ある日、神様が自分の庭に二本の木を植えました。
一本はちっちゃな林檎の生る木でした。
神様はこの木の実が大変お気に入りになりました。
ちょうど雨上がりの時でした。
空に輝く虹を見つけてこの色を林檎に授けようと思いました。
それでこの林檎は今でも六色なのです。
実が欠けているのは蛇にだまされた女の子が一口齧ってしまったからです。
それから、たくさんの年月がたちました。
神様のお気に入りのちっちゃな木の実は、
少しずつ少しずつ、手から手へと伝えられ、大事に大事に育てられ、
世界中の人々に愛されるようになりました。
何故かって?
神様は、空に輝く虹の色を木の実に授けた時、
同時に六つの願いをこの木の実に封じ込めたのです。
世界中がたくさんの緑で覆われますように。
秋には、黄金色の作物が収穫できますように。
一年中、橙色の光がこの地上に降り注ぎますように。
人々の心に、赤い炎のような情熱がもたらされますように。
春を告げるのに、紫色の小さな花が一面に咲き乱れますように。
そして、青い空と、青い海が、いつまでも青くありつづけますように。
神様はきっと微笑んでいます。
人々に愛されている六色の小さな木の実が、やがては人々の心の中に、
さらに小さな小さな六色の木の実を結ばせることを知っているのですから。