「黒部源流のイワナを愛する会」の活動の中心の移殖放流を紹介します。


移殖放流の原則は、イワナが遡上できない沢に本流から移殖して種の保存をしようというもので、単にイワナの数が増えればいいというのではありません。
絶対に本流以外からの移殖はしない。これを堅く守っています。
イワナの運搬方法は、1斗缶にビニール袋に入れたイワナと固形の酸素発生剤を入れて運びます。
このやり方で失敗したことは一度もなく、ほとんどのイワナを無傷で放しています。


A谷への放流

A谷はかなり長い沢で渓相は非常に良く、放流以前でも全くイワナがいないのに竿を出してる人がいたくらいです。
本流から500mに高さ10mの滝が、その奥には60mの大滝がありイワナの遡上を阻んでいます。
大滝から上部は滝がなく、源流としては珍しいほど一定の斜度の流れを保っています。
1989年にはじめてやってみたのですが見事に失敗していまい、その教訓を生かし翌年には無事30匹を移植することが出来ました。
その後はほぼ毎年続け、200匹以上を放流しました。
放流した翌年から稚魚を見ることが出来、大喜びしたものです。
はじめのころは、登山道の上部で行っていたのですが、源頭放流が一番効果があがるというので、源流をワンビバークで源頭に放流するようになりました。
移植したイワナは大きくなるのが早いそうですが、2,3年して試し釣りをしたところ尺オーバーが出たのには驚きました。



放流部隊のメンバー

雨の中放流用のイワナを釣る

釣れた!

放流 元気に育て1

9月23日残雪の源頭を行く

ご苦労様でした

B谷の放流

薬師沢小屋から1時間ほど上流のB谷は、数年来多くのメディアに紹介されつづけたおかげで登山者が多い。
またそれだけの価値のあるとても素晴らしい沢だ。滑滝が連続し、明るく広く難度も低く歩きやすいのも魅力だ。
出合いから2時間弱の大滝(30m)まで10ヶ所の滝が続く。会ではそれぞれに名前を付けさせてもらった。
ここも下部以外はイワナの魚影を見ることはなかったが、大滝付近に毎年放流を続けた結果、想像以上にイワナが増え、
どんな小さな溜りでも見ることが出来るようになった。
そうなると当然のことだが、釣り師が喜ぶ。去年などB谷だけを目的に釣る者も出てきた。
尺以上やそれに近いものばかり30匹以上も釣って帰って自慢する輩がいるのだから困ってしまう。
禁漁にする権限はないのだから、キャッチアンドリリースをお願いする位しか出来ないのがつらいところではあるが。
ま、めげずに放流をつづけていくしかないだろう!

その他の沢への放流

移殖放流については賛否両論が聞かれるが、会では本流のイワナを遡上困難な沢へ移殖するという原則を守りつづけていく限り、生態系の破壊には繋がらないという考えでおります。
今後は、定期的に放流して、近種交配を避けていくつもりでいます。



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