やす、唯一の方法がわかる。管理費を下げることができれば、物件の価値は上昇する。管理組合を立て直して管理業者を交代させ、質を維持したまま管理費をリストラするのである。
これは不良債権を買い漁るハゲタカ・ファンドの手法と同じで、それをあなた一人で行なうのである。ただし徒労に終わる可能性がきわめて高いので、あまりお勧めはしない。

マンションの耐用年数は40年程度だから、築30年の物件なら、あと10年ほどで建替えの時期が来る。十分な修繕積立金があれば別だが、そうでなければ、不足分を各所有者が分担しなくてはならない。建替えにともなう追加負担を拒否する人も多く、現実には、100戸以上もあるリゾートマンションで所有者全員の意思をまとめるのは不可能だろう。そうなれば、あとは徐々に住む人がいなくなり、廃墟となっていくだけだ。
そのうえ、都合が悪くなったからといって、勝手に不動産の所有権を放棄することはできない。廃墟となったマンションを解体する場合でも、再開発業者が金を出さなければ、所有者が自腹を切らなくてはならない。更地にして売るわけにもいかないのだ。
 そう考えると、実は、リゾートマンションとは構造的な欠陥商品だということがわかる。最後は必ず、ババ抜きゲームになるほかないからだ。
これは、マンションをめぐる問題の縮図でもある。投資用のワンルームマンションをはじめとして、管理組合の機能しないマンションは、必然的に同じ運命を辿ることになる。先人の教えにあるように、ただより高いものはないのである。

 高い管理費で商品価値を失ったリゾートマンションは、圧倒的な買い手市場だ。売主側は必死だが、買い手側はほかにもいくらでも物件はある。しかし、ここで安く買い叩いたとしても、こんどはあなたがババをつかむことになる。
では、こうした格安リゾートマンションを活用する方法はないのだろうか?
 実は、ババを引かずにリゾートを満喫することができなくもない。
 所有者は、売れるはずもないマンションを抱え、毎月の管理費の支払に苦しんでいる。そこで、この管理費分を賃料として肩代わりすることを提案してみるのだ。これで持主は、とりあえず毎月の支払いからは逃れられる。
 持主がうるさいことを言うようなら、そのまま物件を売りに出しておいて、買い手が決まったら退去するという変則契約でもいいだろう。どうせ、いつまでたっても買い手など現れるはずがないのだ。そのうえ、こうした定期借家契約なら賃料はさらに下げられる。
 賃貸のメリットは、マンションが老朽化し、廃墟となるリスクを負う必要がないことだ。使わなくなれば、契約を解除して持主に返してしまえばいい。その後どうなろうが、知ったことではない。
 地元の不動産屋を回ると、バブル期は1億円以上した豪華マンションが、管理費+αでこっそり賃貸に出ているケースがある。所有者が持て余したリゾートマンションを見つけて上手に交渉すれば、格安で利用することも不可能ではない。

 ところで、老朽化したリゾート物件で、所有者が管理費を払わなくなってしまった場合はどうなるのだろうか?
 あまり表沙汰にはならないが、こうしたケースも現実には多発している。
 契約上は所有者に管理費の支払義務があり、管理組合が債権者としての法的権利を持っている。しかしこれはたんなる建前であり、「払わない」と言っている人間から金を取り立てることは不可能に近い。かといって弁護士を雇うにも金がかかり、そのうち転居などで所有者に連絡がつかなくなり、泣き寝入りしてしまうことがほとんどだ。
 たとえ売りに出したとしても、値がつかないような物件なのだ。所有者は、管理費の請求が来なくなれば、その存在を忘れてしまうだろう。こうして、マンションは廃墟になっていく。
 契約上は、未払いの管理費は次の購入者が債務として引き継ぐことになっている。ところが、管理費の高い格安リゾートマンションの場合、未払い分が物件価格を超えてしまうことも多い。その場合は、理屈のうえでは、売却価格がマイナスになってしまう。