「はかせー、今度は何、発明したんですかぁ」 実験室に助手の長瀬君が入ってきました。
「これはもう世紀の大発明じゃよ、エジソンが生きていたら自分が恥ずかしくなって泣き出して逃げ出すくらいの大発明じゃ」
「またそんなこと言って。いいかげんにしてくださいよぉ。この間だってアルキメデスも裸で飛び出すくらいの大発明じゃ、とかいって、結局フロッピィディスクの消磁装置だったじゃないですか。それも磁石を手でもってくるっと回すだけ。しかも3.5インチなんか自分で蓋を開けたままにしておかなきゃいけなかったですもんね」
「だまらっしゃい。最後までわしに話をさせるのじゃ。今日発明したのはこれじゃ。じゃじゃーん、大容量記憶装置その名も『メモリ君』じゃ」
「なんかそのままのネーミングですねぇ、センスないですよぉ」
「うるさーい、これはすごいぞ、なんと電源無しで使えるんじゃ」
「おお、電源がいらないんですかぁ、ハードディスクやCD−ROMとか外付けで買っていくとどんどんコンセントが足りなくなってきちゃうんですよね。で、どっから動力とるんです?」
「そんなものはない」
「はあ?」
「動力などいらんといっとるのだ。これの記憶素子は米でできておる」
「へ? こめってあのお米のことですか?」
「そうじゃ、あのお米じゃ。米の表面はな、こうやってちっちゃい文字で書き込めばお経だって書き込める。これをこの箱の中に詰め込めばいいんじゃ」
「はあ、でも誰がそれ書くんですか?」
「そんなもん使う人間に決まっておるじゃろう」
博士はふてくされると電気炊飯器の釜にお米をじゃーと開け水を適当に流し込みスイッチをいれました。
「いざというときはこのようにして食って血肉にすることもできるのじゃ」
「ああ、わかりました。これがほんとうの内臓メモリですね」