よく見つけましたね。これは、えるふさんが十月のパーティーに続編を書いてくれたものです。

◎十月のパーティー・・・その後

”トントン”何とも軽やかなノックの音が聞こえます。

憂木君と奥様はお互いに顔を見合わせてにっこりと微笑みました。

去年は、ひとりぼっちで開けたドア。

今年は、ひとりぼっちではないのです。隣に、いつも憂木君を見つめてくれる奥様がいるのですから。奥さんの暖かいまなざしに見守られながら、憂木君はゆっくりとドアを開けました。

ドアの外には、何ともかわいらしい子供たちが、やっぱり去年と同じように仮装して立っていました。「お菓子かいたずら!」子供たちが口々にする言葉も、去年と同じで、憂木君の耳に懐かしくひびきます。また戸棚から、用意していたお菓子を持ってくると皆に配りました。子供たちは、やはり去年と同様、うれしそうにお菓子を受け取りました。ところが、去年と違うのは・・・

子供たちは、だれ一人帰ろうとしていないのです。やさしい憂木君と奥様は、子供たちを部屋に招き入れました。

子供たちを、みんな部屋に招き入れ、ドアを閉めたとたんに、再びドアをノックする音が聞こえました。ドアを開けると、やはり、仮装した子供たちが、にこにこしながら、こう言っています。「お菓子かいたずら!」こうして、次から次へと新手の子供達が憂木君の部屋をノックしてきます。憂木君の部屋は、とてもにぎやかになり、笑い声にあふれています。

子供たちの笑い声に囲まれながら、たのしいたのしいハロウィーンパーティがはじまりました。憂木君も、奥様も、子供たちも、みんなとっても楽しそうです。憂木君が用意したお菓子や、奥様お手製のお料理をみんなで食べながら、楽しい夜が更けていこうとしています。

笑い声がふっととぎれたとき、部屋の中に”ぽーん”という、聞き慣れた協和音が響きわたりました。みんなが、部屋を見回すと、部屋の隅に大切に置いてあるLC630が、美しい光を放っています。と、突然、LC630が聞き覚えのあるメロディーを奏えはじめました。そう、その曲は、結婚行新曲でした。憂木君も奥様もとてもびっくりしてしまいました。子供たちも、さぞかしびっくりしているだろうな。と思って憂木君と奥様が、子供たちのほうをふりかえると、何と、子供たちは、着ていた仮装の衣装を脱ぎ始めていました。わけがわからずに、子供達が衣装を脱いでゆくのを見ていた憂木君と奥様は、言葉もでないくらいびっくりしてしまいました。

・・・そう。子供達の背中には、真っ白で柔らかそうな大きな大きな羽が2枚ついていたのです。

すべての子供達が、衣装を脱ぎ終わってから、去年憂木君が料理を作るのを手伝ってくれた年長の女の子と男の子が、もっていた袋の中から、何かを取り出しました。女の子の袋の中からは、純白のタキシードとウェディングドレスが、男の子の袋の中からはとても美しいティアラと、ブーケが出てきました。

背中に大きな羽をつけたたくさんの子供達は、びっくりして身動きできないでいる憂木君と奥様に、これらのタキシードやドレスを着せてあげました。

ハロウィーンパーティは、憂木君と奥様と子供達だけの小さな小さな結婚披露宴となったのです。

時計の針が、まもなく日付変更線を超えようとしています。子供達が帰る時間がやってきました。玄関を出ていく時に「お幸せに。楽しいハロウィーンをありがとう。」と子供達が口々に言ってちょっと可愛くポーズをして出ていきます。憂木君と奥様は、とっても幸せな気持ちで子供達を見送りました。

子供達はみんな帰ってしまい、しずかな夜が更けてゆきます。憂木君と奥様は、2人寄り添いながら、幸せな夢を見て寝ているようです。きっと、今日の幸せな結婚披露宴の夢でもみていることでしょう。それとも、明日からの幸せな日々の夢かしら?

あれ?結婚行進曲のなりやんだLC630のディスプレイがちょっとだけ明るくなりました。そこには、一人の優しそうなおじいちゃんの顔が浮かび上がりました。

おじいちゃんは、幸せそうな二人の顔を見て、うれしそうに、うんうんとうなずいています。しばらくして、おじいちゃんはいなくなり、ディスプレイも元どおりに暗くなりました。

え?そのおじいちゃんはだれかって?

そう、そのおじいちゃんこそが、”ソフトウェアの神様”だったのです。

(神様って、ちゃぁんとみんなのことを見ててくれてるんだね。)

                             ・・・おしまい。