「そんなの関係ねぇ」と「どんだけぇ〜」が流行った年の誕生日プレゼントに「PASMO」を貰った。このカードさえあれば財布の中身に関係なく電車に飛び乗って、ちょっとした旅に出かけられるようになった。ここ数年は朝起きて晴れていて且つ気分が良いと、唐突にカメラバッグを肩にかけて近所のバス停に急いだ。片道1時間ほどの旅から帰ってから、他人が見たら面白くもなんともない写真をこのHPに掲載してひとりで喜んでいる。
これまで自宅から東の方角にある都市や田舎については、撮った写真を載せたことがなかったように思うので、今回は花見のつもりで東南東30キロの場所にある成田市へ行ってきた。

2016年4月の裏庭
▲裏庭TOP
▲旧人類の草庵TOP
成田の地名の由来のひとつに、雷の良く鳴る田んぼ「鳴田(なるた)」から「成田」とされたというのがある。940年に平将門の乱が平定されたあと新勝寺が創建され、その新勝寺の門前町として、特に江戸中期から栄えてきた。1978年の空港開港以降は著しい発展を遂げて、人口13万を擁する近代商業都市となった。と言っても、市街地はほんの一握りで田園と飛行場とその関連施設地等が殆どを占めるのは事実。
JR成田駅を出て表参道を歩くと、うなぎ屋の幟や看板が目立つ。それは「成田詣で」が宿泊を伴う旅であった頃、成田山周辺の旅館では宿泊客を疲労回復の効果がある、うなぎ料理でもてなしていた名残だそうな。いま、参道の旅館としては、旅館梅屋、大黒屋旅館、国の有形文化財で木造三階建ての大野屋旅館、ひしや旅館、若松本店などがある。また鰻福亭、粉名屋、川豊菊屋、駿河屋などの有名うなぎ屋が香ばしい煙を漂わせていて、店先には席を待つ客が並んでいる。
新勝寺参詣のお土産として「鉄砲漬け」があり、その漬け物屋が何軒か軒を並べている。。これは成田名産の白瓜の中を鉄砲のようにくり抜いて、しその葉を巻いた唐辛子を火薬に見立てて詰めたものを、醤油やみりんなどの調味液で漬け込んだもの。参道にはおぐらや、兄弟堂、京増、三芳屋、川村佐平治商店、上総屋、江戸久などの漬け物屋があって賑わっている。が、外国人が鉄砲漬けを買っているのは見たことがない。今回は「江戸久」で薄味の2本入りを買って持ち帰り。
ここ成田は自宅から電車で30分ほどの近距離にありながら、たまに訪れるようになったのはここ数年で、以前ははるかな異境の地のような扱いをしていた。桜と紅葉の年に2回参道を歩くようになってからあらためて感じたのは、外国人歩行者がずいぶん増えたことだ。ツアー客の他に、ジャージなどの気楽な服装の姿も見受けられるのは、ここ成田市や周辺に住んでいて散策に来られる方かも。空港関係者ばかりではないと思うが。
多国籍料理を出す軽食の店やカフェなども少しずつ増えているのも悪くはないが、明治の頃からつづく老舗には今後もぜひがんばって、雅趣ある店舗と建物を存続させていただきたいと思う。
今年は花が咲いた後に雨や低温の日が続き、「花見日和の日」が少なくて、やっと晴れて暖かい日に恵まれたのであわてて電車に飛び乗って来たが、ちょっと遅かったようで、成田山公園の桜は撮影する場所選びにかなり苦労した。
約2時間の散歩を終えて、昼食は名物のうなぎでは無くて総門前の海老屋で1,400円の「海老丼」を食して、早めに帰宅。