バックカントリーを楽しむにあたって。


いきなりですが、バックカントリースキー(スノーボードも含む)はとても楽しいスポーツです。
だからこそ、あちこちの雑誌で紹介されるし、最近のアウトドアブームにものっとり、
各メーカーもそれらに向けた商品を開発&販売します。ですが、ここ最近、心配な事が増えてきました。
余計な心配だと言われれば、それまでなのですが、それは、遭難事件が増えてきている事です。
特に、雪山初心者の遭難、経験不足、判断ミス、気軽な行動、油断からくる遭難事件です。
最近はバックカントリー特集も増え、またスキー場を始めとした各種施設もそれらのお客さんを見込んでいます。
それはそれで、一向に構いません。バックカントリーはとても楽しく、いろいろな変化に富み、
毎度毎度、新たな発見があり、いつまでも楽しめるものです。
だからこそ、バックカントリーがブームになり、愛好者も増えてきているのでしょう。
それ自体は喜ばしい事だと思います。
ですが、これから、バックカントリーをやろう、もしくはやり始めたばかりの人達、
まだ、バックカントリーに不慣れな人達、いえ、我々自身、私自身も含めてですが、
バックカントリーを楽しむ際のルール、マナー、エチケットを思い出しましょう。
まだ知らない人達は身に付けましょう。バックカントリーは全て自己責任の世界です。
何が起ころうと、自分自身の責任で全てを負い、その上で行動します。
なので、バックカントリーの世界へ踏み出すには、ある程度以上の技量、ある程度以上の体力、ある程度以上の装備が必要です。
スキーの滑降技術ならば、少なくともゲレンデ内のあらゆる斜面、あらゆる状況を自分なりの技術でも充分なので、
転ばずに、正確に、確実に、的確に、可能な限りスピーディーに降りられる程度の技術、
体力ならば、重さ10kg程度の荷物を背負い、最低でも8時間以上は行動出来る体力、
装備も冬山を安全に、確実に、快適に過ごせる装備、が必要です。
また、それらだけではありません。自然の中で、状況を的確に判断し、行動する判断力も必要です。
今、この雪の中を滑って大丈夫だろうか?雪崩れないだろうか?方角は合っているだろうか?
地図、コンパス、高度計等を使い、今現在自分がいる場所、位置を確認し、どちらが自分達の行きたい方向が確認し続ける事、、
今現在の自分達の技量、体力などの諸条件でこの状況に挑み、無事に安全に戻ってこられるか、
などなど、とても難しい判断をせねばなりません。バックカントリーとは楽しい反面、同時にそれらの危険な一面もあるのです。
どうか、それらの事を忘れないで下さい。心の中に留めておいて下さい。
バックカントリーを楽しむ為のマナーであり、ルールです。

最近はバックカントリーをいろいろな雑誌類で紹介しています。それらの情報を基に昔と違い、
手軽にバックカントリーへ行ける様になりました。でも、これらの本を読んだからと言って、
「誰でも、簡単に、手軽に、バックカントリーへ行ける訳ではありません」
GPSデータ付きのガイドブックもありますが、謳い文句通りに「だれでも初めてのルートを迷うことなく踏破することが可能になります」
とは限りません。冬山では(いえ、冬山だけではありません、夏山でもです。山そのものでは、です)必ずある程度の技量が必要なのです。

では、どうすれば良いのでしょうか?バックカントリーへ行くな、と?いえ、そんな事はありません。
誰でも最初は初心者です、未経験です。いろいろな事を学び、経験を積みましょう。
最初のうちは、経験ある人につき、学びましょう。まずは学ぶ事から始まると思います。
雑誌類を見、行こうと思ったならば、軽々しく考えずに、じっくりと、落ち着いて、
計画を良く練り、万全の体制を整えてから行きましょう。決して楽しい事だけを想像して行動してはいけません。
また、どこかのスクールに入るのも選択の一つです。そこで、必要な技術を学ぶもの大事なことだと思います。
講習会ではバックカントリーに必要な事を教えてくれます。
また、ガイドツアーというのも方法の一つではあるでしょう。だたし、「連れて行ってくれる」とか「お金払っているんだから」といった
軽々しい気持ちは厳禁です。たとえ、商業ツアーでも相手はあくまでも「自然」なのです。自然は自分に都合の良いものではありません。
その事はくれぐれも忘れないで下さい。

バックカントリーの世界へ足を踏み入れるのであるならば、自己中心的な考えは止めましょう。
相手は自然です。自然は決して自分に都合のいいものではありません。
楽しく、素敵な事も提供してくれますが、時には厳しく、恐ろしい一面も持ち合わせています。
「大丈夫、大丈夫」と言う方々をよく見かけますが、これはハッキリ言ってダメな証拠No.1です。
私は一時期スキー場で働いていました(人工降雪、圧雪、パトロール)その時に何度も見ました。経験しました。
初心者に「こちらはどんなコースですか?」と聞かれ、「上級者向けコースだから、貴方達はやめた方がいいですよ」
それに対する答えは決まって「大丈夫、大丈夫」で、その結果は‥「降りられませーん」情けない話ですが、
これが現実です。軽々しい考えがこの様な結果を生むのです。スキー場内部ならば、まだ何とかなるでしょう。
ですが、何度も言っている通り、バックカントリーではそうはいきませんっ!
「雑誌を見たから大丈夫」、「どこそこのHPに書いてあったから大丈夫」等の軽々しい考えは絶対に通用しません。
軽々しい考えは捨てましょう。バックカントリーを楽しむためにはある程度以上の、技術、経験、知恵、装備等が必要なのです。
どうか、その事を忘れずに、慎重に行動して下さい。その上で楽しく行動できるのです。少なくとも、私はそう考えています。

遭難事故が無くなる事を祈って。