「はかせー、今度は何の発明ですかぁ」 長瀬君がいつものように博士の実験室にやってきました。
「これは歴史に残るくらいの大発明じゃ。ノーベルもびっくりして爆発しちゃうくらいの大、大、大発明じゃよ」
「大法螺吹きも何度もくり返すとそういう人だと思われちゃいますよ。この前だってノーベル賞の選考委員会も感激して賞の名前をわしのに変えちゃうくらいだって言ってましたけど、結局猫の蚤取り装置じゃなかったですか。猫に電気流したら蚤が死ぬ前に猫も死んじゃいますって」
「あのときは二人して猫に引っ掻かれて痛い目にあったのう。だが今度は違う。今週のハイライト! ぱっぱか、ぱっぱか、ぱー、機械語翻訳装置『ぺらぺら君』じゃ」
「はかせー、名前に『君』さえ付けてりゃいいと思っていませんか? それにしても機械語翻訳と言ったらコンパイラとかインタプリタじゃないですか。なんでそんなものわざわざ作るんですか?」
「話を最後まで聞かんのは長瀬君の悪い癖じゃのう。これはコンピュータソフトウェア開発に使うものではない。機械が話している言葉を人間の言葉に翻訳するものじゃ。」
「へっ? 機械って何か話すんですか?」
「機械が発するピーやらガーやらの雑音があるじゃろ、あの音を拾って機械が今どういう状況にあるかを分析し日本語化するのじゃ。たとえばほら君の持っとるデジタルフォンを貸してみい。ほら、『電池がそろそろ切れそうです』って出ておるじゃろ。この電話の発する微弱電波を解析して出しておるのじゃ。まだ音声回路は入れておらんから静かじゃが完成品ならしゃべりまくりのはずじゃ」
「日本語を出すって言うことは翻訳用の辞書とかもはいっているんですね」
「三省堂の新明解を使っておる、じゃから、ちょっと下世話な表現をするがな」
「うーん役に立つのかどうかは良くわかりませんが、なんだか凄い発明ですね」
「なっはっは、誉められていないでもないような感じじゃが、いい気分じゃ」
長瀬君はいろいろな機械を翻訳機にかけていきました。
と、あわてて長瀬君が博士を呼びました。
「は、はかせ、大変です、はかせのマッキントッシュが脅迫状を出してます」
「何と言っておる?」
「『メモリを寄越せ、さもないと爆弾出すぞ』」
「うむ、今度は人語から機械語への翻訳装置を作らねばならんな」
「なぜですか、はかせ」
「説得の為じゃ」