「はっかせぇ、ごはんですよぉ」
今日は助手の長瀬君がいません。コスプレ好きの恋人の夏コミのお手伝いに行っているので食事の支度は研究所の大家さんの桔梗ちゃんがしています。研究所といっても桔梗ちゃんの大邸宅の一棟を借りているだけなのですけれども。
「おお、いいところにきたではないか、桔梗ちゃん。発明じゃ、悪の帝王ゲイツもシッポ巻いて逃げ出すくらいの大発明じゃ」
「はっかせぇ、ヤですよぉ。発明の実験にわたしを使うつもりじゃないでしょねぇ。」
「……」
「図星ですねえ! ぶぅ! ぶぅぶぅぶぅ! やっぱりそのつもりですねぇ。ダメですってば。そんなの長瀬さんが戻ってくるまで待ってあげてくださいぃ、長瀬さんのお仕事なんですからぁ。そんなことより、は・や・くっ、ごはんん」
「そうしたいんじゃが、これは桔梗ちゃんでなきゃできないことなんじゃ。ま、詳しくはごはんしてからにしよう」
二人は食事を終えて研究室に戻ってきました。
「悪の帝国と戦う、正義の変身美少女ですかぁ、あぶなくないですかぁ?」
「なにを言っておる。98型窓ウイルスをばら撒いて世界中のソフトハウスを牛耳らんとする悪の帝国に対抗するには、桔梗ちゃん、君のような美しい女性が先頭に立って戦わんと世界中のオタクちゃんたちが結集することはないのじゃ。きゃつらは群れることを嫌うからなぁ」
「ま、いいですけど。で、どうすればいいんですかぁ」
「まず、この発明を腕に付けるのじゃ。そして変身じゃ」
「つけても、どぉにもならないよぉ?」
「変身する時にはちゃんとセリフを言わねばならんのじゃ。その紙に書いておいたからおっきな声で読み上げるのじゃ。イチ・ニのサン・シ、ハイ」
「ミラクル・オラクル・ルルルルル、ピンプル・パンプル・ララランラン、アダルトモードでかれぇなるせぇちょぉ! のぉみそくすぐっちゃうよぉ!」
どっかーん! 理由の知れない爆発音と共に煙がもうもうと沸き立ちます。そしてその煙はすぐに消えていき中から変身した桔梗ちゃんが現れてきました。
「ふぁんきぃ・ばいおれっと、只今さんじょぉ!」
「おお、ポーズまで決めて随分と乗っているではないか。でもそんなに足を広げるとパンツ丸見えじゃぞ」
「きゃぁ、これ、ちょぉミニミニじゃないぃ」
「そりゃ、戦隊物のヒロインはミニと決まっておる」
「もぅ、はかせのえっちぃ。じゃ、なんでヘルメットのフェース部分が無くて眼鏡になっているの? 戦隊物なら顔も隠れなくっちゃ」
「それはわしの趣味じゃ。桔梗ちゃんは眼鏡かけてないからのぅ、こうでもせんと眼鏡っ娘になってくれんから」
「へんたいぃ、はっかせぇ! はあい、はっかせ、でも胸のところのマークが六色林檎って、可愛いけどなんか情けないとおもいますぅ」
「すでに悪の帝国に一口齧られたあとがあるというのもその一因かもしれん」
「で、他の四人は?」
「わしがシャドウ・ホワイトじゃ。君の恋人の雄治君にはネーブル・オレンジをやってもらおう」
「あんなやつ、恋人じゃないわよぉ」
「長瀬君がエド・パープルで、長瀬君の彼女が、、」
「パープルですかぁ、ソレ、むらさき、かぶってるぅ!」
「いいんじゃ、語呂だけで名前を決めてるんじゃから」
「で、武器はぁ?」
「ぱぱらぱぱぱー、じゃーん、窓ジャミジャミ君! これを使えば窓ソフトを使っていると突然フリーズしてしまうのじゃ」
「はっかせぇ、ジャミジャミって方言ですからあんまし通じませんよぉ。それに、そんなもの使わなくったって窓ではフリーズなんか当たり前です」
「うーむ。では次の武器じゃ。ぱぱらぱらぱー、じゃーん、窓烏マイペット」
「なんですかぁ、それぇ」
「黒カラスがペットの振りしてメールでやってきて、突然増えだし全体を覆いつくすのじゃ、ときどき、インストールし直すしか対策は無い」
「あの、メールって、じゃ、なんで私こんな格好しなきゃいけないんですか?」
「……」
「はっかせぇ、おこりますよぉ、ぷんぷん。でも、はかせ、これメールで移るんだとマッキントッシュにも移ったりしませんかぁ?」
「大丈夫じゃ。マックにはゴミ箱があって、カラスたちはそこに集まるようになっておる。その点、悪の帝国の戦略ソフトはリサイクルボックスじゃからのう、生ごみが無いからカラスは飛び回るのじゃ」
今日も研究所は賑やかでした。