産地訪問記.
2000.10.15
和歌山県伊都郡かつらぎ町
「手作りハムTONTON」大浦さんのハム工房訪問記
今回、
「TONTON」へは、牛豚肉加工「まぁの」の小村さんの呼びかけで集った小売店が一緒にでかけ、
4年ぶりのソーセージ作りにに参加してきました。
あいかわらず、大浦さんはガッツマンで、自動餌さやりができる豚舎を自分自身で建築中でした。
今回の訪問記は、「
まぁの」の小村さんが発行するミニコミ紙「de mano」の訪問記を掲載させていただきました。
「菜花」グループTONTONツアー 10月15日(日)
「菜花」グループは京都を中心にしたお店の集まりです。早くから「まぁの」の牛豚肉を扱ってもらっているのに、「にんじんくらぶ」以外はTONTONをまだ見学したことがありませんでした。長年の懸案がようやく実現しました。
今回は「菜花」の小山さん、「エナジィママ」の池端さん、「にんじんくらぶ」の徳本さんとその息子さん、「パンプキン」の東城さん、そして私の6人でした。
10時ちょうどにTONTON到着。
大浦さん、幸子さんを始め、入社2年半の浅田さんと愛農高校研修生の坂本さんが迎えてくれました。わずか6人のために貴重な日曜を割 いて下さったと思うと恐縮します。
浅田さんは、大浦さんから「こっちで対応できるから来なくてもいいよ」(日曜は休日)と言われていたのに、「午前中しかお相手できませんが‥」と隣の九度山町から出てくるチョー真面目派です。大浦さんは「真面目が一番、技術はその次」と信頼を置いているようです。
最初に、豚肉が枝肉として入荷してから以降の流れを、作業場の中を歩きながら案内してもらいます。抜骨、整形、スライスパックしていく精肉の流れと、ハム加工への流れがあります。これらがコンパクトに無駄なく収まった作業場に皆さん感心。大浦さんは「ハム加工が手狭なので、もう少し広げたい」と拡張への意欲満々。
TONTONの作業場内の機械類と作業中の浅田さん
さてメインのソーセージ作りです。
「一人当たり1kgの豚肉を用意してもらい、セージなどの香料と黒砂糖を混ぜてフードカッターにかけます。豚肉のうち2割はロースの背脂です。これが結着力を強め、旨みとジューシイさを引き出します。
大浦さんの説明は続きます。「うちは結着剤などの添加物を一切使っていないので、新鮮な肉をよく冷やして使うことで結着力を高めています」。6kgの豚肉に少し氷を入れて冷やしながらフードカッターを動かすと、あっと言う間にミンチのできあがりです。
チョッパーでなく大浦さん自慢のフードカ ッターで豚肉を短時間に切り刻むことに、豚肉の品温を上げない工夫があります。
浅田さんに教わりながらソーセージを詰める東城さんと徳本と小山さん
さて、ここからが参加者の出番。
スタッファーにミンチを投げ込み、圧力で押し出して羊腸に詰めます。あまり圧力をかけ過ぎると羊腸が破れてしまうし、押し出しが弱いと間に空気が入ってしまうので、加減が難しいのです。
見本を見せてくれた大浦さんは一人でスタッファーを回しながら、すごいスピードで羊腸に語めていきます。慣れれば一人でした方が加減が調節できていいのでしょう。但し、このスタッファーはイベント用に置いてあるだけで、実際の作業は真空自動充填磯がやってくれます。羊腸に空気を入れず、素早く一定の太さのソーセージを作っていく優秀な機械です。これにしてもフードカッターにしても数百万円、「設備投資が大変やな」と池端さん。
坂本さんに手伝ってもらいながらのソーセージを詰める池端さんと徳本良太くん
腸詰めしたものにはどうしても空気が入っているので、竹串で突き刺して空気を抜きます。そして食べやすい大きさにひねっていきます。
私たちの作業はここまで。
後はこれをカートに掛けて燻煙室に入れ、乾燥と燻煙を行います。これにはしばらく時間がかかるので、ちょうどお昼です。
工場の前で火を焚いてハムソーセージを焼いてもらいます。ビールまで頂いて至れり尽くせり。
TONTONの
燻煙室
とその内部
ぜいたくな昼食を堪能した後は山の上の豚舎を見学に行きます。
大浦さん運転の大きなワゴンに全員が乗って出かけます。
豚舎はみかん山の跡地で、一番上に飼料置き場があります。入り口で靴にポリ袋をかぶせて中に入ります。靴に豚舎の匂いをつけないことと、逆に外の汚れを靴を通して持ち込まないため です。
最初に餌の説明をしてもらいます。 メインのトウモロコシはハイオイルコーンをやめて 同じアメリカ産の別の種類に変えました。 もちろんこれも遺伝子組み換えフリーです。 当初はハイオイルコーンしかなかったのでやむなく使っていたのですが、今はキチンと分別 した別のトウモロコシが手に入るようになりました。ハイオイルコーンは卵の品質をアッ プして養鶏にはいいそうですが、豚は軟脂になりやすく値段も高くて いいことはなかったのです。
他に遺伝子組み換えフリーの大豆を始め、大浦さんこだわりのいろいろな餌を一つ一つ説明してもらい、一同関心することしきり。
TONTONの飼料を前に餌の説明をする大浦さん
それから下の豚舎におりていきます。去年の台風で屋根を飛ばされた一番古い豚舎が解体されて、建て変わりつつありました。
床のコンクリートを張る、鉄骨を立ち上げる、屋根を葺く、全部大浦さんが自分でやってしま うのです!「工場は私が入らんでも ほぼ回 っていくから、今は豚舎でずっと仕事をしている」そうですが、700頭の豚の世話と大工さんも兼ねては、体がいくつあっても足りないでしょう。
この下の母豚舎では間もなく生まれるという豚も含めて、続々新しい命が誕生していました。
母豚舎も拡張工事が途中まで進んでいます。
さらに母豚舎の下が堆肥切 り返し装置です。これも新しい機械に変わっていました。この機械も優れ物で、自動で堆肥を攪拌しながら空気を入れて発酵を促し、 完熟堆肥に仕上げていってくれます。この下の堆肥舎には、さらさらで臭いの全くない完熟堆肥が山積みになっていました。
TONTONの母豚舎
と大浦さん自ら建築中の
豚舎
工場に戻るとソーセージができあがっています。みんなで山分けしてみると意外と歩留まりがよく、一人当たり800g以上ありま した。
店によってはハムソーセージの仕入れも兼ねていて、ズシリと重たい荷物になっています。
できあがった自信作のソーセージ
「今回は上之郷インターから犬鳴温泉を通って来たけど楽でしたよ」
「今、山を貫くくトンネルを掘ってるから、それができたら堺まで15分で行けるよ」
「えーっ、そりゃあ便利になりますね」。
とは言ってもあまり自然破壊しないでほしい。和泉山脈はかつら ぎ町にとっては大阪とを隔てる壁ですが、貴重な自然でもあります。
一昨年生まれた一番下の子が大浦さんにまとわりついています。
「お名前何でしたっけ ?」
「百合愛(ゆりあ)です」。
3女から相当間が開いていることもあってでしょうか、 大浦さんも目の中に入れても痛くないほどのかわいがりようで、ほのぼのした気持ちでTONTONをおいとましました。
一番下の子供さん「ゆりあちゃん」
お顔が写ってなくてごめんね
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