「はかせー、今日ははかせにプレゼントです」 長瀬君はいつものように博士の実験室にやってきました。
「どうしたんじゃ、長瀬君。帰省でもしてお土産を買ってきてくれたのかね」
「うちの実家のお土産と言ったら越前ガニですからね、そんなもん高いし、はかせにはもったいないし、人にあげるくらいなら自分で食べちゃいますよ」
「ふん、もう海外旅行してもマカダミアナッツは買ってきてやらんぞ」
「それをフランス帰りにいただいてもしょうがないですよ。ま、それはそうと、はい、これクリスマスプレゼントです」
長瀬君はCDケースに入ったCD−ROMを博士に手渡しました。
「なんじゃこれは?」
「ほら、はかせってウィンドウズが使えなくてマッキントッシュばかり使っているじゃないですか。それではかせにも使えるようにと思って、ウィンドウズをまるでマッキントッシュみたいに化けさせるプログラムを作ってきたんです。名付けてマルチフィルター『マックドロンパ』。おまけに可愛い六色林檎ロゴシールもついてます。マシンに張れば気分はマッキントッシュ!」
「なんかどこかのオバケみたいな名前じゃな、どうせウィンドウズ95のデスクトップテーマの擬似マッキントッシュのようなやつなんじゃろ」
「違いますよぉ、一度動かしてみてください、ほら」 長瀬君はうっちゃってあった博士のウィンドウズマシンにCDを突っ込んで電源を入れ起動しました。
「これインストールすると一度再起動がかかって、ほら」
『じゃーん』
「おお、リセットがかかったあとすぐに音がするんじゃな、しかもこの音はマックの起動音じゃ!」
「はかせのマシン用に作ってありますから他のじゃこんなことできませんけどね。ほらメモリにロードしていくドライバやらなんやらもこうやってアイコンが並んで見えてるでしょ」
「起動の待ち時間も楽しいわけじゃな」
「ぼくは鬱陶しいと思うんですが、さすがマックユーザですね」
「タスクバーの窓アイコンも可愛い六色林檎に換えておるな。ドロップダウンメニューもマウスボタンを離すとすぐ消えるぞ、いつまでもだらしなく口をあけておる95とは思えん」
「ぼくは一度押したら出っぱなしの方が使いやすいんですが」
「これはすごいぞ、フロッピィを入れたらデスクトップにアイコンも出る。ゴミ箱に捨てると吐き出してくれるのか、、ってこれは無理か。あ、フロッピィの中身を消去しおった。おいおい。じゃが許そう、なんといっても窓の右上の×印がないのが特にいい」
「邪魔ですもんね、あのクローズボタンは」
「ワードはそのまんまじゃな」
「あれは元を正さないと駄目ですから」
博士はそれでも喜んで使い始めます。ところが突然大声を出しました。
「おーい、長瀬君。これDOS窓が開かんぞ」
「はい。マッキントッシュにはコマンドラインがございません」