「つくる会」と小山孝雄容疑者

 ― KSD汚職と同じ構造にメスを! ―

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(2001年1月13日付 事務局通信より)

 「つくる会」が「もっとも頼りにする国会議員」小山孝雄容疑者

 KSD汚職・小山孝雄容疑者のもう一つの顔

 小山孝雄の教科書問題での「活躍」

 小山孝雄は教科書議員連盟づくりでも奮闘

 「つくる会」の意向にもとづく国会質問

 小山が引き出した政府答弁を利用する「つくる会」

  「つくる会」が「もっとも頼りにする国会議員」小山孝雄容疑者

 「つくる会」側の9月、12月議会での請願採択を増えた背景には、小山孝雄前参院議員の国会質問と政府答弁があります。小山容疑者の活躍が「つくる会」側を勢いづかせた構図は、KSD汚職とまったく同じといえます。「つくる会」側は「もっとも頼りにする国会議員」(西尾幹二「つくる会」会長)の逮捕に大きな痛手を受け、動揺しているようです。インターネットの「新しい歴史教科書を支援する掲示板」には、「K(こんな)S(司法に)D(誰がした)」「教科書問題で尽力してくれた小山孝雄参議院議員が捕まったが、政治資金の提供を受けて国会質問をして何が悪いのか」「小山孝雄が日本のために何か悪いことをしたか?」などという趣旨の文章が掲載されています(『国民の道徳』などを出版し、子どもに道徳観を植え付けろなどと声高に叫んでいますが、彼らはこの程度の倫理観しか持っていないということでしょう)。(以下、本文中敬称略)

 小山容疑者が逮捕された後、これまで教科書問題での彼の国会内外での活躍を大きく報道してきた「産経新聞」は、小山と教科書問題との関係には一言も触れようとしていません。また、何かあるとすぐに「声明」や「公開質問状」を出すのが好きな「つくる会」も、小山を「もっとも頼りに」してきたのに、この問題では沈黙を守っています。そこで、小山容疑者の教科書問題における役割、マスコミが報道していない小山のもう一つの「顔」と「活躍」ぶりについて、詳しく紹介します。「つくる会」の教科書や運動は、このような国会議員と連携して全面的な支援を受けてきたこと、「あぶない」だけでなく、「汚れた」教科書であることを大いに宣伝し、地方議会への要請にも活用しましょう。

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 KSD汚職・小山孝雄容疑者のもう一つの顔

 小山容疑者とは何者か。小山は、1943年に山形県で生まれ、山形大学を卒業後「よき日本の文化伝統を守る」「日本の基となる」「各種国民運動に携わる」。1980年、生長の家を支持母体にしていた故玉置和雄参院議員の秘書だった村上正邦が、玉置の跡を次いで参院議員に初当選した時、小山は、生長の家本部の幹部職員から村上の秘書に転身。村上正邦労働大臣秘書官を経て、95年の参院選でKSDの全面支援で比例区から初当選。予算委員会理事、労働政務次官等を歴任後、辞職前は、参議院政策審議会副会長、参議院憲法調査会幹事、労働・政策委員会理事、文教部会教科書に関する小委員会委員長。歴史教育・教科書を攻撃する自民党の中心的な議員連盟である「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の幹事長代理でした。

 小山は、今年7月の参院選に立候補を予定していましたが、その推薦母体は神道政治連盟(神政連)です。神政連は自民党の強力な支援組織で、昨年5月、森喜朗首相が「日本は天皇を中心とした神の国」と発言したのが、この神政連の国会議員の組織である神政連国会議員懇談会の結成30周年祝賀会でした。神政連は、「日の丸・君が代」法制化の推進、憲法・教育基本法の改悪、「天皇中心の神の国」の復活などをめざすウルトラ右派組織です。小山は、この神政連の顧問であり、同国会議員懇談会の事務局長でした。ちなみに、同懇談会の幹事長は、小山と一心同体の「親分」村上正邦参院議員です。また、小山は、「つくる会」と一体となって、教科書を攻撃し、「つくる会」教科書の採択運動をすすめている改憲組織・日本会議と連携する日本会議国会議員懇談会の事務局長も努めていました。小山は「改憲派の急先鋒」であるだけでなく、何よりも「教科書攻撃の急先鋒、闘志」であり「つくる会」の「同志」だったのです。だからこそ、西尾幹二会長が「つくる会がもっとも頼りにする国会議員」だと会の内外に紹介してきたのです。

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 小山孝雄の教科書問題での「活躍」

 小山は、憲法について、「平和主義・国民主権・基本的人権の尊重。この現憲法の三原則についても、『それでいいのか』との立場で論議することが新しい憲法を作っていく上で力になる」(「神社新報」2000年7月24日)と露骨に改憲論を主張していました。この主張は、「つくる会」の公民教科書の内容と一致するものですが、小山が、もっとも本領を発揮してきたのが教科書問題です。小山は、「議席をいただいてから5年間、特に力を入れてきたのが教育問題。一つは"従軍慰安婦"に象徴される、あまりにも歪んだ歴史教科書の記述」「勉強すればするほど日本人であることに嫌気が差すような教科書を何時までも発行していてはいけない」(「神社新報」2001年1月1日)などと語っていました。

 自民党山形県連などが主催し、「つくる会」山形県支部が協賛して、2000年8月21日、小山と藤岡信勝を講師に招いて、山形市で「第二回・歴史教育を考える講演会(歴史教育を考える自民党議員及び党員・党友研修会)」が開催されました。この講演会で、小山は「教科書問題について」と題して次のような趣旨の話をしています。この内容は、「つくる会」の主張とまったく同じものです。

 小山は自分や「つくる会」の活躍で教科書検定基準が改正され、「真偽不明で残酷な反日宣伝壁画の写真を小中学校社会科教科書に掲載していた教科書会社2社が、検定済み教科書の写真を差し替えた」。「中学校の社会科の教科書について、東京書籍、教育出版、帝国書院の3社がいわゆる『従軍慰安婦』について、『従軍』を削除するなどの訂正を行った」。「文部省で検定中の平成14年度から使われる教科書で、現行7社すべてが取り上げている慰安婦についての記述が3社に減った」と「成果」を誇っています。

 次いで、1955年の第一次教科書攻撃後の検定強化によって歴史教科書の内容が改悪されたことを「改善」として、1962年の教科書無償法案の「提案理由」=「感じやすい学童の心に最も影響のある教科書について、かつて、各方面から色々の批判を受けましたことはご承知のとおりでありますが、最近新しい学習指導要領が作られるに及び、日本人としての自覚を持たせるに足る教科書が刊行されるようになりました」というを紹介し、当時の教科書は良かったのに、最近は日本人としての誇りや自覚が持てない反日的・自虐的な内容になっている。教科書には「建国の物語」が必要、などと語っています。

 そして、「新学習指導要領で、『国を愛する心情を育てる』(小学校)、『わが国の歴史に対する愛情を深め』(中学校)との記述が加わったことが(教科書に)どのように反映されるのか注視する必要がある」といい、教科書検定基準の近隣諸国条項について「教育とりわけ初等中等教育は国の主権の問題であり、教科書の記述が他国の意向によって左右されることは、主権国家として本来あってはならないことである。経緯から考えるならば、検定基準から削除されるべきもの」と主張しています。
最後に、「現行制度では、『検定』はワキ役、『採択』が主役である」と採択問題の重要性を強調し、「教科書採択に関する請願・陳情を採択した都道府県議会は3県、市町村議会は19であり、少ない」と、議会対策の立ち遅れを嘆き、この請願採択運動の推進をもっと強化する必要があると参加者(地方議員と「つくる会」会員)の奮起をうながしています。

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 小山孝雄は教科書議員連盟づくりでも奮闘

 小山は、地元である自民党山形県連と教科書議員連盟結成に賛同して世話人になった63人の地方議員を動かして、「つくる会」山形県支部と共同して、二回の議員研修会を行ない、2000年11月8日に「歴史教育を考える山形県議員連盟」を結成させています。そのため、前記講演会の2日後の8月23日、「山形県関係国会議員を囲む会」を開催し、それに出席した地方議員に手紙を送り、次のように決意を語り、議連への参加を呼びかけています。

「 教科書のなかでも、ここ数年問題になって来ましたのが、中学校の『歴史』『公民』の教科書であります。平成9年度から使用されている教科書に、用語として歴史的にありえない『従軍慰安婦』の記述や、事実が確定していない『南京大虐殺三十万人説』などが全ての教科書に登場してきた(これは事実ではないー引用者)ことから大問題となりました。
 私は、この問題の重要性に鑑み、『日本の前途と歴史教科書を考える若手議員の会』を結成して勉強会を重ねるとともに、国会においてもたびたび質問を行ってきました(ゴシックは引用者)。
 その結果判りましたことは、従軍慰安婦や南京大虐殺の記述にとどまらず、古代から現代までの記述がことごとく日本を貶める自虐的、反日的記述に満ちているということであります。
 しかもこの教科書の採択にあたって、本来権限を持っている県や市町村の教育委員会が、ほとんどの地方において十全に機能していないことが明らかとなりました。…この誤りを正し、教育委員会を正常化しなければならない」

「 しかも今、正常化するためのチャンスの時期にあります。新学習指導要領に基づく教科書採択が来年四月から行われる時期にあたるからであります。
 この時期にこそ、教科書の内容を今一度総点検し、検定制度、採択制度のあり方をチェックして、正常化をはかるべきであると考えます。やれば必ずできる問題であります。
 この教科書問題は、単に子どもたちの教材ということではなく、わが国の次代、将来を決する重大なかぎを握っていると思います。…是非議員有志の会にご参加いただき、教科書改善の戦列に加わっていただきますようお願い申し上げます」

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 「つくる会」の意向にもとづく国会質問

小山は、2000年8月8日、参院予算委員会で以下のような質問を行ない、政府の答弁を引き出しています。それを、「産経新聞」(8月9日)が「大島文相答弁 教科書採択『毅然と教育委員会の判断』」の見出しで、詳しく報道しています。(ゴシックは引用者)

小山孝雄議員 森総理の所信表明の中で、日本新生プランの第三の柱を教育の新生と位置づけ、教育改革として重大視する意図を述べられた。教育委員会のあり方なども重要課題であると考えていると述べられたが、この中には地方教育行政の組織及び運営に関する法律などの中で、大事な教育委員会の任務と定められている教科書採択の問題も当然含まれるだろうと理解するが、いかがですか。

中川秀直官房長官 総理の所信表明の中で、教育委員会のあり方も教育改革の重要課題であると申された。教科書採択も、各学校を設置する教育委員会が行うこととなっているので、それぞれの教育委員会が責任を持って適切に採択を行うことが必要である。そういう意味での重要課題として認識しておられると思う。

小山議員 教育委員会の機能について、本当にそのように願うわけであります。教科書採択に関しては、平成2年の文部省通知が出されており、教育委員会の専権事項だとしているわけだが、実際は学校票であるとか、単なる諮問機関にすぎない選定委員会による絞込みなど、教育委員会の権限を空洞化させる慣行がまかり通っているといういうのが現状だと、非常に憂えている。ぜひ、教育委員会の権限、責任において、作業が進められることを願うが、今後の指導について見解をうかがう。

大島理森文相 教科書選定については、毅然(きぜん)として、やはり教育委員会の判断で行うことが当然であろうと思う。間違っても組合の意見によってとか、そういうことがあってはならない。今、委員からご指摘いただきましたように平成2年の初等中等局長の通知があり、この基本はいっさい変わっていない。あらためて各教育委員会などに対しては、先生方の熱心な議論があったことを踏まえながら、適切にしっかりとした指導をしてまいりたい。

小山議員 先般、一部の新聞が、現在検定が進行している申請中の教科書について、このような内容があるということを報道いたしました。これは非難めいた内容も含まれておったように思います。制度としてこれは教科書検定制度の趣旨を損ねるものと考えるが。

大島文相 あってはならないこと。教科書選定に関しては、それを決定した後に公表し、開かれていくわけで、経過の中では会ってはならないことだと思う。

 この質問と答弁には重大な虚偽や間違いが含まれています。なによりも問題なのは、小山も大島文相(当時)も、学校票を違法よばわりして否定した90年の文部省通知だけをとりあげ、大島文相は「この基本はいっさい変わっていない」といっています。90年の学校票を否定する通知は、97年の文部省通知によって事実上否定されていることは、『マスコミ市民』(2000年8月号)などで詳しく解明しています。しかも、90年の通知で、学校票を違法よばわりしているのは、文部省の諮問機関の「教科書採択の在り方に関する調査研究協力者会議」の報告書の中にあるものです。一方、97年の通知は、政府の行政改革委員会の意見とそれを確認した閣議決定にもとづいて出されたものです。どちらがより重要な位置にあるかは明らかです。それを意図的に歪め、閣議決定さえも無視して、「つくる会」に有利な質問を行い文相の答弁を引き出したわけです。

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 小山が引き出した政府答弁を利用する「つくる会」

小山が引き出した政府答弁は、「つくる会」などが地方議会を舞台に主張している問題です。小山の質問と政府の答弁について、「つくる会」は会報『史』(2000年9月号)で「教科書正常化への確かな前進」という見出しで次のように紹介しています。

 「森首相が所信表明演説で『教育委員会の在り方』を重要課題と位置づけました」。森首相が「日本新生プラン」の中の「『教育の新生』において、『教育委員会の在り方』も重要課題と位置づけ、『国民的な議論を踏まえながら、思いきった改革を積極的に推進してまいります』と言明しました」。次いで、小山の質問と政府答弁を「このたび以上のような形で、教育委員会が責任を持って教科書を適切に『採択』することが重要な『課題』であることが政府の公式見解として表明されたことをよくご認識いただきたいと思います。これは画期的なことです」と紹介しています。

 さらに、「大島文部大臣が教科書採択は『教育委員会の責任』であることを改めて強調しました」と、前記の小山と大島文相(当時)のやりとりを紹介し、次のように述べています(ゴシックは引用者)。

 「 教科書採択適正化への政府・文部省の態度表明は、つくる会がこれまで主張し、関係者に働きかけてきた運動の方向に沿うものであります。われわれの主張を政府サイドが支持したものにほかなりません。現在全国各地で進められている、地方議会への請願をはじめとする教科書採択制度の適正化へ向けた運動は、政府の方針とも一致するといってよいと思います。
 局面は大きく動き出しました」。

 「つくる会」は、『史』だけでなく、高森明勅事務局長、高橋史朗副会長、藤岡信勝理事などがこの政府答弁を雑誌『諸君!』などで取り上げ宣伝してきました。このように、小山が「つくる会」の主張に沿った質問をして、「つくる会」に「有利な」政府答弁を引き出し、それを「政府見解でお墨付きがでた」と「つくる会」が宣伝して、自分たちの運動に活用してきたのです。この国会質問と政府答弁によって、「つくる会」は勢いづき、9月以降の地方議会での攻勢をいっそう強め、採択制度の改悪を求める「つくる会」グループの請願は、12月議会までに県議会段階では28、市区町村では153議会採択されるようになっています。
この構図は、受託収賄罪になるような金銭の授受があったかどうかは別にして、KSDの汚職の構造とまったく同じです。

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