博士と助手の長瀬君は福井県は九頭竜川の上流に来ていました。
夏の日差しがとても厳しいです。
「はっかせー、もう恐竜の化石の発掘なんか辞めて研究所に帰りましょうよ」
「駄目じゃ、クヅラを見つけ出すまでは決して帰らんぞ」
「また勝手に名前まで付けちゃって。鉄屑を食う怪獣じゃないんですから、地元の人達にも失礼じゃないんですか」
「五月蝿いわい、九頭竜川の恐竜なんじゃからクヅラのどこが悪い」
「はかせぇ、ぼくたち発掘じゃなくて、研究所で発明やってるほうがあっているような気がするんですけど。でもなんで急に化石の発掘なんかやることになったんですか」
「昨日、弥生ちゃんがじゃな、夢を見たというんじゃ。『ねえ、博士。昨日の夜、天使が私の枕もとにやってきて囁いたの。八岐大蛇よりも一回り大きなものの源に古代の龍が眠っている、そのものの骨を砕いて煎じれば万民の病を癒すであろう。ですって。ねえねえ、博士、取ってきて』 というわけじゃ」
「は、はっかせー、夢のお告げでここにきたんですかぁ。でも今度の彼女ってちょっと危なくないですか?」
「それはどうかわからんがな、○○○科学の信者じゃからな。ちなみに○○○は伏せ字じゃが、決して『空想の』やら『思想の』やら『学習と』は入らんぞ」
「伏せ字の意味がないですよ。で彼女の名前、実名ですね。大丈夫なんですか」
「ちょっと心配じゃが、本人はここを見ておらんから大丈夫じゃろう、と信じておる。因果が巡り巡って、名前を使ったことがバレて怒られたら泣いて謝る」
「なんか弱いですね」
「まだ、お付き合いしているわけでもないからな」
「それにしても、スコップで手当たり次第掘りまくるというのも芸がないと思うんですけれど、いつものように発明品でパアッとできないもんなんですか」
「おお、そうじゃ。こんな時のために用意がしてあったのじゃった。ちゃらん、ちゃららん♪、ちゃらら、らららら、らん♪」
「なんですか、その音楽は?」
「川崎市のテーマ音楽じゃ。ごみ回収車が毎朝流しているので耳について離れんのじゃ。歌詞もちゃんとあるそうなんじゃが、わしは知らん」
「そんな話、ローカル過ぎて誰もわかりませんてばさ」
「ちゃんちゃらら♪ 化石発掘装置『ここほれわんわん君』じゃ」
「『博士はいつも発明品をどこから取り出すんですか』ってメールが届いてましたけど、そんなだから、人からドラえもんみたいだって言われるんですよ。体型もそうだけど」
「わしゃ、じゃんけんでグーしか出せんのか。失礼じゃな。まあいい。動かすぞ、それ、ポチッとな」
「わ、すごいですよ、どんどん地面を掘り進んでいってます」
「ほら追いかけるぞ」
装置の掘り抜いたトンネルをもぐって二人は一所懸命追いかけていきました。
そうしてようやく、化石を見つけ停止していた装置に追い付いたのです。
「ここはどこじゃ」
「永平寺ではないでしょうか」
「封建時代の化石という落ちじゃろうか」
「座禅中の坊さんは化石みたいだという落ちなのでは?」
「いずれにしてもじゃ、作者スランプじゃな、くだらん」
「話を書くのが三ヶ月ぶりなんで頭の中が化石化しているのかもしれません」