何年か前から気になっていた商店街がある。20年ほど昔、しばしば鎌倉へ足を運んで寺社巡りなどしていた頃には、横浜というのは、電車の窓から街の通や家々の屋根を眺めるだけの単なる通過地点だった。それが、ここ数年は、桜木町駅に降りて、港や公園や著名な建物を眺めながら歩くようになった。
ところが、近頃その桜木町駅への通過地点でしかなかった、いくつかの駅に興味を持つようなった。それで、今回は鶴見線で秘境駅?と呼ばれている海芝浦駅で京浜運河を眺めたり、鶴見駅で下車して鶴見川に架かる鶴見橋を渡ってみたり、東神奈川駅に近い、東横線白楽駅で降りて六角橋交差点まで歩いてみたりして汗を流した。前から気になっていた「商店街」もこのなかにある。
2017年3月の裏庭#2
▲裏庭TOP
▲旧人類の草庵TOP
海芝浦の駅は東芝の会社用地にあるために改札の外には出られない。パスモを「出」、「入」の2カ所でタッチしてから、折り返しの電車で鶴見駅に戻る。駅を出て鶴見川の堤防の歩道をゆっくり歩いてゆく。鶴見橋を渡って本町通り3丁目バス停を過ぎたあたりから、沖縄やブラジルを冠する看板が目に付くようになる。
「リトル沖縄」と呼ばれる仲通り商店街を歩くと「おきなわ物産センター」があった。中を覗いたがシャッタが閉まったり、入居者募集の張り紙があったりで、長居には不向きな様子に疲弊してるように思えた。ここからちょっと離れた場所にある「うちなーすばヤージ小 」は噂では名店らしいが、まだ開店時間には早すぎた。
東横線白楽駅で下車すると、すぐに六角橋商店街のゆるい坂道に出る。神奈川大学の学生が大ぜい歩いている隙間を縫って100メートルほど行くと、右に曲がる路地がある。これが目指す「六角橋ふれあい通り」である。1本目の路地の突き当たりに「千代田湯 」の看板が見える。営業時間は15時から23時で日を限って銭湯寄席があるらしい。
行き交うお客さんの邪魔にならないように、斜めの姿勢で細い道を歩いて行く。五ツ木園茶舗、「お店や人間はレトロな」と公言するキッチン友、新鮮野菜の八百み、シックス・スクエア・ベーカリー、串や・味楽などがある。
ときどき横切る明るい路地に出会うが、かまわず進んで行くと、松坂屋カバン店、炭火焼き煎餅の雷神堂、ネコ作品など雑貨のムーンキャットなど個性的な店があらわれる。
日替わりで安く楽しいバラエティショップ・ベラ、思わず2階のマネキンに目が行く機械式時計専門店のファイアーキッズ、海苔とお茶の山本園を過ぎると、買い物客で賑わう旬の魚の魚大本店がある。
       
ベトナム料理店のシン・チャオ、洋品のサノヘイを過ぎたところのスペースで琴を演奏している美女がいて、数人の聴衆が楽しんでいた。リビングショップシゲはこだわりの日本製品を中心に取り揃えているのが宣伝文句。
       
おもちゃ箱をひっくりかえしたような店らしいグッディ・サンシャインを眺めて表通りに出る。ここは六角橋の交差点。信号を渡るとすぐ左手に中華飯店・襄陽の看板が見えるので、ここでランチ。450円の餃子はうわさ通りの超ジャンボで680円の五目焼きそばを一緒に食べるのに大汗。帰り道に白楽駅の手前で味のある蔵を見つけて思わず立ち止まる。屋根に生えた雑草がじつに愉しい。