「ほんとうにこんなもので眼鏡っ娘の助けを呼ぶ声が聞こえてくるんですか」
「そうじゃ。眼鏡っ娘が助けを求めると、眼鏡フレームが増幅機となって、このマシンに電波が届くようになっておるのじゃ」
「いわゆる盗聴機っていうやつですね」
「違う、別に眼鏡に無線機を仕込んでいるわけではないのじゃ、眼鏡っ娘を強く愛する情念パワーがこの機械の原動力なのじゃ」
「あ、さっそく何か反応していますよ」
「うむ、いくぞ」
ある古びたアパートの一室で眼鏡っ娘が悲鳴をあげています。
そこに二人の黒装束の影が現れました。
「眼鏡の乙女の 助けを乞うる 声あらば いつでも参上、どこでも参上。眼鏡っ娘おたすけ人一号見参」
「同じく二号見参」
「天知る地知る汝知る。眼鏡っ娘を脅かす世紀の悪は、たとい厚生省が許しても眼鏡っ娘おたすけ人が許しませぬ、とおっ」
「あんたたち、どこから入ってきたの」
「お嬢様の叫び声を聞きつけておたすけにまいりました。ささ、敵は何者でしょうか。われわれがやっつけてさし上げます」
「ま、いいわ、誰でもいいから助けて欲しかったの」
「なんでもお申しつけください。お嬢様のためなら命も惜しくはありません」
「あのね、わたしの飼ってるうさぎのモップ君がおトイレに落ちちゃったの」
「えっ、ま、まさかトイレに落ちるということは水洗じゃなくって」
「ボタン式ですね」
「そうなの。モップ君がほらキーキー鳴いてるの。助けてあげて」
「承りました、お嬢様。よし二号、飛び込め」
「うへ! はかせ、それは勘弁してくださいよ、後生ですから」
「わしは博士ではない、一号じゃ。なにをもたもたしておる、早く行かんか」
「はっ、はいっ、ふぇーん」
どっぼーん。
「はかせー、モップ君を捕まえましたぁ」
「外の汲み出し口を開けるからそこから出すんじゃよ」
おたすけ人一号が外に回り汲み出し口の蓋を開けました。するとうさぎが飛び出してきました。
「おっと危ない、もう少しで顔に飛び付かれる所じゃったわい、ビニール袋を用意しておいてよかった、よかった」
うさぎを用意しておいたお湯で洗ってきれいにして眼鏡っ娘に渡しました。
「はっかせー、ぼくも助けだしてくださいよぉ」
「よるな、そこのホースで水をかけてやる」
「ひー、真冬に水浴びするはめになるとは思いませんでした。あ、どうしよう、コンタクトをあの中に落しちゃいました、でももういいです」
「コンタクトか、ここにある。しっかり拾っておいたのじゃぞ、ほら、はめたまえ。お、次の眼鏡っ娘がまっておる。ゆくぞ」
「待ってください。もうぼくは眼鏡っ娘とコンタクトはしたくありません」